おまけ 写真部屋
佐倉さんは写真魔だ。頻繁にぼくの写真を撮ってくる。
無断で盗撮まがいのことをするときもあれば、一言断りを入れて、一緒に自撮りすることもある。
付き合う前から良く撮っていたけれど、付き合いだしてからはより一層たくさん撮るようになった。
ある日、佐倉さんの家にお邪魔していたとき、ぼくは尋ねた。
「佐倉さんって撮った写真はどうやって管理してるの?」
「自分で分かればいいから、内容とか日付で簡単に分類してるぐらいかな。スマホに入りきらなくなった分は、ハードディスクに移してるよ」
「現像とかはしないの?」
「大事な写真だけしてるかな。奥にある部屋に飾ってあるけど、見る?」
興味がある。
佐倉さんがいっぱい撮った写真の内、どういう写真を大事なものとして選び出しているのか知りたい。
「あれを見せるんですか……?」
傍にいたメイドさんが口をはさんできた。
彼女は基本的に、こちらから声をかけない限りは黙っていることが多い。いつも落ち着いていて、凛とした佇まいなのに、珍しく感情を露にしている。その様子を一言で表すと、ドン引き――だ。
なんだか猛烈に嫌な予感がした。
「えっ……ダメ?」
佐倉さんは不思議そうにしている。見せることに特に抵抗はない様子だ。
うーん。ぼくの気にしすぎだろうか。
「この部屋で大事な写真を管理してるよ」
「うん。じゃぁ、失礼します」
佐倉さんに案内してもらった部屋の扉を開けた。
「うわぁ……」
佐倉さんの家はお金持ちだ。写真を管理するためだけの部屋もかなり広い。家にあるぼくの部屋より大きいのではなかろうか。
そんな部屋一面に、ぼくの写真が飾られていた。無数の写真は、すべてぼくが写ったものだった。
もっとお姉ちゃんとか、佐倉さんの家族が写った写真もあるかと思っていたので面食らってしまう。
「凄いでしょ」
自慢気にえっへんと大きな胸をはっているが、さすがにぼくも少し恐怖を感じてしまった。
これをためらいなく見せてくるところも、余計に怖い。
――まぁでも、そんなところも好きになっちゃったから仕方ないけど。
「これ懐かしいな」
飾られた無数のぼくの写真を見ながら、昔のことを振り返るのであった。
佐倉さんは以前、写真が記憶のトリガーなんだと言っていた。その言葉通り、写真を指定すると、そのときの出来事について詳細に語ってくれる。
まるで追体験しているかのように感情をのせて、雄弁に話した。
記憶力には自信があるぼくですら、忘れているようなことまで覚えているから驚きだ。
「弟くんとこうして一緒に写真を見れて、すごく幸せ」
佐倉さんが写真に拘る理由が少し分かった気がする。
なるべくたくさん、一緒に写真を撮る機会をつくってあげたいと思った。
「じゃあ今から一緒に写真撮る?」
佐倉さんは満面の笑みでうなずいた。
きっと今から撮る写真も、この部屋に飾られることだろう。
ぼくはお姉ちゃんとお風呂に入りたいんだ! 〜超一流の弟を自称するショタ中学生はえっちな女子高生(姉の親友)に弄ばれる〜 ほえ太郎 @hoechan
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