4.はじめてのちゅう
小学3年生になった。
勉強をする必要がないので、何か習い事をしたいと両親に頼んで適当な候補から選んだピアノを習ったりしている。
まぁまぁ面白い。
今日もピアノがあるので、授業が終わって帰り支度をしていると桜乃が駆け寄ってきた
「れんげ君、れんげ君」
「んー?桜乃ちゃん、どうしたの?」
「あした、ピアノのおけいこある?」
「明日はないよ」
「やったー!はい、これ!来てねっ!」
手渡されたのは『おたんじょう日会。しょうたいじょう』と書かれた手紙。
「うん、行く。楽しみにしてるね」
って、前日に言われてもプレゼントどうすんだよ!?
誕生日会があるの自体は分かっていたが、誕生日を把握して無かったのは迂闊だったな。。
学校から帰ってすぐにピアノ教室の途中にある雑貨屋に向かい色々と物色した結果、桜の花がモチーフになっている装飾が付いたヘアゴムを購入した。
そして誕生日当日
桜乃宅へ
ここがあの女のハウスね。
‥冗談はさて置き
キレイな10階建のマンションだ。
何気に櫻井家初訪問。
まずは1階のエントランスでエレベーター前のドアを開けてもらわねば。
親のチェックが入っているのか『おたんじょう日会。しょうたいじょう』にはしっかりと号室の記載があった。
桜乃家の番号を押して呼びだし
「はい」
これは桜乃ママンかな?
「こんにちは、葉月蓮華です。桜乃ちゃんのお誕生日会に来ました」
「はい、いらっしゃい。今開けるわねー」
と、エレベーター前の扉が開いたのでそのまま目的の階まで移動し家の扉でインターフォンを押すと‥
扉が開きド偉い美人が現れた。
いつ見てもヒロイン遺伝子パないな。
「こんにちは、蓮華君」
「はじめまして、葉月蓮華です。よろしくお願いします」
授業参観で見かけた事はあるが、喋るのは初めてなので初めましてで問題ないだろう。
「あらあら、随分しっかりしてるわねー。私は桜乃のママよ、よろしくね」
そのままリビングまで案内されたところで
「れんげ君、いらっしゃーい!」
本日の主役が笑顔で出迎えてくれた。
「今日は3人でお祝いしましょうねー。お料理持ってくるからゆっくりしてて」
って、参加者俺だけかいっ!
尚、今日は土曜日だが桜乃パパンはどうやら仕事らしい。
急遽会社に呼び出され、
娘の誕生日だから仕事には行かない!
と朝に電話でモメにモメてたと桜乃ママンが話してくれた。
そのままお昼ご飯と、食後のケーキを食べ終わったところで
プレゼント渡すタイミングとしてはこのあたりか。
「はい、桜乃ちゃん。誕生日プレゼント」
「ありがとう!れんげ君。開けていい?」
「うん、いいよ」
取り出されたのは昨日買った桜の花の装飾がついたヘアゴム
「あら、可愛い」
「ふあー!可愛いっ!つけてくるね!」
そのままトタトタと鏡の前まで走っていった。
「ねえ、蓮華君」
「はい」
「プレゼント、お母さんが選んだの?」
「いえ、昨日1人で買いに行きました」
「なるほどなるほど」
なんか桜乃ママンがニマニマしてる。
「これからも桜乃と仲良くしてあげてね」
「はい」
桜乃は満足いく仕上がりになったのか
「お母さん、お写真撮って!」
と言ってまた走り寄ってきた。
桜乃のセミロングの髪がプレゼントしたヘアゴムでポニーテールみたいになってピョコピョコ揺れてる。
さて、2人並んでピースでもすればいいのかな?
でも前を向いてるとヘアゴムが写らないと思うけど。
「れんげ君、れんげ君」
「んー?」
と桜乃の方を向いた瞬間、両頬に手を添えられて
チュッ
とチュウされた。
はじめてのちゅう。
しかしこれは‥
んー、、何と言うか。
恋愛ではなく、
友愛でもなく、
親愛に近いのかな?
親戚の小さい子にチュウされたような気分。
唇が離れると
「へへー」
と嬉しそうに笑いながら「お母さん撮れたー?」と聞く桜乃に対して「ばっちり撮れたよ」と桜乃ママンがピースしてる。
まぁ、うん。嬉しそうで何よりだよ。
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