第2話

『魔王軍にさらわれた姫を助けるために』という冒険者向けの募集チラシが、ギルドの掲示板にはられていた。

「へえ、流石に金1000000とかスゴいや」

「失敗しても、箔がつくな」

「行ってみる?」

 しかし、それは罠で、新しい捕虜いけにえを獲得しようという策略であった。

「ふふふ、ローコストで楽にできる技なのです」


「真の策士ってのは、想定外の出来事でも素知らぬ顔で予定通りと言えるやつのことさ」

 賢者は眠たそうな顔で、そう語る。

 ゆらゆらと頭を前後してるうちに、テーブルに正面衝突した。

「いたた」


 結局のところ、僕は彼女についてなにも知らなかった。名前や氏素性、好きな○○まで知っていた。けれども、彼女がをなに考えているか、どう思っていたかなんて、まったくわからなかったんだ。


「あなたは変わろうとしたふりをしているだけよ。決して変わろうとしない」

 別れる前、彼女はそう言っていた。

 彼女は女優を目指していた夢見がちな女性だったが、何故かその時だけリアリストになっていた。


 フラれた男はなぜ自分がフラれたかわからないとばかり言う。たまに屁理屈野郎がウダウダ別れた理由を考える。結局のところ、理由なんか1つしかない。すれ違いってやつ。

「なんで、こんなことになったんだろう?」

 と、現にある答えを見ないふりしてるだけなんだ、屁理屈野郎は。


「明日は明日の風がふく」そんなことをいった奴らは大概消えていった。後にのこるのは「生き残るためにはなんでもする」奴だけ。

 そんなことを言うと、彼は

「当たり前のことを言うんだね」

 と、返した。

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