第1話
今日も高校行かなきゃ。
そう思いながら私はいつもの鞄に教科書とかを詰めていく。
『学校なんて、なんで行くの?めんどくさいし、何も必要じゃないでしょ?』
また来た。いつものあの子。
いつの間にか私の頭に住んでいたリカ。
その子が私の目の前に出てきて私に言う。
「リカ、今行っておかないと少しでも周りに愛想を振りまかないといけないじゃん?」
『サチ、最初に関してはいつもの事だから何も言わないけど、最後の部分に関してはなんでそう思ったの?いつもは言わないでしょ?』
「なんか……なんとなく?」
『何となくでそうなるのは、バカよ?』
「……ごめん。ま、まぁとりあえず学校行こう!?」
『焦ってるわね…。ふぅ、行きましょうか』
私は詰め終わった鞄を持って、自室のドアを開け周りを見渡す。
私は親が嫌いだ。
ただ単に嫌いな人は多いだろう。
だが私は単に嫌いな訳では無い。
昔、私が小学生の時によくベルトで殴られた。それ以外にも色々なもので殴られていた。いや今もたまに殴られることはある。
救いだったのは、タバコを吸わない人だった所だろうか。
中学生に上がると言葉でも、責められるようになった。
どんな内容だったかは覚えていない。
そして今通っている高校に入ってからか、いつの間にかリカがいた。
もうどこかに消えてしまいたい。
そんな時にリカが現れて私を励ましてくれていた。
親に殴られたり、そんな時に私は目の前が薄暗くなり、まるで映画館で、何かを見ているような風景になって、それが過ぎ去った後にリカが毎回隣にいて支えになってくれた。
だから私は何とか今を生きれているのだろう。
誰かが言っていた。
真に生きるということは活きる事だと。
そんな日が私に来るのだろうか……
もしそんな日が来るのならば、私は何をしているのだろうか……
『何をしてるの?誰も居ないみたいだからさっさと行かない?』
「あ、ごめん。ちょっと考え事が……」
『あなたの体は私のものでもあるのよ?分からないと思う?』
「う……。とりあえず行こう」
そして私はいつも靴箱の上に置いている自転車の鍵を取り、扉を開け放った。
私は私じゃない 水戸 遥 @Mito_Haruka
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