第1話[超能力バトル]

私は何故こんな所に居るのだろうか。

ランキング戦?

くだらない。

こんな事をしたって、何の意味もない。

だって私は、屋敷から出られないのだから。

人を傷つけるだけで何の意味もない。

父はどうしてこんな大会に出る事を提案したのだろう。

Sランク入りを果たし、政府の為に働かせたい為?

給料なんて私の毎月のお小遣いより少ないのに。

なら、やっぱり名誉の為か。

娘がSランク第一位何て、鼻が高いものね。

だとしたら、実に不愉快だ。

私は会いたいとお願いしても会ってくれない奴の為にこんな事をしているのだから。


春夏の登場で会場が盛り上がる。

冬秋春夏。

話しによると能力が効かないとか…。

だからどうした。

見知らぬ人間に能力が効かないからといって、私が変わる訳でもない。

効かなかったら効かないで、私の順位が下がり二位になるだけだ。

そう思っていた。


「マリアちゃん、マリアちゃんは自分の能力が嫌い?」


春夏のその言葉にマリアは怒り、眉間にシワを寄せ、叫んだ。


「こんな能力、嫌いに決まってるじゃない。」

「何も知らないで無神経な事、言わないでよ。」


誰かに対し、こんなに感情を露わにしたのは初めてだった。


「私はマリアちゃんの能力はすごいと思っているよ。」


産まれて初めて殺意を抱く。

何がすごいだ。

こんな能力、すごい訳ない。

すごい訳ないんだ。

目の前で死にたいと叫ぶ人間を見て、私がどれだけ辛い思いをしているか、コイツには分からない。

一回戦の時だって、平然を装い欠伸をしたが、内心辛かった。

こんな悪魔みたいな能力のせいで、私は…。


「だって、マリアちゃんの能力、マリアちゃんを一生懸命守ってるんだもん。」

「私と一緒だね。」


春夏の言葉にマリアは戸惑った。

守る。

私の能力が私を…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る