第3話[不愉快です]
窓は割れ、看板はボロボロ、辺りにはゴミが散らかっている。
そんなスラム街に嬉々は居た。
黒マントの男。
その正体が分からず、春夏について来たものの、本当に大丈夫なのだろうか。
嬉々は怖くなり、春夏の服を掴んだ。
「んっ、大丈夫だよ。」
「私がついてる。」
嬉々を安心させようと笑顔を向ける春夏だが、嬉々には不安しかなかった。
しばらく歩くとゴミ山が見えた。
かなりの高さにゴミが積み上げられ、その中央には、入り口らしきものがある。
そこへ迷う事なく春夏は入る。
「あっ、春ちゃんだ。」
入り口に入るや否や、子供達が春夏を囲む。
「はぁ〜い、春ちゃんだよ。」
笑顔で子供達に接する春夏を見て、嬉々は思った。
(遊びに来たのだろうか?)
しばらく、子供達と触れ合い、今日はデッドに会いに来たと告げると、子供達は春夏の両手に絡みつき、引っ張って、デッドがいる部屋へ案内する。
「姉ちゃん、お客様連れて来たよ。」
「ああ、客だぁ。」
明るい子供の声に対し、低く迫力がある声。
嬉々は春夏の背中に隠れ、春夏の服を握る。
彼女の全てが怖い。
震える嬉々の手を握り、春夏は嬉々を紹介した。
デッドの鋭い眼光で嬉々は動けない。
それどころか目を見る事すら出来ない。
「何しに連れてきた?」
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