19.男の子と女の子な水曜日
水曜日
期末テスト1週間前となり、部活動のほとんどが休みに入る
放課後となり、帰って勉強するかと思っていると
「あっ、海北君ちょっと話したい事があるんだけど放課後空いてる?」
珍しく空橋からお呼びがかかった
空橋って事は彩花関連かな‥
しかし、いくら大地の彼女とはいえ彼氏持ちと2人きりは避けたいが‥彩花関連の話は他の人には聞かれたくないしなぁ
「あー‥大地は?」
「あっ、大地もいるから安心して。ふふ、相変わらず海北君は気配り上手よね」
色々考えてたのバレてるし
その後、大地と合流して喫茶ディーテへ
俺、大地、空橋。このメンバーでディーテにいるのってあの日以来だな‥
奥の席について、各々に飲み物が来てから空橋が話し出した
「想像通りだと思うけど、これから話すのは彩花の事。これを聞いて彩花を許してとかそんな事言うつもりはないけど、浮気をしてしまった時、彩花がどんな事を考えていたか、それを聞いて欲しいの‥」
そうして空橋は彩花の浮気の詳細、その時何を思ったかを話し始めた
最後まで聞き終えて
「弱さか‥」
思わず呟いた
確かに俺は、中学2年のあの頃から家族とか親しい人に対しては特に弱さを見せる事をやめた
折れそうでも必死に虚勢を張って、強がって、絶対に弱ってる姿は見せないようにした
母さんや真凛を不安にさせたくなかったから‥
それが彩花を不安にさせていた‥
これじゃあ笑い話にもならない
「なるほどな‥‥つけ込まれたってのも分からなくはないが、それでも俺は10対0で海に非は無いと思うけど。海がいるのに拒めない花島が完全に悪い」
と不機嫌な顔で大地が言うと空橋が
「んー‥例えばさ、大地とか細かい気遣いあまりできないけどさ、そんな中で道を歩いてる時にさりげなく海北君が車道側に移動したりするでしょ?あーゆーの結構ドキッとかキュンとかするものなのよ」
大地がこの上ないくらい絶望したような顔をしている
いや、大丈夫だから!取ったりしねーから!
そして空橋の話は続く
「女の子は結構そういうところ、あったりするものなのよ。彼氏にないものを見せられると特にね」
「んー‥‥まぁ、それを言うなら男なんてちょとボディータッチされるだけで彼女じゃなくてもドキドキしちゃう単純な生き物だしなー」
少し復活した大地が言うが確かに分かる気はする
そういう状況になった事はないけどな
そういえば‥
「そういや大地、球技大会で女子にタオル渡されるついでに手握られてあたふたしてたな」
「‥大地、後で話がある」
おー、絶望にこの上があったな。ムンクもびっくりな顔になった
「まっ、何となく話したい事は伝わったわ、ありがとな空橋」
「ハァ‥そこでありがとうって言えちゃう、そういうとこよホントに」
「いや、俺も彩花の性格は分かってるつもりだし、そういう優しい所を好きになったってのもあるしな‥ちょっと家でゆっくり考えるわ」
そう言って一足先に帰る事にした
おい、大地、縋るような目で見るな
まあ‥大地と空橋が俺達のせいで上手くいってない。なんて事も無さそうで良かったよ
それにほんとに‥ゆっくり考えたい
家に帰り、リビングに行くと真凛が寛いでいた
「お帰り、兄」
「ただいま、真凛」
何となく聞いてみたい事を聞いてみる事にした
「なあ、真凛は好きな人とか気になってる人とかいたりするのか?」
「えっ!?何急に?‥んー‥指標にしてる人ならいる‥かな」
「その人に欠点っつーか、ここがもっとこうなら良いのに‥みたいなのってある?」
「ない」
「何もないの?」
「うん、ない」
え?何そのパーフェクトヒューマン
「そもそも、兄の事だし」
「そうか俺か‥‥俺?」
「うん」
「いや、俺は何というか‥ただの見栄っ張りだぞ?」
「はぁ‥まったく。ここぞという時に見栄を張って張りきれるのが格好いいんじゃない。告白されても比べてしまって、まったくトキメかない妹の身にもなってほしいよ」
「それは‥悪い事をしたな」
「あっ、そうだ。ここがもっとを強いてあげるなら‥」
「あげるなら?」
「完璧な兄じゃなくても私もお母さんも、もう大丈夫だから。もっと私を頼ってね」
その真凛の言葉に
「そう‥だな‥」
俺の返事は少し歯切れの悪いものになったかもしれない
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