第2話 転校生。

 教室に入り、席に座る。


「社長出勤だな、シュウ」


「寝坊だ」


「お前らしい」


「朝から疲労困憊ひろうこんぱいだ。体力を回復させるために寝る」


「もう授業だぞ」


「それまで寝たら十分だ。睡眠時間は1秒あればいい。名付けて1秒睡眠」


「1秒って・・・。まばたきじゃねえか・・・」


「まばたきって寝たうちに入るの?」


「さあ・・・。それよりニュースがあるんだ!」


「へえ」



 ガラガラ。



 先生が教室に入った。


「ホームルームをはじめる」


 先生が前に立つ。


「転校生が来ることになった」




「「「えええええええええええええええええええええええええええええ!!!」」」




 ザワザワ!



「静かに! 転校生、入りなさい」


「はい」


 扉が開く。


 転校生が教室に入ってきた。




 ・・・ん?




「可愛いぞ!」

「綺麗だわ!」

「上品な感じがする!」

「お姫様みたい!」




 ・・・既視感きしかんを覚える姿だな。




 ペコリ。


 転校生がお辞儀じぎする。


木夏きなつきなです。転校初日から遅刻してしまいました。不束者ふつつかですが、よろしくお願いします」


 木夏きなつは苦笑混じりに微笑んだ。


 男子たちは顔が赤くなった。


「あっ」


 俺と木夏きなつの視線が合う。


「・・・」

「・・・」


 木夏きなつは顔は真っ青まっさおになった。





木夏きなつさんは春崎はるさき君の隣に座ってください」


「・・・はい」


 こっちに歩いてくる。


 木夏きなつが席に座る直前、俺を道端に落ちているウンコでも見る目で見てきた。


 視線から声が聞こえるようだ。


『なんでアンタがいるの!』





 知るかああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!





 木夏きなつは俺の隣に座る。


 二度と顔なんて見たくないとののしられたのに、俺たちは数分後に再開した。


 俺は心の中で叫ぶ。


 転校生だったのかよッ!

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