【完結】~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間そのスキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がる。なお俺を追放したパーティーは没落した模様
第120話 【メイル視点】私の生い立ち。二人との関係
第120話 【メイル視点】私の生い立ち。二人との関係
メイル視点
私は、ウェレン王国でも東の方にある小さな町。そこの地方領主、カルヴィン家の末っ子として生まれた。
女性であることや、末っ子であることから跡取り争いには加われなかった。
幸い、魔力はあるので、ウェレン王国の傭兵として雇われ、そこで活躍することで家のための貢献してほしいとせがまれたのだが──。
「メイルさんのスキル。『精霊盟友』という大変特殊なものになっています」
「え──、どういうことですか?」
ギルド、受付の人が発した言葉に唖然とする。ギルドの人も、私のスキルは今までにないものだったので、とても驚いているらしい。
私のスキルは、世界中に封印されていた精霊たちを解放する力。
世界でも、選ばれたものにしか与えられないらしい。
しかし、精霊というものはそんなに出会えるわけではない。
私のスキルは、持ち腐れ同然で、周囲からもいい扱いを受けなかった。
「なんだよ、こいつクソスキルじゃねぇかよ」
「本当ざます。お前は我が家の恥ざます」
そして私はカルヴィン家から追い出された。
使い道がないスキルの使い手など無駄飯ぐらい同然だと──。
我が家カルヴィン家は貴族といっても貧しい。極寒の冬はいつも食料や貴重品が不足して困っていた。
追い出された私がたどり着いたのは、王都であるウェレン。
冒険者として一人で暮らしていくこととなった。
幸い、魔力自体はそこそこあったので、冒険者たちの中でもそこそこに地位にいてクラスには困らず、政府からスカウトされ、傭兵となった。
そして傭兵として、実績を作っていき、八年前の巡礼祭の警備。事件は起こる。
あの時も、テロ組織の奇襲に会い、要人たちが危害を受けた。冒険者たちが奮闘もむなしく苦戦している中、私は奮戦。その活躍もあって、ステファヌア様からお呼びがかかったのだ。
「私達のためにご活躍ありがとうございます。しかしあなたは不遇なスキル故、不遇な扱いを受けていますよね」
「そ、そうでしょうか……」
謙遜する私に、ステファヌアは微笑を浮かべながら答える。
「そうですよ。あなたの精霊を扱う力。私は追い求めていました。私達に、力を貸してください」
その言葉に、こんな私でも、役に立てるのならばと考え、ステファヌア様に力を貸すことを約束した。
その後聞いたのだが、教会側では、精霊を信仰していてこの地に精霊に関する遺跡があると言われていた。
なので私のような人材を求めていたということだ。
そしてその後に発見された遺跡、そのダンジョンの奥で、クリムと出会った。
鍾乳洞の美しい道を通り、数々の魔物たちを倒した先に彼女は存在していた。
「あなた、私を解放してくれるのね、よろしくメイルさん」
「──よろしく」
最初は、私と違い、お調子もので 戸惑いを見せていた。むちゃな行動をとって周囲を困らせていたり、ステファヌア様の行動に抗議していたりした。
不遇で、はぐれ物同士だったこともあり、意外と馬が合った。
仲良く遊んだり、一緒に仕事をしたり──。
そして、彼女の根はとても素直で、正義感があるのだと理解した。
いまでは、互いに理解し合える最高のパートナーとして互いに信頼し合っている。
クリムは、私の理解者だ。お調子者で感情的なクリムと、理性的な私。
私が感情に走ったクリムを止めることもあれば、メイルは考え込んでしまう私の背中をそっと押してくれることもある。
互いに長所を生かし、短所を補う。
全く違うはずなのに、一緒にいてとても居心地がいい。
いつも、私のことを理解してくれた。私の、盟友のような存在だ。
ステファヌアは、自分が今まで見てきた人間の中でも、かなり珍しいタイプ。
普通、教会の中で権威があるものは冒険者相手にそこまで肩入れしたりしない。
あっても個人の友達付き合い程度。
しかし彼女は私達に対して必要以上に面倒を見てくれている。
かといってそれを利用して出世を第一に考えているわけでもないし、激しい政局争いとは無関係の存在。
表立って言う人はいないが、彼女と自分。そしてクリムのつながりを悪く言うやつは後を絶たない。
ステファヌアが私やクリムを経由して冒険者たちと手を組み、国を乗っ取ろうとしている。
そんなくだらない陰謀論が一時期噂になっていたこともある。
私は幼いころから その手の下心は直ぐに理解できた。クリムもだ。
しかしステファヌアからは、そんな感情を一切感じない。
なぜかは理屈では説明できないが、安っぽい慰めの言葉をステファヌアは言わなかったからだと思っている。
人々を救いながらも、したたかさのようなものを持っている。
彼女がどんな存在なのか、私にも測りかねている。
けれど、私が今まであった人間たちの中でも、信用に値する存在だというのがわかる。
したたかな強さに、まっすぐな心。
清濁併せ吞む強さ。
人々の上に立つために必要なものが、両立している。
私は、心から信仰を深めているわけではない。
けれど、ステファヌアは、私が仕えるにふさわしい人物だとは感じる。
これからも、彼女の手足となり、戦っていこうとは思う。
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