第9話 これがU15に選ばれた男のプレーだ!

「煽ってた割にはこんなもんか。試合はまだ終わらせねぇぞ」





バックレイアップが綺麗に決まり、俺達は反撃の狼煙を上げた。


「たかが一本決めただけで調子に乗んなよ。滝川、ボールを寄越せ!潰してやる」


佐川は俺に1vs1を仕掛けて来た。

右や左、フェイクをいっぱい使って引っ掛けようとするが俺は引っ掛からない。

「クソッ どうして引っ掛からないんだよ。さっきとは違うじゃねぇか」


ーそんなの簡単だ。俺が集中しているし、フェイクばっかで抜きにくる意思が全くないのがわかるからだ。それにフェイクが大袈裟だしー


焦った佐川は強引に抜きにくる。俺はわざと抜かれるフリをした。

「へっ、やっぱこんなもんか。驚いたがたいしたことないな」

抜いた後わざと煽るためか止まってこちらに言ってきた。

どうやら佐川はまだ気が付かないらしい。


「おい、佐川。ボールどうした。持ってねぇぞ」

「なにぃ」


どうやら滝川が言ってから気が付いたらしい。いや、ボールが帰って来てないんだから気付けよ。

「おい米谷。何した」

「そんなの簡単だ。わざと抜かれたフリをして気を抜いた瞬間にファールしないようドリブルカットしただけだ」

「あ、ありえねぇ」


『なんだ、なんだ。米谷めちゃくちゃ上手くね?このまま勝てるんじゃね。あいつらすぐに煽るから2人に勝って欲しいな』

野次馬であるクラスメイト達はどうやら俺の二つのプレーを見ただけで上手いと判断したらしい。まだこれからさらにギアを上げて行く気なのに。


「流石は2U15だけあるな」


徹がまさかのカミングアウトをしたことで周りはざわめきだした。

「なに、U15だと」

「ありえねぇ」

どうやら滝川と佐川も驚きのようだ。


「なぜ、そのことを徹が知っている?」


「顧問に聞いたからだ。そのことは後ででいい。そんなことより俺はめちゃくちゃ上手いアシストパスを期待してるぞ」

「できるか分からないがこの後のプレーで見せつけるぞ」

そう言って俺はオフェンスを始めた。


今度は最初っからディフェンスに突っ込む。そしてボールを自分の背に回しながらドリブルチェンジをする。ビハインドドリブルだ。

それから一回だけドリブルで突っ込み、レッグスルーで後ろに離れその勢いのまんまボールを持ちトラベリングにならないようにさらに一歩後ろへ下がった。ステップバックだ。そして俺はスリーポイントラインより後ろに下がってシュートを打つ。


スパッ

スリーポイントも綺麗に決まった。これで8ー6だ。

そして流れは完全にこっちにくる。


佐川と滝川はこれで相当焦ったみたいだ。

次のオフェンスでパスミスをし、俺らにボールが回った。

俺はチラッと徹にアイコンタクト。

徹も頷き返す。


俺は徹が待ち構える右側に突っ込んだ。

当然ディフェンスが2人いるから挟まれる。だが、これが俺の狙いだ。

俺を挟むということは徹は今、ディフェンスがいなくフリー状態だ。完全に得点チャンスである。

野次馬達を盛り上がらすために俺はビハインドパスを出す。これも高等テクニックだ。


周りは再びざわめく。

「ナイスパスだぜ幸也」

徹はフリーでスリーポイントも打ち決める。


ー流石県大会1位のチームのキャプテンだー


「ナイッシュー、徹。流石だな」

「これで同点だ。煽られた借りを返すためにさっさと潰して勝つぞ」

「おう」

このプレーで俺達は同点に追いつく。



「煽ってたわりにはすぐに追いつかれたな。散々煽ってた奴に負けた気分はどうだ」


「「クソッ」」


完全に焦り、さらに煽られた2人はもはや冷静さが見られなかった。

仕返しに徹と挟みに行ったら簡単にボールを取れた。


「幸也。ラストはお前が派手に決めろ」


ボールをスリーポイントラインの少し後ろでもらった俺はその場でシュートフェイントを入れる。焦る奴ほどよく引っ掛かるものだ。

佐川もフェイントでジャンプしてしまう。これで抜いて決めても派手ではない。一歩後ろに下がりスリーポイントラインより2m離れた距離でシュートを打つ。

スパッ

このスリーポイントも綺麗に決まった。

そしてこの時点で8ー10で俺らの勝ちが決まった。


「ゲームセットだ」



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こんにちは。春幸夜空です。早速バスケシーンを取り入れてみましたが幸也みたいにカッコよくシュートを決めたいものですね。

長かったので2つに分けての投稿になりました。


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