第3話[不愉快です]

そう言うとマリアはメイド達をモニターに呼び、影について調べさせた。


「あのお嬢様、それって犯罪じゃ…。」


気弱そうなメイドがモニター越しに話しかけてくる。


「大丈夫、これは人助けよ。」

「一般市民が命を狙われているのよ、放っておける訳ないじゃない。」


「人助け…。」


そう呟き、気の弱そうなメイドは何度も同じ言葉を繰り返す。

そして…。


「こういう仕事を待っていました。」


彼女はそう言うと、自室へ戻り、パソコンと向き合った。

キャラが急変し、戸惑う春夏達にマリアは彼女について説明する。

彼女は気になった事を調べずにはいられない性格で、未解決事件など詳しく調べていく内に、不正アクセスで政府の機密事項を覗き見した疑いで逮捕、実刑を喰らった事があるらしい。

出所後、母に拾われ、私のメイドとして雇われたみたい。


「正義感が強く、ヒーローに憧れてるのよ。」

「それに、我が修道院家のメイド達は全て何らかの特技を持つ者ばかり、両親が私を守る為に雇った、優秀な人材ばかりよ。」

「まあ、だからこそ、口が悪い奴らが多いんだけど…。」


マリアは春夏に笑顔を向ける。

私の方が頼りになる。

そう言って貰いたいからだ。


「マリアちゃん、ありがとう。」


涙目の春夏を見て、マリアの胸がキュンとなる。


(止めて、そんな顔されると、もっと尽くしたくなるじゃない。)


顔を赤らめるマリアに対し、春夏は自分の選択に後悔する。

自分のせいで、嬉々をまた傷つけてしまった。

スラム街に行かなければ、嬉々は傷つかなくて済んだんだ。

そう思い、嬉々に謝る春夏だが、嬉々は何で謝られてるのか理解できず、首を傾げた。

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