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第17話 水泳対決に夢中になるあまり……
この格好で人前に出るの?
私、森崎由亜は今、水島さんが普段部活の練習に使っているプールにいる。
その理由は、今から水島さんと水泳対決をする為である。
それはともかくとして、水泳対決をするにあたり、何故か私も水島さんと同じ様な骨盤部分まで鋭く切れ上がった鼠径部が完全に露出したハイレグの競泳水着を着る事になってしまった。
ハイレグって、まるで下半身に何も身に着けていない感覚になってしまい、下半身がスース―する……
本当にこの格好でプールに出ないといけないの?
プールの更衣室にいる私は、凄く恥ずかしいハイレグの競泳水着の股の布地を両手で調整したり引っ張ったりしながら立っていた――
――数日前
この日は、水島さんが部活の大会で優勝したという事もあり、その記念にバーベキューパーティを行う為、早川さんと菫さんとスピアーズのメンバー達で、海辺のバーベキューが出来る施設に来ていた。
そんなバーベキューに私も呼ばれた為、ドローンとなって空を飛んでいるリーフィと一緒に行く事にした。
「みなさんお待たせ!!」
「あっ、森崎さんが来たよ」
私が着いた頃には、火花さん達は既にバーベキューの準備を行っていた。
「水島さん、優勝おめでとう…… って、今日の水着はハイレグではないのですね」
「あぁ、ハイレグの水着だと大会には出られないからね。だから仕方なくこの水着を着ているんだよ。このタイプの水着は普段着ているハイレグと違って着脱に時間がかかるから、あまり好きではないんだよね……」
私が真っ先に目についたのは、この日の水島さんの競泳水着がハイレグタイプではなく、太ももまで覆われた黒と青が混ざったスパッツタイプの競泳水着を着ていたという事であった。
その後、準備も整い、水島さんの優勝を祝うバーベキューバーティ―が始まった。
「そう言えば、この前、ARゲームのプレイ動画の撮影をやったけど、テストプレイをしていたおかげで撮影はスムーズに行けたわ」
「それはよかったですね」
バーベキューパーティーの最中、私は虹川さんから先日のスピアーズの動画撮影の時の話を聞いていた。
「私のジョブは前回と同様、また戦士だったわ」
「またあの衣装になったのね」
「そうなのよね。以前と同様凄く恥ずかしかったわ」
「そうなの。他のみんなのジョブは何だったの?」
「晴は森崎さんと同じ魔法使いで、雪はリーフィと同じ僧侶で、海は騎士だったわよ」
「なんかイメージ通りというか」
私は虹川さんから聞く、ARゲームの話で盛り上がっていた。
一方のリーフィは、火花さん達と一緒にいた。
「わぁ、スマートグラスをかけて見ると、本当にリーフィがその場にいるみたいに見える様になったね!!」
『凄いでしょ!! このドローンがあるおかげで、私の行動範囲が凄く広がりました』
リーフィは、火花さん達にスマートグラスで確認する事が出来る自身のアバター姿を自慢気に見せていた。
「リーフィ、あの時に私がプレゼントしたはっぱを付けてくれている」
『はいっ、このはっぱは髪飾りとして使わせていただいてます』
リーフィの姿を見た氷山さんが、先日自身がプレゼントをしたはっぱのアイテムをリーフィが髪飾りとして装着している様子を確認した、嬉しそうな様子を見せた。
「そう言えば、新しく羽が生えたんだね」
『この羽は、先日のゲームをプレイした時に、ソラに選んでもらった羽です』
「そうなんだ。空もリーフィに似合うアイテムを選んだね」
また、リーフィの姿を見た水島さんは、リーフィの背中に装着されている羽に注目をした。
そんな感じで、私達はバーベキューを楽しんだ。
そんな中、私の部活に関する話が始まった。
『そう言えばユアも水泳部で、午前中にメタバース内で練習をしている様子をよく見るわ』
「へぇ~ 森崎さんって、こっちにいる間も部活の練習はやっていたんだ」
突然、リーフィが私の部活の事を火花さんに話をした。
「まぁ、一応は。プールでの本格的な練習は出来ないけど、メタバース内でのフォーミング確認やリモートでのミーティングには、ここにいる間であっても部活には参加しているのよ」
「夏休み中、ずっと部活の練習に参加しないという訳にもいかないからね」
「ホントそれね。最も今の時代、余程の事でもない限りは、メタバースでどうにかなるからね」
リーフィが火花さんに部活の事を話した為、私はメタバースやリモートで部活の練習に参加をしている事を火花さんに言った。
確かに今の時代、一昔前とは異なり、長期間の遠出でも完全な休部をする必要もなく、メタバースやリモートと言った最新技術を使っての部活動に参加をする事が可能な時代である。
「とは言っても、プールを使っての練習は出来ていないでしょ?」
「まぁ、そうだけど……」
私がこの町にいる間でも、部活の練習に参加をしていたという話を聞いた水島さんが、この話に食いついて来た。
「だったらさ、今度、プールでの練習を兼ねて私と水泳対決をしようよ!!」
「えぇ、いきなり!?」
そんな中、突然、水島さんから水泳対決を申し込まれた。
「あっ、それ面白そうだね!!」
「同じ水泳部同士、どちらが勝つか見所がありそうね」
『ユア、頑張ってください』
水泳対決と聞いた途端、その話に火花さんと氷山さんとリーフィが興味を持ち始めた。
「なんかみんなが見たがっているみたいだし、決まりだね!!」
「えぇ!? 水泳対決やる事になるの?」
「心配しなくても大丈夫、水着なら私がとっておきのを貸すから」
こうして、私と水島さんとの水泳対決が、ほぼ強制的に決まってしまったのである――
――そして現在……
私は水島さんから借りた、鼠径部が完全に露出する凄くキワドいハイレグの競泳水着を着用した状態で、水島さん達が待つプールサイドに向かった。
プールサイドに出た途端、水島さんが私が来るのを待っていたかの様に、更衣室から出て来た私に声をかけた。
「やっぱり、凄く似合っているね!!」
プールサイドにいた水島さんんもまた、いつもと同様に今の私が着ている様な鼠径部が完全に露出した凄くキワドいハイレグの競泳水着を着ていた。
「似合っているって…… 凄く恥ずかしいよ!!」
「恥ずかしいって、昔の水泳部はみんなこの様な格好をしていたんだよ。森崎さんだって、昔の時代に水泳をやっていたら、今の様な凄くキワドいハイレグを着ていたかも知れないよ?」
「私は飛び込み専門だから、多分着てないです!!」
確かに現在とは異なり、一昔前は今私が着ている様な鼠径部が露出した凄くキワドいハイレグの競泳水着が主流だったみたいだけど…… ホント、昔はこんな凄く恥ずかしい水着が当たり前に着られていたなんて、現在を生きる私にはとても想像が出来ない事である。
「せっかくだし、森崎さんのその姿、写真を撮らせて!!」
「ちょっと、写真は止めて!!」
「いいじゃない!! 減るものじゃないんだしさ」
そんな中、私のハイレグ姿を見た火花さんが面白半分にスマホで写真を撮ろうとしてきた為、私は真っ先に両手で股の部分を隠しながら止める様に言った。
その後、プールサイドでハイレグ姿を皆に見られた後、私は水島さんと水泳対決をする為に、プールにあるスタート台の上に立った。
『ユア、頑張って下さい!!』
火花さん達だけでなく、スマホ内にいるリーフィにも見守られながら、私と水島さんとの水泳対決が始まった。
虹川さんがスタートの合図を出した後、私と水島さんは勢いよくプールの中へと飛び込んだ。
今回の水泳対決の種目は平泳ぎであり、これは自由形を専門とする水島さんが有利になり過ぎないようにする為と、水島さん自らが提案してきた為である。
そんな平泳ぎでの水泳対決は、25メートルプールを1往復するだけの50メートルでの対決である為、勝負はすぐに終わった。
そして、50メートルを泳ぎ切った後、私はその場で立ち止まり、水泳対決の結果を知る事にした。
「勝負の結果は、僅かながらの差だったけど、海の勝利ね」
虹川さんから水泳対決の結果が知らされ、結果は水島さんの勝利で終わった。
僅かながらの差のせいもある為、若干悔しいという気持ちは残るものの、やっぱり競泳を専門にしている人には勝てなかった。
「やっぱり、水島さんは早いね」
「確かに、私の勝ちには変わりはないけど…… 勝負はわずかながらの差だった。だから、もう一回やろう!!」
「えぇ!?」
勝敗の結果を知った後、私が水島さんに話しかけると、まさかの再勝負を申し込まれた。
『これは再チャンスです!! ユア、今度こそ勝つのです!!』
「ほらっ、リーフィも言っている事だし、もう一度水泳対決をやろう!! 私は何度だって付き合うよ」
こうして、私は再び水島さんと水泳対決をやる事になった。
その後、何回も水泳対決は続くものの、結果は全く変わる事もなく、常に大差ない差で水島さんが勝っていた。
その上、ただでさえ布地面積の少ないハイレグの競泳水着を着た状態で平泳ぎを何度もやっている為、泳ぐ度に水着の股部分とお尻の部分が食い込んでくる。
幸い、2回目以降はプールの中からのスタートである為、食い込んでも誰にも見られないのが幸いである。
大差ない結果が何度も続くと、一度でも勝ってみたいと思ってしまい、いつの間にか私自身も水泳対決に夢中になっていた。
「次こそは絶対に勝つよ!!」
「おっ、勢いがいいね」
いつしか、私は周囲を気にする事なく、水島さんとの水泳対決を楽しんでいた。
そして、何度か水泳対決をした後、ついに私は僅かながらな差で水島さんに勝利を知る事が出来た。
「今回は僅かな差で森崎さんの勝ちね」
タイムを計ってくれていた虹川さんから勝利をした事が知らされた。
「やったぁ!! ついに勝ったわ!!」
「なかなかやるね」
水島さんとの水泳対決が終わり、私は急いでプールから上がった。
プールから上がった私は、真っ先にスマホ内から見ているリーフィの元へと駆け寄った。
「リーフィ。私、勝ったよ!!」
『ユア、おめでとう!!』
勝利の報告を聞いたリーフィは、嬉しそうな表情で私の勝利を祝福をした。
その後、私は近くにいた火花さんと氷山さんにも勝利を報告する事にした。
「私、ついに水島さんに勝ったわ!!」
「森崎さん、おめでとう…… そんな事よりも、水着の食い込みが凄い事になっていて丸見え状態だよ」
「凄い大胆……」
火花さんから水着の食い込みを指摘された為、私は自分の股部分を見る事にした。
「あっ!? ……」
この時、改めて気が付いた事だったが、水泳対決に夢中になり過ぎていた為に、水着の食い込みを直す事を完全に忘れていた。
その為、水着が食い込み、私の股やお尻が丸出しの状態であった。
「キャア!! 見ちゃだめ~!!」
丸出しの股が見られていた事に気が付いた私は、一目散に両手で股を抑えてその場に座り込んだ。
ただでさえ平泳ぎは両足を大きく動かす為に水着が食い込みやすいのに、今回は布地の少ないハイレグの競泳水着を着ていたのだから、いつも以上に食い込むのに勝負に夢中になるあまり、つい食い込み直しを忘れてしまった。
そのせいで、私は皆に食い込んで丸出しとなった股とお尻を見られてしまう事に。
「森崎さん、食い込みなんて気にしていたらダメだよ」
「そう言うウミは、早く食い込みを直したらどう?」
その後、プールサイドに上がって来た水島さんの水着も私と同様に食い込んでいた様で、その事を虹川さんに指摘されていた。
普段からハイレグの競泳水着で過ごしている水島さんレベルともなると、もう食い込みでも恥かしいとも思わなくなるのかな?
そんな事よりも、こんな事があるから、ハイレグは嫌なのよ!!
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