第4話[過去]

逆上するボス。

そんなボスを嬉しそうに殺す悪鬼。

それを見て、私は怒りを募らせる。


「許さない。」

「殺す。」


そう叫ぶ私をナナナが止めた。


「エンジェル、あなたは私達の希望なの。」

「殺させる訳にはいかない。」


ボスは私の居ない所でいつもナナナに語っていたらしい。

私はスラム街の希望だと。

幼くして能力を解放させたのは、スラム街では私が初めてだったらしい。


「エンジェルは将来、このスラム街のボスになる。」

「それまでナナナ、俺達であいつをサポートして行こうぜ。」


そのボスの言葉を守り、ナナナは私を優先的に逃した。

目の前で、老若男女関係なく家族達を殺され怒りを抱きながら、私はゴミ山の秘密の地下水路へ連れられた。

怒り狂い自分を抑えられない私をナナナは強く抱きしめた。

彼女の泣き声を間近で聞き、私は冷静さを取り戻す。


「ナナナ、私、もっと強くなるよ。」

「奴らを殺せる位、強く。」


それからしばらくして、私はある全国中継を目にする。

冬秋春夏。

産まれながらSランク認定を受け、親元を離れ、施設の研究機関に八年も過ごした少女。

彼女がSランク第一位の悪鬼と戦うという事で、その様子を全国生中継でテレビに放送された。

表向きは善人の優しいお姉さん。

そんな悪鬼が春夏に追い詰められていく。

子供相手に手加減していた悪鬼。

だが、徐々に本気を出していき、終いには春夏を殺そうと全力を出していた。

そして、悪鬼は春夏に負けた。

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