第三話
「何で、俺とお前がここにいるんだ?」
深夜、王宮への隠し通路の近くで俺とアイリーンは目の前の路地裏に隠れていた。
「あなただってわかってますよね? 彼の言ったことが!!」
「作戦はこうだ。まず、深夜にバルサとアイリーン様、それにバルトルトは王宮の前に行ってくれ。その間に俺は俺の私有地にいる平民をライン広場に集める」
カリーはこう言った。
「おいおい、なんで広場に市民を集めるんだ?」
俺は疑問になる。そして、カリーはこう答えた。
「
「そうです!! バティストゥータ神話にはしっかりそう書いてありました。この説が正しければ、凶悪の猛獣は必ず広場に来ます。それより、大丈夫なんですか? 市民をこんな危険にさらして? そして全員来るのですか?」
「それには心配ありませんよ。私はそこまで人望が悪いわけではありません。私は彼らが必ず来ることを信じてますし、何より彼らを危険に晒すつもりはありません」
俺は納得した。そして
「そして、
とカリーは言った。さすが王国屈指の戦略家だと思った。そして、なんでお前だけそんな危険に手を出すのかと疑問に思った。
「しかし、ここで問題なのが連絡手段だ。奴が来た時に遠くにいる俺はお前たち三人にどう伝えれば「その必要はありません!!」
アイリーンがカリーの話から割り込む。
「私がその連絡手段をお昼までに用意します。ですので、カリー様は安心して学校に出席してください」
「アイリーン様、ありがとうございます。では、私はそのお言葉に甘やかさせていただきます」
「やめてください、カリー様。私は依頼者として当然の事をするまでですから」
カリーはアイリーンに大きく頭を下げた。
「なら、俺はカリーのところに行く!! その連絡手段、お前一人じゃ頼りないしな!!」
バルトルトはカリーのところに行くと言った。
「いやいや、ここは俺一人でじゅう「俺の家はだいだいこういうのは得意なんだぜ!!」
そう、バルトルトの家は魔力家電が有名な小売店だ。
「わかった。なら、バルトルトは俺のところについてきてくれ」
「おう!!」
「それじゃあ、明日のこの時間で待ち合わせしよう」
「わかった」
「わかりました!!」
「おう!!」
こうして、俺たちは
「それで、その『通信機』ってのは何なんだ?」
俺は素直に疑問になる。
「『通信機』というのは言わば遠くの人と話せる魔力家電です」
アイリーンはそう答えてくれた。俺はその魔力家電に感心する。
すると、すぐ近くの民家からこんな言葉を耳にする。
『何やってるんでしょうね? 国王陛下は』
『全くそれだ!! 何今でも国同士で争っているんだ!! そのせいか、俺たちモラタ王国軍の兵士たちが一向に行方不明報告が鳴り止まないじゃないか!! 早く停戦協定を結ぶべきだ!!』
それは国王陛下への不満だった。俺はそんなことはどうでもよく捉えていた。
俺はアイリーンが気になって、彼女の方に目を向けた。
すると、アイリーンは涙を流していた。
「おい、大丈夫か?」
「あれ? どうしてでしょう……。急に涙が……」
俺はアイリーンがどんな思いを抱いているのかなんとなくわかった。
だから、俺はアイリーンを抱きしめることにした。
「大丈夫だ……。必ず俺がお前の父さんを助けてやる……」
そう一言添えた。
アイリーンは俺の腕の中で静かに泣いていた。そのおかげで自分の服が濡れていることもわかった。
その時だ。
『ピピっ……。』
通信機が鳴った。俺とアイリーンはすぐに離れた。俺はそんなに照れていなかったが、アイリーンは……というとかなり顔を赤くしていた。
『凶悪の猛獣が来たぞ!! そっちもすぐに行動してくれ!!』
バルトルトの声だっだ。
「わかった。国王救出した後、すぐにそっちに行く!! だから、そこで持ちこたえてくれ!!」
俺はそう通信機から聞こえるバルトルトに言ってアイリーンと共に王宮に行った。
「なんでだ? なんでこんなにも人が倒れているんだ?」
王宮への隠し通路または地下通路。そこに大量の人間がごみのように積まれていた。
その人間たちを少し触ってみる。
暖かい。
「ど、どうして!! どうしてこんなところにウリスがいるのですか!!」
「知り合いか?」
「は、はい……。彼女は私の専属の警護です。ですが、なぜ彼女がこんなところに……」
アイリーンはウリスを見て、アヒル座りをした。そして、彼女の手を強く握った。アイリーンの顔が少し暗くなった。
「大丈夫か……?」
「は、はい……」
アイリーンの表情は悪かった。でも、そんな余裕は無い。
「ごめんだけど、今は彼女をそっとさせてくれないか? 彼女だってこんな所でそんなお前の顔は見たくないはずだ」
「そうですね……。行きましょう!! 父上のところへ!!」
アイリーンは明るい声で俺に覚悟を決めた顔をした。俺は内心、安心する。
俺だって見たくないものは見たくなかった。でも、その人はその山に積まれていた。しかし、俺はそんなことは後にすることにした。今やるべきことは決まっていたから。
アイリーンは王宮にいた国王の間に行った。
「父上!!」
「お、おう……。生きておったか……アイリーン」
アイリーンは国王に飛び込み、抱きしめる。かなりいい雰囲気で入り込める隙は無かった。
「それで貴殿は?」
国王が俺に尋ねてくれる。俺は礼儀正しく答えてみる。
「私の名前はバルサ・クリス。私はあなたのお嬢様の依頼でここに今参上した所存です」
「おう、貴殿があのクリスの名の者か……。歓迎しよう!! あと、我の事は敬語でなくても良い。君の敬語は下手くそだからな」
「!!」
俺は少し恥ずかしくなった。
「で、貴殿らはどうして割れのところに来た?
「それはお前を助けるために来たからだろ? ここは危ないからまずここを離れよう。避難場所はアイリーンが用意してくれたからアイリーンと一緒にそこにいてくれ」
「それで貴殿は何をするのだ?」
「俺は危険に合っている友達のところに行く」
俺はすぐ、そこに向かおうとする。すると、
「待ってください!! 私も行きます!!」
とアイリーンはそう言った。俺は立ち止まる。
「やめとけ。お前は父と出会えた。それでいいじゃな「いいわけありません!!」
アイリーンは俺の話を割り込んできた
「私だってカリー様とバルトルト様が心配なんです!!」
「だから、俺一人で行く。お前をまき「何言ってるんですか!! 私は巻き込まれるつもりはそもそもありません!! それにバルサ様は広場がどこにあるか知ってるんですか!?」
「!!」
確かにそうだ。カリーの家がどこにあるかはわかるけど、広場までは流石に教えてもらってなかったな。
俺は一言も言い返せなかった。
「わ、わかったよ……」
「ふん!! 決まりですね!!」
あーあ、俺より三つ下の女の子に言い負かされたなあ。
いや、そんなことを思っている余裕は無い。
アイリーンは国王に避難場所を言った。そして、
「では、バルサ殿、アイリーンよ!! 二人は貴殿らの友と共に戦い、この王国を守るのだ!!」
国王はそう言った。俺はその言葉に少し照れる。
俺とアイリーンはすぐカリーとバルトルトがいる広場へ走った。
だが、そこには衝撃的な光景があった。
「どういうことだ?」
俺たちが向かった広場の中心には大きな穴があった……。
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