音楽の神様-1
数年前にネットで知り合った、趣味の合う友人に誘われて、某県にて開催された「ドラゴンクエストの世界」のオーケストラコンサートに行ってきた。
久々に生で聴いたプロの演奏はたいそう素晴らしかった。あんなに安定感のあるホルンのいるオケってなかなかない。
指揮者の溢れんばかりのドラクエ愛は、指揮棒を振る後ろ姿を見ているだけでもよくわかった。
行ってよかったなあとしみじみ感動するコンサートだった。
何よりドラクエ音楽の作曲家ご本人である、すぎやまこういち大先生が司会を務めるという豪華っぷり。
本物の生すぎやん!!!!
さすがに体力的な問題からか、直接指揮をされることはなかったのが残念だったけど(前年も行った友人いわく、その時はアンコールで一曲だけ指揮をしたらしい)、そのお姿を直接見られるだけで大興奮だったのだ。
なんせ私の音楽人生の最初の衝撃はドラクエだったから。
私の中の音楽の神様はまさに、すぎやまこういちさんである。
ああもう、夢が叶った、今日は素晴らしい演奏が聴けて感動した、本当にいい日、誘っていただいてありがとう!! とほくほくしながら、友人と一緒に帰りの新幹線ホームの待合室で座っていたら、向こうからご年配のご夫婦がやってくるのが見えた。
時間的におそらく同じ新幹線を待つんだろうし、待合室の中のベンチは空席が私の隣の一席しかなかったので、ああ譲らなきゃと思った瞬間、
「あれ、すぎやま先生じゃない!?」
見覚えのあるお姿に驚いて、はじかれるように立ち上がった私。
待合室に入ってくるご夫婦。
あら、すみませんねと優雅におっしゃる奥様の隣に、静かに座るすぎやまこういち先生ご本人!!!!
「あの、私たちさきほどの演奏会を聴きまして」
友人が奥様に話しかけるのを、私はうんうん頷いて聞くしかできなかった。
「まあそうでしたか。どちらからいらしたんですか?」
「〇〇からです」「あ、私は△△から」(ここで初めて発言をする私)
「まあ! 遠いところから……」
「いや、そんな遠くないですよ」
普通に会話を続ける友人の横で、私は静かにパニックになっていた。
だって! あのすぎやまさんが! 音楽の神様が!! 目の前に! 同じ空間にいるんだよ!!!!!!
つづく!
(20180504-1)
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