第3話
「司書さん。話があります」
「なんですか。」
司書はそういうと手に持っていた本をパタンと閉じた。
「勉強ってなんでするんですか?」
「勉強ですか……。それは他の生徒たちも疑問に持つでしょうね。」
司書は顎に手をやり少し考える。
「それは、社会を学ぶためじゃないですか?」
「社会?勉強で?」
「そうですよ。では、少し考えてみてください。ゲームで社会は学べますか?」
「それは、ゲームで生きていく人は学べるのではーー」
「確かにプロゲーマーとして生きていく方はゲームでゲームの社会を学びますね。ですが、
先ほど言ったようにそこで学べるのは『ゲームの社会』のみです。」
生徒は「確かに」と納得した様子だ。
「でも、それでは勉強の社会しか学べませんよね?」
「確かにそうですね。では、少し比べてみましょう。ゲームの社会と勉強の社会。どちらが
世の中に近いでしょうか?」
「それは……。」
司書は少し微笑んで生徒の方をみた。
「おそらく、学生たちは勉強をしないための理由を探しているのだと思います。確かに、親
や先生達から耳にタコができるほど勉強について語られるのならば反抗したくなる気持ちもわかります。ですが、その反発、反抗であなたは何を得ることができますか?言い返す勇気ですか?それも大事ですが、私が最も効率の良い反抗とは相手の予想を超えることだと思い
ます。」
「待ってください!予想を超えるってそんな簡単なことなのですか?」
「いえ、簡単なことではありませんよ。でも、そうすることで得るものはたくさんあると思います。そして相手の予想を超える過程のことを努力というのだと思います。」
「努力……。わかりました!ありがとうございます!」
「では、いってらっしゃい。」
こうして2人の昼休みは終える。
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