第202話 レシア・ハリーセル・レディナ
まずはレシアの動き。レシアのスキルである「猛火逆鱗」を発動させる。
体が炎に包まれ、動きが今までにないくらい素早くなっていく。
それにより、セファリールの攻撃をしのいでいく。
セファリールが振り下ろした攻撃に真正面から力で受けきった。
彼女がそこから体を回転させさらに攻め込んできた。
なぎ払い、打ち下ろし──、突き。今まで見たことがないくらいの速さとパワーで連続攻撃を仕掛けてくる。
さっきまでは受けただけで腕の感覚がなくなるくらいの強さを感じていたが、今なら十分対抗できる。
「やりますわね──」
セファリールの連撃を何とかしのいでいく。そのうちに、彼女にも焦りの表情が生まれ始めた。
額から汗がこぼれ、攻撃が単調になる。
そして、焦ったのか今まで以上に前のめりになり、攻撃を仕掛けてくる。
その一瞬を、見逃さなかった。
前のめりに振りかざした攻撃。その聖剣の腹に剣の切っ先を当てる。そして聖剣を持ち上げるようにして切っ先を支柱に剣を上に向かって上げた。
その先には、無防備になったセファリールの胴体。ようやく有効打を入れられると思い剣を振ろうとしたその時──。
「させませんわ!」
セファリールは強引に体制を変え、俺に回し蹴りを見舞ってきた。俺は慌てて上に向かって飛び跳ね、ギリギリで攻撃をかわしていく。
流石に、一筋縄ではいかないか──。
セファリールは俺の方に身体を向けて話してきた。
「強い炎ですわね」
「ああ、レシアのおかげだ」
「──それを使いこなすとは、褒めてつかわします。それなら、これはどうですか?」
そしてセファリールが右手を横に向かって手をかざした。
すると、右手から青い光が出現し始め、それが花が生えているお花畑にあたる。
当たった場所が円形状に青く光ると、そこに出現したのは──。
「池?」
そう、池だ。人三人分くらいの大きさの、底が見えない池。
「そうです。そして、こうします」
そう言うとセファリール一気に接近してくる。俺は負けじと彼女に急接近。
剣と剣がぶつかりあった瞬間、セファリールはつば競り合いを放棄して俺に急接近してきたのだ。
そのまま胸ぐらをつかんできた。そしてそのまま──。
俺の体を近くにある池の方へと投げた。
俺の体が池の中に落ちていく。
「水の中なら、炎は消えるはず!」
そう言ってセファリールは池に突っ込み、俺の方へと向かってくる。
セファリールは水の中でも戦えるらしく、地上と変わらない速さと強さで剣をふるう。
「水の中なら、十分に剣をふるえないでしょう。今度こそ終わりです」
頭の中からセファリールの声が聞こえてくる。
声が聞こえない水中だからか、テレパシーのようなものを使っているだろうか。
「さあ、真っ二つにされなさい!」
勝利を確信したような表情で、頭の中で話しかけてくる。
俺は、自信満々に、頭の中で声を発した。
「大丈夫。心配はいらないよ」
「えっ──」
そう、俺が使っているのは今度は、ハリーセルの力だ。
ハリーセルは水の精霊だ。彼女の得意分野での戦いなら、行ける。
呼吸をしなくても苦しくないし、水中なのに不自由一つなく動けた。
そして、セファリールの攻撃をかわし、一気に前へ。
思いっきり剣をふるうと、セファリールもギリギリ攻撃を受ける。
しかし、ギリギリだったため、無理がある体制となってしまった。おかげで──スキができた。
初めてのチャンス。
がら空きになった頭部の横に思いっきり蹴りを入れた。
セファリールは攻撃をガードしきれず攻撃を食らってしまった。
ようやくつかんだチャンス、絶対に無駄にはしない。
さらに追撃を加えていく。
「くっ!」
水中では、全力で戦えないのか、さっきまでより動きが鈍い。
徐々に押し返していく。
「やりますね」
「ありがとう」
「──仕方がありません」
そうつぶやいたセファリール。戦術を変えてくるのだろうか。どのみち警戒が必要だ。
思いっきり剣を振り、連続で俺へと向かってくる。
いままでと比べると雑な攻撃で、難なく受け止めるが、力任せに振ったせいか俺も受けきれず後退してしまった。
それを見たセファリールは、すぐに背中を向け、水面へ。どうやら水中での戦いはあきらめたようだ。
俺も後を追うように水面へ。
陸へ上がると、すぐにセファリールが襲い掛かってくる。
「やはり、小細工は性に合いません。正々堂々と、あなたを真っ向から打ち破ります」
「俺もだ。やっぱり、真剣勝負はこうやって戦わないと──」
そうつぶやいて、今度はレディナの力を引き出す。
レディナの勝利のために最善策を出す力。
少し前は敵味方関係なく攻撃してしまう関係で、周囲に戦える味方がいると使えなくなってしまうが、レディナはそれを克服した。
セファリールだけを追い、戦っていく
「フライさん、互角に戦ってますね」
「当たり前よ! 私の力なんだから」
自慢げに言葉を返すレディナ。その通りだ──。
決してセファリールにも劣っていない戦いだ。
「こいつ──人間の分際で、この私と互角にやりあってるだと?」
セファリールは目にも見えない速さで俺に連続攻撃を仕掛けてくる。
突き、振り下ろし──からの振り上げ。
目のも見えない速さ、それだけじゃない。
「どうしました? 守ってるだけじゃ勝てないですよ」
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