16. えんだぁぁぁぁあああ
ようやく東京に帰って来れたのは入学式2日前だった
親父の仕事の引き継ぎが難航してて、今後もこれから1年くらいは2週間毎に北海道と東京を交互に行き来するらしい。
つまりは月の半分は一人暮らし状態になる。
やべぇ‥料理覚えないと‥
それと、今の俺の姿を見て、隣の家のスミレちゃん(13歳)にドン引きされた。
あの引きつった笑顔が忘れられない。
呼び方も
蓮にぃちゃん→蓮華さん
に変わってスミレちゃんの中での俺の何かが完全に降格してるね。
そんな傷心中の俺に一通のメッセージが届いた。
三崎若菜:明日暇?
と、言うわけで入学式前日の今日、観光案内という名目で連れ出された。
で、待ち合わせ場所でサキがナンパされてるわけだが何だよこのテンプレ‥
こっちに知り合いいないだろうし、ナンパで合ってるよな?
はぁ‥めんどくせぇ‥
困り顔だったサキがこっちに気付いた
「あ!ツキ!」
俺はナンパ男の肩を掴んだ
「あ?なん‥「あ゛あ゛!?」‥ひっ!すっ、すいませんでした!」
逃げていくナンパ男を2人で眺める。
「‥ねえ?ツキ」
「何だ?」
「こーゆー時って、嘘でも俺の女に何の用だ!とか言って格好良く助けるシーンじゃない?」
「一理あるな」
「‥次の機会に期待しとくね。で、今日はどこを案内してくれるのかな?」
「あー‥どっか行きたいとこないの?」
「んー‥そうだねー‥せっかくの‥だし‥水族館!動物園!遊園地!一番近いのは?」
「水族館」
「じゃあ、水族館でよろしく」
「りょーかい、じゃあ行くかー」
‥あれ?今考えると街の案内で水族館っておかしくね?
水族館に来たが、あの時以来か。懐かしいなー
大水槽の前で思わず表情を崩す
「?何で笑ってるの?」
「いや、思い出し笑いしてたわ。3年前にもここ来たんだよ」
「へー、何か面白い事あったの?」
「さく‥幼馴染みが迷子になってな。探し出したら泣いてるもんだから、何とか泣き止ませたって話」
「‥女の子でしょ?」
「おう、俺らが入る高校にも来るはずだぞ」
「連絡取ってるんだ?」
‥あ、やらかした
何で俺が知ってるのか説明ができない
「いや、連絡取ってるわけではないが、多分来るんじゃねーかな、と」
「分かっちゃうんだ」
「なんとなくなー」
「ね、ツキはその幼馴染みの事‥」
サキが何か言いかけたところで
「好きです!僕と付き合ってください!!」
そんな声が大水槽前に響いた
「‥‥」
「‥‥」
俺とサキは押し黙って声の方向を向く
俺よりは多分年下の真面目そうな男が目を瞑って頭を下げて手を差し出している。
相手の女の子は赤い顔をしてあたふたしている
「‥‥」
「‥‥」
ハラハラとしながら見守る俺とサキ
そしてついに‥!
「‥お願いします」
女の子は男の子の手を握った
えんだぁぁぁぁあああ!
「いやー、いいもん見たなー」
「ねっ、ツキだったらどんな告白する?ピアノとか弾いてるし隠れロマンチストで薔薇の花とか用意したり?」
「はあ?んー‥変化球でベゴニアの花でも渡してみたり?」
「え?何それ?」
「告白って花言葉なんだよ。どーよ?ロマンチックだろう?」
「うわ、クサっ、あははは」
‥思い返せば小学校の時は桜乃と、中学の後半はサキと結構一緒にいる気はするが、俺自身が誰かと恋人と‥何て考えた事無かったな
高校に行けば何か変わるか?
明日、ついに俺の高校生活が始まる
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