第8話 2vs2 そして過去と我慢

「学校の中庭にあるストリートバスケのコートでやるぞ」






俺達は勝負をするために中庭に移動した。


「幸也君、渡辺君、お願いです。勝ってください。私達は二人と遊びたいので」


「「当たり前だ」」


中学の時もそうだったがバスケで喧嘩を売られるとすぐに買っちゃうな。バスケを辞めてもこの癖が抜けないとは…

「ふん。喋ってられるのは今のうちだぜ。この後は俺達と遊んでもらうんだからな」






「着いたぞ。ここがお前達が俺らに負けるコートだ」

「ふん。負けるのはそっちだろ。こっちは勝つ気満々だ」


ー絶対に勝ってみせるさー


俺はバスケをしたら体調が酷くなることをこの時はまだ知らない。

教室での出来事だったからクラスメイトが興味本位で付いて来た。


「ルールは簡単だ。点を決められたり、パスカットやドリブルカット、シュートカットをしたらスリーポイントラインより外側に出てからオフェンスをやる。そうだな。10点マッチで勝負だ。もちろん得点数は3vs3と同じく普通のシュートは1点、スリーポイントシュートは2点とする。分かったか」


「「ああ。それじゃあ勝負だ」」


「先行は可哀想だからお前らからにしてやるよ」

俺達は散々煽られてぶっ潰そうとやる気満々だ。


「それじぁ、スタートだ」





「幸也」

「おう」

俺は徹からパスを受け取った。


ーお前が外したから負けたんだー

ーお前がもっと周りを頼っていれば…ー


突然、そのような事が思い浮かび頭痛がした。

「うっ」

「へへっ隙ありだ」

俺は佐川にボールを取られた。そして、スリーポイントまで戻り速攻で1点取られた。

「幸也どうしたんだ」

「悪い」

俺は徹に迷惑をかけたくないから頭痛のことを黙った。

「口だけ達者だなぁ、米谷」


たかが1点取っただけでもう奴らは煽り始める。



その後もパスをもらうも頭痛のせいでなかなか集中したプレーができずカットされては得点を取られ、早くも8ー3で差が開いてしまう。


ーまさかここまでバスケに対するトラウマがあったなんてー


俺はこれはもう負けたなと少し思ってしまう。


「おい幸也。まさか諦めたとか言わないよな。お前はあの日の試合で最後まで諦めなかったじゃねぇか。まだこれからだろ。確かにお前にはトラウマがあるかもしれない。だが少しでもいいから乗り越えてみろ。また楽しくバスケができるはずだ」


「ごめん。でももう無理だろ…

俺がこんなひどいプレーをしていたから徹に迷惑をかけ、大差で負けている」


「だからって諦め…








「幸也君!渡辺君!頑張ってください!」


「幸也君に徹君、負けたらあたしは許さないぞー」


コートの外から必死に応援をしてくれている花蓮さんと莉緒さんが見えた。


ーあぁ。俺は花蓮さんと莉緒さんのことも裏切ってしまうのか。チームメイトに期待されていたときのように…

いや、違うだろ。もう俺は裏切りたくない。頭痛がなんだっていうんだ。こんなの我慢すればいいだけだろ。しっかりしろ、こいつらに勝つんだろー


「すまん徹。俺がミスして俺が勝手に諦めてた。トラウマがなんだ。頭痛がなんだ。あんなに応援されてたら頑張るしかないじゃないか。たかが5点差だろ。徹、勝つぞ!」

「あぁ。確かにあんなに応援されてたら負けられないな。怒られるだろうしなwでも頭痛は無理すんなよ」


「おいおい。こんなもんかよ。米谷とか雑魚すぎて相手にならん…」


滝川が煽るのを辞めた。いや、辞めざるを得なかったという方が正しいだろう。なぜなら、が変わったからだ。



「まだ、ゲームは終わってないぞ。徹、パスをくれ」


俺はパスをもらった。また頭痛がする。だが今はどうでもいい。

佐川は警戒する。しかし誰にも俺のことは止められないだろう。


まず、フロントチェンジで佐川のディフェンスを揺るがす。そしてインサイドへ抜こうとしてレッグスルーで後ろに下がる。ディフェンスが慌てて来たところを一気に抜き去る。そしてリングへレイアップ。だが滝川がブロックへ飛んでくる。俺は右手にあったボールを空中で左手に持ち替え、さらにバックレイアップへ切り替えた。

そう、これが上級者ができる、ダブルクラッチのバックレイアップといい高等テクニックだ。俺のバックレイアップは綺麗に入る。
















「煽ってた割にはこんなもんか。試合はまだ終わらせねぇぞ」

これで8ー4

ここから幸也、徹チームの快進撃が始まる。



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