15.バスケがしたい月曜日
月曜日
玄関を出るとやはり彩花がいて
ごめんなさいと呟き頭を下げる
俺は
「この前は真凛が悪かった」
そう言って彩花の前を通り過ぎた
俺は‥何であんな事を言ったんだろう‥
何か言うのであれば
もう、こんな事しなくていいと言えば良かったじゃないかのか?
‥いや、そう言ったら許した事になってしまうのかもしれない
‥‥それとも、いくら謝られても絶対に許さないという意味になってしまうのかもしれない
絶対に許さないと‥思われたくない?
俺は彩花を‥‥‥許したいのか?
やっぱり分からない
頭の中での自分への疑問が、自分で答えられない
彩花が来なくなれば‥この、朝の歪な関係まで切れてしまえば、もう二度と彩花と関われない気がして、俺は‥まさか‥繋ぎ止めたいのだろうか‥
俺は彩花から、自分の気持ちから、逃げるように足を早めた
学校に着いてクラスに入ると何人かに
え?誰?
というリアクションをされて面白かった
照史と、失恋で散髪とか乙女かよ!うるせーよ!
なんて軽口を叩いて、気分も軽くなった
席に着くとよもぎが挨拶してくる
「おはー」
「おはよう」
「昨日はありがとね」
「帰った後、大丈夫だったか?」
「次いつ来る?って何回も聞いてくる」
「ははは、モテる男は辛いね」
「そうだね」
おっ、ちょっと笑った
「あっ、髪の毛、似合ってる。昨日言い忘れた」
「おー、何だ今更」
「なんとなく、言っておこうと思って」
行事とかがあると月曜の最初の時間に開かれるLHR
来週の月曜にやる球技大会の種目決めの時間がやってきた
男子はサッカーかバスケで、サッカーの方が人気らしく、すんなりとバスケで決まった
「海、バスケよろしくなー」
「おっ、照史もバスケか、できんの?」
「はぁ!?俺バスケ部だぜ?」
「え!?マジか!レギュラー?」
「いや、2年でレギュラーなのは大地だけだな、海仲良いっしょ?」
「ああ、つーかあいつレギュラーなのか。やるなー」
何でも次期エース様らしい
また部長になったりして
懐かしい気持ちになっていると大地からメッセージが届いた
大地:一緒に昼飯行かね?
海:おっけー
大地:んじゃ、昼屋上で
昼休み
大地から話を振ってきた
「球技大会、バスケにしたらしいじゃん?」
空橋に聞いたのかな?
「まぁなー」
「何かきっかけでもあったのか?」
「きっかけねぇ‥そう‥あの日‥怪我で居場所が無くなった俺は良くない連中と付き合うようになりバスケ部を襲撃したんだ‥」
「‥」
「次々にバスケ部員を殴り倒す俺達、もう収まりがつかない‥と、そこに現れたのはかつて俺に諦めない事を教えてくれた恩師だった‥」
「‥」
「そこで俺は涙を流しながらこう言ったんだ‥安東先生、バスケがしたいです‥と」
「なぁ‥その話まだ続くのか?」
「‥すまん‥もう限界‥‥‥いや、写真部の1年に雨宮ってのがいるんだけど、そいつが昔の俺の事知ってて、そもそも写真を始めたきっかけが試合中の俺を見てなんだと」
「ほう」
「で、もっかいバスケしてるの見たいっつーから、球技大会でバスケしてやるからそれで我慢しろって話」
「なるほどね、その後輩には感謝しないとな」
「何でだよ」
「俺も見たかったからさ。体育とかだと海真面目にやんねーし。その髪といい、懐かしいよ」
「あんまり期待すんなよ?当たったらブランク2年分の手加減を所望する、バスケ部の次期エース殿」
「はんっ、そのバスケ部次期エースが読書部に負けないように全力出すわ」
大地に情けない姿見せないようにしないとな
早速今日練習行くかー‥っと
一応雨宮にメッセージするか
海:今日バスケの練習行くけど来るか?
雲雀:行きます!
ははっ、返信はえーよ
自然と笑顔になっている俺がいた
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