第4話:ウィルの決心
僕には、昔から心に決めている人がいる。
彼女は強くて、いつだって明るくて、剣術の稽古が上手くいかなくても、そんな僕に幻滅したりせずに励ましてくれる素晴らしい女性だ。
そんな彼女を幸せにしたくて、剣術は今一つだけれど、昔から勉強は人一倍頑張ってきた。将来、しっかりと彼女を傍で支えることが出来るように。
だがしかし、世の中とは上手くいかないものだ。
アイリスと出席した、社交界デビューのパーティーで彼女は大国のギル王子に見初められることとなる。
その当時は、まだ漠然と彼女と将来は結婚できると安易に考えていた僕は、彼の行動に自分の考えの浅はかさを気づかされることとなる。
なぜならば、その時になって初めて、僕は僕側の気持ちだけで、勝手に彼女の傍にずっと居られるだろうと思っていたからだ。
けれども、この点における心配だけは杞憂に終わることとなる。
なぜならば、この件があった後、正式に彼女がギル王子からの婚約を受ける前に、僕にこう言ったからだ。「こんなこと言うのはどうかしてると思うけれど、私は昔から、大きくなったら貴方にプロポーズする予定だったのに。」と。
この時、すかさず僕も自分の気持ちを伝えて、僕たちは遅すぎる僕自身たちの自覚に嘆いたのだった。
しかしながら、嘆いてばかりもいられない。僕は昼夜、古今東西の様々な読み物を紐解き、どこかにこの状況を回避する手立てはないものか、と探し回った。そうして、もしチャンスがもう一度あるならば、次こそは僕から彼女にプロポーズをしたいと誓った。
こんな中で思いついたのが今回の作戦である。
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