第3話

 少女が顔を上げると、そこには巨大なドラゴンがいた。「上等よ」彼女はニヤリと不敵に笑った。


 その国は竜たちに脅かされていた。自分たちと同じ知能と、強大な力を持つ生命体に、いまや風前の灯かと思われた。


 竜は単体でも強いのだが、特に強力な竜は竜兵と呼ばれ、さらに彼らを竜王と呼ばれる存在が仕切っていた。


 竜は普通の爬虫類と同じくらいの知能しかないが、竜兵レベルになるとようやく意志疎通が出来(それでも、いわゆるオークとかそれくらい)、竜兵長クラスでようやく人と同じくらいの知能になる。


 竜自体にも種類があり、白黒灰赤青緑黄とようするに、鱗の色をそれっぽく当てはめ、それのなかに先にあげた階級があるような形になっている。


 さて、ドラゴンスレイヤーという職業がある。文字通りドラゴンを狩る稼業だ。この少女も、そんなドラゴンスレイヤーの一人であった。


「ほうほう、金10000!」「ええ、まあそれくらいのおツラいお仕事なんですけどね」「でも、竜一頭狩るだけでそんな大金がね。やるやる」「はあ、ではこちらのお仕事はオマカセします」その返事に少女はニンマリしながらうなずいた。


 そうして、話は冒頭に戻る。


 冗談じゃない、なんで僕があんな女のことをいつまでも引きずっていなきゃならないんだ


 男がグチグチ未練を語っているのを、友人は黙って聴いていた。散々同じことしか言わないので、無言サイレントが吉であるとわかっているから。


 彼に出会ったのは、わたしが彼の劇団に入ったのがキッカケ。彼、風体は冴えないし、まあやなやつだった。なんで付き合ったのかしら?


 結局、私はを愛していたかどうかわからない。そもそも彼にいかなる感情も感じなかったくらい。愛も怪しいものだわ。

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フラグメントの庭 今村広樹 @yono

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