第2話

「チート上げましたよね?」


 何やら先程まで神聖さが掻き消え、恨めしげに問われた私ですが......困った事にチートという物が何の事か私には分かりません。

 チート......確か『ずるい』『だます』そういった意味だったという事は分かるのですが......

 ズルいを上げたと言われましても......。

 もしかしてアレの事でしょうか? 


 転生する時に女神様が特典と言って、与えてくれたスキルの事でしょうか?


「そう、それ『万物創造』上げましたよね?」


 なるほど、確かに納得です。

 確かにアレはズルいと言われれば否定できませんね。

 アレがなければ村が毎年豊作とはいかなかったでしょうし、魔物の脅威と無縁とはいかなかったでしょう。


「あのような素晴らしいスキルを、お与え下さり、ありがとうございました」


 やはり、この女神様には感謝の気持ちしかありませんね。

 本当に幸せな一生でした。


「だぁっ!  そうじゃないのよっ! それはもういいってのよっ! なんでなんでーーやらかさなかったのよ!?」


 なぜでしょう? 

 なぜ突然、女神様は髪を振り乱し地団駄を踏むのでしょう?

 やらかさなかった、とは何の事でしょう? 

 実は私には、果たさなければならない使命のような物があったのでしょうか?

 最初に、そういうものは無いと確認した筈なのですが?

 

【自由に好きに生きろ】と、言うのが転生の契約だった筈なのですが?


 しかも、私は只の村人として生を受け村人として生をまっとうした身です。使命のようなものはーー今世では間違いなく無かったと思うのですが......?


「だ~か~ら~~~! なんで只の村人で終わってるのよ!!」


 ......私には女神様のおっしゃる事が全く理解できません。

 そんな私に女神様は、地団駄を踏みながら手を振り回しています。

 恩神に対して不敬かもしれませんが......正直に申しまして......子供が癇癪を起こしているとしか......。


「うっさいわね! いいから答えなさい!」


 心の声にお叱りが返ってきました。

 私は反省を示すため正座をして答えようと思いましたが......質問の意図がよくわかりません。

 問われた事にそのまま返すと......

 只の村人だから?

 になるのですが、コメカミをヒクつかせている処から、この答えはダメなのでしょう。


「ハァー。昔、無茶な税収を吹っ掛けてきたバカ貴族がいましたでしょ? アナタあの時どうしました?」


 ふむ、それは確か私が二十歳前後の事でしたね.....確か突然、税収を三倍と言い出し、払えなければ女子供を差し出せと言われた時の事ですかね?

 ふむ......あの時は確か......。


「普通に税収を納めました」

「なんで納めんのよ!! 潰しなさいよ!! プチっと潰しなさいよ!!」

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