第1話[超能力バトル]

だとしても私はこんな能力、大っ嫌いだ。

誰とも触れられない、こんな能力…。


暗い表情のマリアを見かねて、春夏はマリアを抱きしめた。

いきなりの事で驚くマリアだが、産まれて初めて感じる人の温もりに心地良さを感じ、マリアはそのまま、春夏の言葉に耳を傾けた。


「ねぇ、マリアちゃん。」

「私と一緒に、この国を守ろうよ。」

「マリアちゃんの能力なら、きっと大勢の人を救う事ができるから。」


まただ。

春夏の言葉に胸が苦しくなる。

それも、嫌な苦しみでは無い。

彼女にとって、私は必要な存在なのだろうか?


「私の能力が必要って事?」


「うん。」


汚れ無き春夏の笑顔。

その笑顔にマリアの心が締め付けられる。

それと同時に嬉しくもある。

先程まで殺意を抱いていた筈なのに…。


「分かった。」

「降参よ。」

「私の能力が効かない以上、私に勝ち目は無いわ。」

「だから降参します。」


口籠もりながらそう言うと、マリアは何だか恥ずかしくなると同時に顔が熱くなり、両手で顔を隠し、逃げる様に控え室へ帰って行った。

その様子を見ていた狂華が溜め息を吐いた。


「全国中継で愛の告白だなんて羨ましい。」

「ですが、マリア殿。」

「春夏殿は私が先に目をつけたんですよ。」


そう言い残し、狂華は身支度を済ませ、家に帰って行った。

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