第16話 山の中でARゲームをプレイ!!
この日、私、森崎由亜は早川さんの家でリーフィに新しい部屋と家具をプレゼントされたのと同時に、リーフィ専用のAR対応のドローンも貰った。
そして今、先程早川さんから頂いたAR対応のドローンの試運転の為、早川さんの家のすぐ裏側にある山に来ていた。
今回、この場所に来たのはAR対応のドローンの試運転だけでなく、同時にスピアーズの次の動画で取り扱うARゲームの現場確認を行うテストプレイの為でもあった。
そんなARゲームを行う場所は、山の中にあるとある施設内であった。
そんな施設内の山道を歩いている最中、虹川さんはどことなく恥ずかしそうな様子であった。
「どうして私はこんな格好になってしまったのかしら?」
「多分、虹川さんにはそれが一番のお似合いだと、AIが判断したのでしょう」
「判断したって…… こんな露出の高い格好は嫌よ!!」
虹川さんが不満を言うのも無理はない。今現在の虹川さんは、露出が高いお尻がほぼ丸出しになるきわどいハイレグ型の黒いビキニアーマー姿だからである。
今回、ゲームを行う前に、私達はお任せジョブを行い、私は魔法使い、リーフィは僧侶、虹川さんは戦士のジョブとAIによって決められた。
それと同時に、ARの技術でジョブ専用の衣装に自動で変わるという仕組みになっている。
一方の魔法使いになった私の衣装は、魔法使いが被る帽子と黒いワンピース衣装に変わり、僧侶になったリーフィの衣装は、白いシスターが着る服に変わっていた。
「大丈夫です!! スマートグラスをかけてこのゲームをやっている私達しか見る事が出来ないですから!!」
「とは言っても、恥ずかしいわよ」
『自信を持つのです!! 露出の高い女戦士は強者の証とも言いますから』
「そんな証いらない」
ARとはいえ、露出が高いビキニアーマー衣装である事に関して、虹川さんは凄く恥ずかしがっていた。
さて、今回私達がやるARゲームの簡単な説明だが、このゲームは現実の世界の風景とリンクしている為、ゲームをプレイする場所によって出現する敵モンスター等が変わるリアリティのあるゲームである。
また、このゲームはスマートグラスと操作や攻撃の為のAR対応のグローブを装着して行う専用のゲームでもある為、本当にその場所にモンスターが出現したかの様な臨場感を味わう事が出来るのが、このゲームの売りだと早川さんは言っていた。
そんなゲーム内に出て来る敵モンスターをプレイヤーは戦士や魔法使いや僧侶や騎士等になり、それらのジョブで敵を討伐し、更にエリア内には強大なボスモンスターもいると言っていた。
そんなボスモンスターを見事討伐する事が出来れば、素敵なアイテムが報酬として入手する事が出来、今回、このプレイ中にボスモンスターを討伐する事が出来れば、ドロップしたアイテムは自由に持って帰っても良いと早川さんから言われている為、少しばかりやる気が出る。
そして、今回私達がゲームをプレイしているエリアは山中の為、出現する敵モンスターもそのフィールドに合わせた感じのスライムや獣系のモンスターが数多く飛び出して来た。
そんなモンスター達を、虹川さんが剣を振り、私が火炎魔法で撃退していた。
そんな感じで、山中を歩きながら道中に出てくるモンスターを倒しながら歩いていると、広い広場の様な場所に出た。
その場所の入口には、コンクリートで造られた倉庫らしき建物があり、その上には吊り橋がかかっていた。
また、そのコンクリート造りの倉庫らしき建物は、奥の広場に続く道にも同じ様な建物が2つほどあるのが確認出来た。
「この倉庫は何でしょう?」
「これは砲台跡と言って、この町には私達が生まれるよりもずっと昔の時代に軍人の基地があったのよ」
「こんな場所に軍人の基地が?」
「早川さんから聞いた話では、この海の向こうにある大都市に敵国船が入るのを防ぐ為に、大都市圏の湾の入り口であるこの町に砲台が作られた様な事を言っていたわ」
このコンクリートで造られた倉庫らしき建物の正体は、旧日本軍の基地の跡である事が虹川さんによって分かった。
「それと、砲台跡には怖い噂があるから、あまり来たくなかったのよね……」
「何かあるのですか?」
「この施設に林間学校に来た人達が、肝試し中に軍人の幽霊を見たという噂話があるのよ」
どうやらこの砲台跡には幽霊が出るという噂があり、その事を虹川さんは凄く怖そうに話していた。
『草むらから何かが出て来るみたいです!!』
そんな時、この周囲をドローンで監視する様に飛行していたリーフィが何かを発見したのか、突然大きな声を出して私達に知らせた。
「何かって…… 何!?」
『よく分からないですが、人型の何かである事は確認出来ました』
「人型って、まさか……」
「まさか本当に、軍人の幽霊が出たの?」
私と虹川さんが怖がる中、リーフィが言う人型の何かが草むらから出て来た。
「キャアッー!! 骸骨の幽霊が出た!!」
「林間学校の噂話は本当だったのね!!」
突然、草むらから骸骨が出て来た為、それに驚いた私と虹川さんは恐怖のあまり、咄嗟でその場で抱き合ってしまった。
『あの…… おふたりとも、あれは幽霊と言うよりも、このゲームに出現するモンスターのようです』
「えっ!?」
恐怖のあまり抱き合う私達の様子を見ていたリーフィから幽霊ではない事を告げられ、先程までの恐怖心は一瞬にして消え失せた。
「そう言えば、よくよく見てみると、あの骸骨は日本軍の軍服と言うよりも、西洋風の安っぽい鎧を着ているわね」
「確かに…… ホント、スマートグラスを装着したままだと、現実と非現実の区別が時々分からなくなるわね……」
草むらから出て来た軍人の幽霊と勘違いをした骸骨のモンスターは、私達の方をチラッと見た後、特に襲い掛かって来る事もなく、まるで私達には興味がないかのように、そのまま目の前にある砲台跡の中に入って行った。
その後、私達は気を取り直し砲台跡の奥にある広場を拠点に、出現するモンスターと戦う事にした。
そして、しばらくモンスターと戦っていた頃、リーフィが自動操作するドローンが、私達のいる広場の奥側にある少し離れた茂みの方に向かって行った。
「リーフィ、どこに行くの?」
『向こうにも、何か建物がありますので、そちらを見に行こうと思います』
リーフィが言うには、向こう側にも建物がある為に見に行こうとしていた為、とりあえず私はリーフィのドローンの後を追った。
リーフィのドローンの後をついて行くと、そこにはコンクリートで造られた先程とは異なる形の倉庫らしき建物があった。
「これもまた軍事施設の一部なのかしら?」
『見た感じ、中は凄く暗いです。だから私が中に入って様子を見てきます』
そう言うと、リーフィのドローンはその建物の中へと入っていった。
そして、中に入った直後、リーフィのドローンが急にバックをして引き返す様に戻って来た。
『ユア、出ました!!』
「出たって何?」
『化け物です!!』
慌てる様に言うリーフィの後ろを見てみると、そこには大きな全身が緑色の龍の様な姿をした大蛇のモンスターが追いかけて来ていた。
「何てものを連れて来たのよ!!」
『勝手について来たのです!!』
「とりあえず、逃げるわよ!! えいっ!!」
コンクリートで造られた倉庫みたいな建物の中から出て来た大蛇から逃げる為、私は足止め用にと大蛇に向かって、強力な火炎魔法を行った。
しかし、私が行う火炎魔法の威力が足りないのか、その大蛇には全くダメージが通らなかった。
「ダメです!! ダメージが全くないです!!」
『多分、あの大蛇は魔法攻撃が全く効かない可能性が高いです』
「じゃあ、あの大蛇は私では倒す事が出来ないじゃない!!」
追いかけてくる大蛇から逃げている最中、リーフィからあの大蛇には魔法攻撃が効かないという事を聞かされた。
その為、魔法使いである私ではあの大蛇を倒す事が出来ないと分かった為、私はある人に助けを求める事にした。
「虹川さーん!! 助けてください!!」
そう、私は戦士である虹川さんに助けを求めたのであった。
魔法攻撃が効かないのなら、打撃攻撃を専門とする戦士ならあの大蛇を倒す事が出来ると思ったからである。
「一体、どうしたの?」
「とりあえず、私達を追いかけている大蛇を倒してください!!」
「凄い大きな!? とりあえずやってみるわ!!」
私の声を聞いた虹川さんは、私達を追いかけている大蛇の方に向かって走り出した。
そして、虹川さんとすれ違った後、私は大蛇に立ち向かっていく虹川さんに攻撃力を高める事が出来る特殊魔法をかけた。
「これでパワーアップです!!」
『私からは、一定時間どんなダメージを受けてもすぐに回復する事が出来る、自動回復加護を授けます』
私が虹川さんに特殊魔法をかけたのと同時に、リーフィもまた虹川さんを応援する為に、自動回復の加護を虹川さんに授けた。
「ありがとう、2人共!!」
私とリーフィのサポートで強くなった虹川さんは、持っていた剣で勢いよく大蛇に切りかかった。
「うぉりゃあぁ!!」
虹川さんが大蛇に対して剣で大きな一撃を与えた後、その大蛇はその場で倒れた。
「やっ、やったかしら?」
倒れた大蛇を虹川さんが心配そうにしばらく見ていると、大蛇の身体は粒子が飛び散る様に消えて行った。
「やりましたよ!!」
『凄いです!!』
大蛇の身体が消えたのを確認した後、私とリーフィは虹川さんに対し勝利の祝福をした。
「あっ、ありがとう。このゲームって、こんなモンスターもいるのね……」
大蛇を倒した虹川さんは、右腕で額にかいた汗を拭きながらその場所を見つめていた。
その後、大蛇が消えた場所が急に光り出した。
「あっ、何か光ったわよ?」
先程まで大蛇がいた場所が光り出した後、その場所に3つの宝箱が出て来た。
「まさかの宝箱が」
「中に何が入っているのかしら?」
突如出て来た宝箱に対し、虹川さんだけでなく私も興味を示した為、私達は3つの宝箱を開けた。
宝箱の中には、赤い水晶玉と紫色の刃をした日本刀の武器と、あとは妖精の様な緑色の羽の装飾品が中に入っていた。
今回はゲーム内で得たアイテムは自由に持って帰っても良い為、私達は3人で宝物を山分けする事にした。
『私はどれにしようかな?』
「あらっ、リーフィはこれが良いんじゃないかしら?」
そんな中、リーフィがアイテムを選んでいた時、虹川さんから妖精の様な羽の装飾品をオススメされた。
『どうしてですか?』
「リーフィも専用のドローンを使って自由に飛び回る事が出来るようになったじゃない。どうせなら羽を付けていた方が良いかなって思って」
『なるほど、そういう理由ですか。確かに羽がある方が空を飛んでいる感じがより出ますね』
そして、リーフィは虹川さんのオススメにより妖精の様な羽を選んだ後、リーフィは早速その羽を装着した。
『見て見て、羽を付けました!! 似合っていますか?』
「えぇ、似合っているわよ」
『そうですか!! それは凄く嬉しいです』
妖精の羽を装着したリーフィは、早速その姿を私に披露した。
似合っていた事が余程嬉しかったのか、リーフィはアバターであるにも関わらず、ニコッとした表情を私に見せた。
その後、虹川さんは刀を選び私は水晶玉を選んだ後、再び真夏の炎天下の中でARゲームの続きを行った。
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