27.事件はショッピングモールでおきたside三崎若菜


私は思った。

え‥‥‥何?どういう事!?意味が分からない。


そう、事件はショッピングモールでおきた






今日、私はお姉ちゃんと一緒に買い物にきていた。


お姉ちゃんは志望していた高校に無事転入できたんだけど、周りに知り合いがいない高校というのと大学受験に向けての勉強もあって忙しく、久しぶりのゆっくりとした姉妹の時間が楽しい。


駅からショッピングモールへ向かいながらお姉ちゃんと雑談する。


「葉月君とは最近どうなの?」


「ぐぬぬぬ‥‥強力なライバルがいるの。めっちゃ美人なの」


「あらら、大丈夫。若菜も可愛いわよ、頑張って」


「うう‥‥自信ない‥‥うん、でも!負けるつもりはないよ!」


「ふふ、その調子。あっ、お弁当どうだったの?」


「‥‥美味しいって言ってくれて‥‥頭撫でてもらった‥‥」


思い出して多分顔が赤くなってる私を


「もー、若菜ってばほんと可愛いんだから」


と言いながらお姉ちゃんは私をギュッと抱きしめた。




ショッピングモールに着くと、ここに来るまで少し疲れたのでお茶をする事にした。


すると喫茶店から出てくる女の子に見覚えが‥‥


あれ?櫻井さん?え!?誰あの男の人?


「若菜、何見てるの?」


「えっと‥‥」


「あら、美男美女カップルねー」


いや、そうなんだけど

さっき話した強力なライバルなわけで。


あれ?櫻井さんはツキに気があると思ってたけど違った?


ひょっとしてただの幼馴染み?

幼馴染みの距離感ってまるで恋人とか好きな人に接するような近さって何かで読んだ気がするけど


んー‥‥分からない‥‥



結局向こうには見つからず、私からも声はかけずに櫻井さんと男の人は出て行った。




喫茶店でお姉ちゃんと色々な話をする。

私もツキ以外は高校にはまだそこまで親しい人がいないので、お姉ちゃんとの会話がすごく楽しい。

20分くらいして飲み物が空になったタイミングで


「そろそろ出よっか」


とお姉ちゃんが切り出して喫茶店を出た。




私とお姉ちゃんは着る服のジャンルが違うので、まずはお姉ちゃんの服を買うのに清楚な感じの服が多いショップに入ろうとすると‥‥



あれ?ツキ?何か試着室の前で店員さんと話してるけど。知り合いかな?


「お姉ちゃんストップ!」


「え?どうしたの‥‥って、あら?あれ葉月君よね?」


「うん」


私とお姉ちゃんはお店の入り口からそっと顔を出して覗きながらツキを見る。



ツキは美人な店員さんと何やら話しているけど、私には分かる。あれは面倒臭がってる顔だ。

ひょっとしたら対外向けの敬語モードに入ってるかもしれない。

私のお姉ちゃんに対しても敬語モードが抜けて少し砕けて話してくれるようになるのに夏休み丸々かかったからね。



あっ、店員さんが離れたけど試着室から離れないって事は誰かを待ってる?



試着室が開いた!


って、え?大前さん?え?え?何これ?デート?



試着室から出てきた大前さんにツキが笑顔で何か言っている。


「あの子が若菜が言ってたライバル?」


「違う‥‥」


「あら?違うの?確かに美人というよりは可愛らしい感じだけど」


「うん、可愛いね‥‥」


確かに大前さんが謝りたいって言った時は、男子が苦手っぽいのに勇気を出して偉いなって応援したし、協力もしたけど‥‥いつの間にそんなに仲良く?それとこれとは話が別だよ!?


櫻井さんがライバルだと思ってたけど、とんだダークホースじゃない!



落ち着いて私!

えっと状況を整理すると、

櫻井さんはツキが好き。

大前さんはツキに感謝している。


と、思ってたけど実際は


櫻井さんとツキはただの幼馴染み(?)

大前さんはツキが好き(?)すでに付き合ってる何て事はないよね?‥‥‥ないよね?


「どうする?行ってみる?」


「どうしよう‥‥もし付き合っててデートとかだったら、私多分その場で泣く。絶対泣く。間違いなく泣き喚く」


「そ、それは‥‥行かない方がいいわね」



メッセージ送ってみる?何て?付き合ってる人いる?って?無理無理無理


学校で‥さり気なく聞いてみようかな?






とにかく

大前日向さん、要警戒



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