12.イライラするside三崎若菜


入学から半年が経った。


クラスの中でも話す人、話さない人のグループ分けのようなものが終わったような感じ。


ちなみに‥


うちのクラスにはイジメがある。


たぶん今はイジメてる理由なんてない。

イジメられている子が暗いとか地味とか、そんな些細な事だろう。


クラスでも目立った位置にいる少しだけ髪を茶色に染めている女子3人組のリーダー格の子が、いつも教室の隅で本を読んでクラスに馴染めていない子に声をかけた。

それがきっかけだと思う。


『いつも本読んでるけど、何読んでるの?』


ここまでは好奇心、親切心だったのだろう。


その後が少しまずかった。


『えっと‥‥えっと‥‥別に‥面白くもないものです‥その‥ごめ、ごめんなさい‥』


これで、まるでその女子3人組がその子をイジメているみたいな空気になってしまった。


それがそのまま本当のイジメに発展するまでに時間はかからなかった。




放課後の事


イジメられている子が教室を出た後


「あいつ今からトイレかな?」

「鞄まだあるし、そうじゃない?」

「じゃーさ、着いて行ってトイレ入ったら上から水かけてやろーよ!」

「いいねー!」

「「キャハハ」」



イライラする‥

クラスの誰もが咎めもしなければ加担もしない

見て見ぬふり


私には関係ない

みんなそう思っているのだろう。

私もそう思っている。

いや、思っていた。


私には関係ない

そう自分に言い聞かすのはそろそろ限界だった


少し時間が経ってしまったが私は3人を追いかけた。



‥‥あれは葉月君!


入学式の日から、見かけるとつい目で追ってしまう人


優しい顔をしてイジメられてる子の頭にタオルをかけてあげてる


葉月君には変な噂が色々あるけど、

あの人は多分、すごく優しい人なんだと思う。


その後、葉月君はイジメてた3人と何かを話したと思ったらその3人が戻ってきてイジメられてた子に今までごめんなさい等々謝りながら頭を下げている。


葉月君が謝るように言ったのかな?


‥やっぱり優しい


しばらく様子を見て、あの4人は大丈夫そうかなと考えていると葉月君と斉藤先生が歩いているのが見えた。


着いて行ってみると‥音楽室?

また、葉月君のピアノが聴けるかな?


こっそり覗いていると、少し荒々しい感じの音色が聴こえてきた


あの、入学式の時のような穏やかな空気ではないけどやっぱり


‥カッコいいな


と思う。


友達とかと誰々がカッコいいなんて話が出たりするけど、私の頭には1人しか浮かばない



‥好き‥なんだろうな‥この気持ちって




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