第4話 俊介、家に来る
俺の義弟が義弟では無かった。
つまり簡単に言うと信じられないと思うが義妹であったのだ。
その為に俺はどぎまぎしてしまう。
それから困惑している。
真面目にどうしたら良いのか分からない混乱の中に居るんだが。
だがそんな義妹と分かった女の子。
少しづつだが俺と親密感を持って行っている様だ。
ゲームで、である。
「やったよ。兄貴」
「お前、本気で強いな」
「あはは、うん!」
しかしこの少女には問題が有る。
何かその.....マジに油断が多すぎる気がする。
胸元の胸チラとか本気で容赦無さすぎる。
女の子と分かってから困惑しか無い。
パーカーと短いズボンを好んでいる様だが.....。
う、うーん。
「兄貴?どうしたの」
「な、何でもない。あはは.....あはは.....」
「?.....変な兄貴」
今もそうだ。
聞いてきた時に容赦無く胸チラをする。
俺はマジに頭が色々と変になりそうだった。
ので、なるだけ目を合わせない様にする。
のだが.....香さんは俺に悲しげな顔をした。
「でも兄貴、私の事嫌い?何だか.....目を合わせてくれない」
「そ、そんな事無いですよ!アハハ。そんな馬鹿な!」
「うぅ.....」
頬を膨らませて泣き始めた香さん。
いや.....その、子供みたいに泣かれると困るんですけど。
思いながら俺は完璧に困惑する。
何でこんなに甘いのこの子。
そうしていると。
ピンポーン
とインターフォンが鳴った。
俺は、誰だ?、と思いながらインターフォンを見る。
そこには俊介が立って居た。
俺は目を丸くしながら玄関に向かう。
ガチャッ
「おう。どうした」
「遊ぼうぜ。智和。.....それとあの子は居るか?」
「居るぜ。遊ぶか。.....丁度、ゲームで遊んでいた時だったぞ。やるか?」
「当然。バイトでくったくただけどよ。ハハハ」
でも智和。
やっぱりあの子は男じゃない気がするんだよな。
と俊介は顎に手を添えながら察しの良い言葉を発する。
俺はビクビクしながら俊介を見る。
でも俊介にならバラしても良くねぇか?
と思ったが、後ろから睨まれた。
絶対に駄目、的な感じで、である。
「俊介。アイツは男だ。何故なら.....アイツは.....その」
「?.....アイツはその、何だ」
「女性を.....そう!女性好きだ!!!!!」
その瞬間、背後からスリッパで殴られた。
俺は痛みに背後を見る。
何を言ってんの?、的なな感じで香さんが立っていた。
勘弁してくれ.....上手く収束させただろ!
「あ、香君」
「ご無沙汰してます。中島さん」
短いズボンから長いズボンが変わっている。
所謂、室内着だ。
俺はその姿を見ながら俊介を見る。
マジマジと俊介は香さんを見ていた。
確かに言えば男だな、と中島は頷く。
女って疑ってたのにアホだなコイツ.....でも助かった。
香さんは納得した様に笑みを浮かべる。
可愛らしい笑顔を、だ。
「中島さん。お元気ですか?」
「あ、はい.....」
「ぎこちないぞ。男なのに」
「いや、確かに男とは言ったが.....やっぱり男に思えないんだよ.....何故?」
顎に手を添えて首を傾げる俊介。
それは.....でしょうね。
幾ら男性とは言えやはり本格的に女の子には変わりない。
あくまでボーイッシュな、だ。
当たり前だと思う。
「.....何でこうも女子に見えるんだろうか」
「俊介。お前、変態の様に見えるんだが。顔が近い」
「あ、すまん」
変態の極みだなコイツ。
しかしそれはそうと。
この場所でずっと会話するのも如何なものかなって思う。
取り敢えずは俊介を中に入れよう。
思いながら俺は、俊介。取り敢えず中に入ろうぜ、と言う。
「それもそうだな。取り敢えずは中に入ろうぜ。ハッハッハ」
「.....だな」
「そうですね」
俊介と遊ぶのは良いんだが。
このまま色々な事実がバレなかったら良いけど。
万が一バレてしまい、中が判明したら。
その面倒をどうするんだって話になるしな。
☆
「香君強いね〜」
「そうですか?私、普通だと思います」
「いや、強いと思う。ハハハ」
その光景を眺めながら俺は顎に手を添える。
俊介は完全に香さんを男と思っている。
このままでいければ良いけど。
それにしても何故.....男装しているんだろうな。
香さんは。
「しかし.....運動不足が堪えるぞ。バイトだらけだしな」
「お前の家、本当に大変な家だもんな」
「.....おう。思い出させんなよ。面倒臭いし気怠い」
これに対して香さんが?を浮かべた。
そして聞いてくる。
えっと。どういう感じの家なんですか?、と、だ。
すると俊介はコントローラーを置いてから苦笑いをする。
「ウチはな.....働かないと親に文句を言われる家庭なんだ。それでな」
「.....!」
「それでまあ働いてんだけどよ。アッハッハ」
「.....大変なご家庭なんですね.....」
香さんは何か複雑な、悲しげな顔をした。
どうやらそういうのに今まで遭遇した様な顔だ。
俺はその顔を見つつ俊介を見る。
俊介、疲れてないか?と聞く。
「おう。俺は死んでないしな」
「.....だったら良いんだが。しんどかったら言うんだぞ」
「お前は俺の母親か何かか?アッハッハ」
「冗談抜きで言ってんだよ。アホか」
そうか。それは.....有難うな、と俊介はテレテレする。
その様子を香さんがジッと見ていた。
そして俺に柔和に笑む。
すると俊介はそんな姿を見ながら笑顔を浮かべた。
「しかし.....もし仮にもお前と香君が女と男だったら良いカップルだと思う。俺。良い感じで安定するかもな。アッハッハ」
「.....ふえふ!?」
「おま!?冗談でも言うな!」
真っ赤に赤面する香さん。
俊介は目をパチクリして、え?、と言う感じになっていた。
いかん!真っ赤になる!
香さんは男じゃないから!
「お前ら.....恥じらうなよ。俺も恥ずいんだが」
「なら言うな!アホか!!!!!」
な、そこまで怒るなよ、と言葉を発する俊介。
いや、香くんが真っ赤になったままだぞ!
どうしてくれるんだ!
全くもう.....。
俺は額に手を添えながら盛大に溜息を吐いた。
「ぼ、僕ってそんなに可愛いんですか?」
「当たり前だろ。とても男とは思えない程に可愛い。それに.....ソイツは優しいやつだから丁度君とお似合いだと思ったんだ」
「.....」
俺をその、赤面で見てくる香さん。
これはマジにドキドキする。
どうしたものか.....。
取り敢えず、これが俊介にバレない様にしないといけない。
バレたら面倒だ。
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