第3話[不愉快です]

影とスラム街の繋がりについて指摘され、溜め息を吐くデッド。

だが、だからといって、動じる事は無かった。

そんなデッドを前にし、不適に笑うマリア、彼女はデッドが過去に影から受けた仕打ちについて話し始めた。


「だからそれがどうした。」


「どうしたって、復讐はしたくない訳?」


再びデッドは溜め息を吐いた。

過去に影が悪鬼を先頭にスラム街を滅ぼしかけた話し、それはスラム街の前のボスが密輸や暗殺、そういった裏家業に手を染めたからだ。


「ボスはこのゴミ屋敷に住む人達を救おうとした。」

「だが、やってる事は犯罪。」

「政府に目をつけられて当然だろ。」


鼻で笑うデッドだが、次のマリアの言葉で表情が変わる。


「その戦いに巻き込まれた子供達はどうなの?」


「憎いに決まってんだろ。」


今まで我慢してきた感情を爆発させる。

マリアの言葉で、過去の記憶が鮮明に思い出されたからだ。

目の前で友人達が殺されていく様、子供達を守ろうと老人達が庇い死んでいく様子。

どれもこれも、鮮明に思い出されていく。

デッドは春夏の顔を見て、心を落ちつかせた。


「復讐したくない訳?」


先程と同じ質問にデッドは答える。


「できる事ならしたいよ。」

「だが、出来ないんだよ。」

「私は、このスラム街を守っていかなきゃいけないんだ。」


そんなデッドの肩にナナナが手を置いた。

地位何て捨てて、復讐をしよう。

ナナナの提案に即答出来ず、困っているデッドにマリアが再び話しかけた。


「地位何て捨てる必要無いじゃない。」

「私達は国の為に働いているのよ。」

「国民である嬉々を助けるのは当然じゃない。」

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