第4話[過去]

あいつらにつけられた名前何て…。

黙る私の手をナナナは握ってくれた。

訳あり何だろう。

そう思ったのか、彼女は私をボスの所へ案内してくれたんだ。


「名前が無いのなら、ボスにつけて貰えばいい。」

「ボスならきっと、いい名前をつけてくれるから。」


彼女はそう明るく言うが…。


「エンジェルだ。」


エンジェルって…。

ボスは赤面している私に私と歳が近い子達を紹介してくれた。

大吉、中吉、吉、小吉。

ラッキーにハッピー。

とにかく変わった名前の子達が私を迎え入れてくれた。


「どうだエンジェル。」

「皆んな縁起の良い名前の子達だ。」

「お前を含め、将来、皆んな幸せになるだろう。」

「ハハハハハ。」


声高らかに笑うボス。

そんなボスの名前はバッドだった。


この巨大なゴミ山に住む人達は皆んな優しかった。

血は繋がってなくても、実の両親以上に愛してくれた。

ボスは言う。

我らはファミリーだと…。

家族。

そう私達、皆んなは家族なんだ。

世界で一番、巨大な家族。

毎日が楽しく、そして幸せだった。

奴が来るまでは…。


悪鬼を先頭に黒いマントを羽織った連中がスラム街に現れる。

人の内臓を潰し、苦しむ声、悲鳴、それらを聞いてゲラゲラと笑う悪鬼。

テレビと真逆の印象に戸惑う中、ボスが対話をしに現れる。

当時は知らなかったが、ボスは色々な悪事に手を染めていた。

そうしなきゃ、私達を養っていけなかったからだ。

ボスは悪鬼に懇願した。

他の、無関係な人達は助けてくれと。

だが、悪鬼はボスの前で、捕らえられていたラッキーを殺した。

それどころか、影に無関係な人間も殺す様に命じた。



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