第3話[不愉快です]

「いいか、教えてやるからしっかり聞いとけよ。」

「奴らは国が管理する暗殺部隊、影。」

「国家内の問題やテロ行為などを未然に防ぐために作られた組織だ。」


かつて、私のスラム街も悪鬼を筆頭に奴らに攻め入られた。

裏では暗殺部隊、表では鎮圧部隊。

双方、使い分け活動している。

影について話さないという約束で、Sランクの筆記試験を免除して貰ったが…。

まあ、夕方に路上で暗殺しようとした奴らが悪いし、まともの殺し屋でも、もうちょっと上手くやる。

それに、国のトップの能力者が騒ぎ、嗅ぎ回れば、影の方も困るだろう。

影の存在は一部の政治家しか知らないのだから。

とりあえず、何としてでも春夏達を追い返さないとな。


「そんなヤバイ奴らに目をつけられる何て、相当な理由だ。」

「もしかしたら、本当に殺してるのかもなぁ、両親を。」

「だとしたら…。」


春夏は目の前のテーブルを叩き、デッドを黙らせる。

泣きながらもこちらを睨んでくる目。

その目にデッドは少し胸が苦しくなった。


(春夏、お前はどうして他人の為に泣ける。)


「デッドさんに相談した、私が馬鹿でした。」


嬉々の手を握り、ゴミ屋敷から出て行く。

ナナナはデッドを横目で睨みながら、溜め息を吐いた。


「でも以外ね。」

「昔の貴方なら、喜んで春夏さんに協力したでしょ。」


確かに、昔の私なら喜んで春夏に協力した。

だが、今は違う。

この地位を何としても死守したい。

そうすれば、もうスラム街が影に目をつけられことは無い。

だから私は…。


「私は今も昔のままよ。」


ナナナはそう言うと、奥の部屋へ戻って行った。

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