11.イライラする
中学に入学してから半年が経った
今の俺の立ち位置は完全に浮いている。
3ヶ月くらい前に三年の不良達に屋上に呼び出されて、1番偉そうな奴を蹴り一発で倒したせいだろうか
全員同時にこられてたらやばかったけどね。
戦いは数だよ兄貴って名言もあるし
一年に蹴り一発でやられたとか言えないだろうし、不良達とは相互不干渉になるのが理想だったんだが目撃者なんてものはどこにでもいるもので
学校一の不良
不良グループのリーダー
という風潮に落ち着いた。
‥不良グループって何ぞ?あの三年達ならあれ以来一言も喋ってないんだが
同級生とかめっちゃよそよそしいし
髪の毛染めていいですか?とか俺に了承を取りに来ないでほしい。
スクールカーストと呼ばれる序列があるらしいが、上でも下でもなく俺は枠外にいる気がする。
これはある意味ボッチだろうか?
まあ、こっちには中学までしかいないからいいんだけどね!
ボッチだけど引越しするから寂しくないもん!
そんな事を考えながら放課後の廊下を歩いていると、女子トイレから3人出てくるのが見えて
「今頃ずぶ濡れっしょー」
「やめてぇ!だって、キャハハ」
「着替えられないようにジャージも隠しちゃう?」
「いいねー!隠しちゃえ」
実に不愉快な会話が聞こえた。
少し後にずぶ濡れになった女子が泣きながらトイレから出てきた。
確か鞄に使ってないタオル入ってたよな‥あった
鞄からタオルを取り出して、濡れてしまっている子へと歩みを進め
泣いている顔が隠れるように頭からタオルを掛けてやって、なるべく優しく声をかける
「そのタオル、あげるから気にせず使って」
はぁ‥イライラする
さっきの女子3人を追いかけて、先頭にいたリーダーっぽい子に声をかける
「おいっ!」
「え?‥‥は、葉月君っ!?」
俺は一瞬イジメられていた子に目を向ける
「あいつ、俺の知り合いなんだけど」
「えっ!?葉月君の!?ごっ、ごめんなさいっ!!!」
「謝る相手がちげーだろ。後、次あいつに何かしたら許さねーから」
「はっ、はい!」
リーダーっぽい子は震えてるし、後ろの2人は顔を真っ青にして萎縮してるし、抑止にはなっただろう。
これでいいのかは分からない。
ひょっとしたらあのイジメられてた子が、イジメられても仕様がないような何かをしたのかもしれない。
でも、女の子が泣いてるのは放っておけなかった。
はぁ‥
気晴らしにピアノでも弾きたい
そういえば今日は吹奏楽部が休みの水曜だっけか
職員室に入る
「失礼しまーす」
「おー、葉月か。どうした?」
すぐ目の前にいた数学の教師が応えた
ちなみに俺は教師陣からのウケはいい。
一学期の中間も期末も全教科100点だった事が大きいと思う。
吹奏楽部顧問の斉藤先生(27歳独身女性)に用がある事を伝え、斉藤先生のもとへ
「あら、葉月君どうしたの?」
「今日は吹奏楽部休みなので音楽室空いてますよね?ピアノを弾きたいのですが音楽室の鍵を借りる事はできますか?」
「へー、葉月君ピアノ弾けるんだ?」
「多少ですが。吹奏楽部が休みの水曜に、たまに弾かせて頂ければと思いまして」
「そうだねー、それじゃあ腕前を見せてもらって、私が納得できればいいよ」
「分かりました」
音楽室へ向かう。
腕前を見せろねぇ‥さて、どうするか
さっきの事もあって少しイラついてる
激しめな曲がいいか
音楽室へ入る
ピアノの前に座って深呼吸
弾く曲は決まった
曲自体も短いし、聴かせるには丁度いいだろう
〜♪♪♪〜♪♪♪〜♪♪♪
「へ?‥‥革命のエチュード」
〜♪♪♪〜♪♪♪〜♪♪♪
あぁ‥イライラしてた気持ちが消えていく
〜♪♪♪〜♪♪♪〜♪♪♪
ふぅ‥
‥弾き終わったが斉藤先生が何も喋らない
「えっと、どうでしょう?」
「‥上手すぎない?」
「では水曜に音楽室の件はOKで?」
「むしろ、部の方でもピアノパートある曲の練習する時に来てほしいくらい」
「皆んな恐がって演奏どころじゃなくなりますよ」
「確かに‥そうね‥‥髪の毛、黒くしないの?」
「しませんね」
やだよ、こんなイジメ蔓延る学校でカモになるの
とりあえず合格だったみたいで良かった
この後リクエストを何曲か弾かされた
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