第二話
「父上を助けてください!!」
少女はこのような言葉を口にした。
俺はいきなりすぎて困惑していた。
「バカ野郎!! 何やってんだよ!!」
バルトルトの声が聞こえた。
俺はバルトルトの方に目を向けると、バルトルトは右膝が床についていた。
俺は誰なのかわからず
「お前は誰だ?」
と尋ねた。すると彼女は
「私の名はアイリーン・モラタ・ロドリゲス。この国の第一王女です」
と名乗った。俺は素直に驚く。
「俺、ちょっと、カリーのところに行ってくるわ!! 後は頼む!!」
俺は逃げるかのようにその場を去ろうとした。だが、俺は誰かに服を引っ張られた。
「ちょっと!! あなたに用があるんです!!」
服を引っ張ったのはアイリーン王女だった。俺は少し困った顔になる。
「おーい!! バルトルト!! お前、ちょっとカリーのところに行ってくれ。王女が困ってるって言うのは相当なものだろうからさ」
「ああ、わかった。では、王女様少し私はこの場を離れます。ですので……」
「わかりました。気をつけて行ってください。なお、今後私の事は『アイリーン』とお呼びください。あと、敬語もいらないです。」
「わかりました。では、失礼します」
バルトルトはカリーのもとに行った。
俺はアイリーンと二人きりになった。
俺は一つ疑問点を持った。
「なんで、俺に助けを求めたんだ?」
「タイプだからです」
ん? 俺の聞き間違いなのか?
もう一度聞いてみよう。
「俺に助けをもとめ……」
「タイプだからです」
は? こいつ何言ってんだ?
俺はこいつの言ってることがわからなかった。
なんで父親を助けるためにタイプの人を選ぶのか。
こいつの思考回路が意味不明だ。
でも、こいつ、よく見たらすごく可愛いと思う。せめて村の女よりかは。
パッと見、俺より年下、十四歳ってところか。ずいぶん、しっかりしてるよなー。
ずいぶん沈黙が続いた。俺は彼女の言動にそう動揺していた。
その時、アイリーンはふと微笑した。そして、真顔になる。
「嘘です。本当はあなたが最初に悪魔を追い払ったと言うので……」
あ! そういうこと!
俺は心のなかで安心し、溜め息をはいた。
「え? まさか、私の言葉でドキドキしました?」
アイリーンがそう言葉にする。
「いや、むしろ安心した。一瞬、お前の頭がおかしいのかと思ったから」
アイリーンの頬が膨らむ。
俺、何かおかしなこと言ったか?
と自問自答した。
「よう、来たぞ!! バルサ!! と、アイリーン王女様、お久しぶりです」
「こちらこそ、お久しぶりです。カリー様。あと、私の事は『アイリーン』と呼んでくださいと何回も言っているはずです。それと、敬語も」
「それは失礼いたしました」
「それ!! それのことを言ってるんです!!」
バルトルトがカリーをつれて帰ってきた。どうやら、カリーとアイリーンは何かと面識があるようだった。
そして本題にはいる。
「バルトルトから話を聞きました。それで、王女様はなぜバルサに『父上を助けてください』と言ったのですか?」
カリーがアイリーンに尋ねた。
アイリーンは少し深刻そうな顔を見せた。
そして、「少し長い話になります」と言ってアイリーンは話し始めた。
――王宮
「この者を死罪に処ずる!!」
国王陛下はそう罪人に告げた。私もここにいた。
罪人は様々な罪を犯した。
殺人罪、強盗罪、暴力罪などなど……。
やっと、捕らえた罪人だった。罪人は人間とは思えないほどに素早く動きまわっていたからだ。
「そ、そんな!!」
罪人は驚いた表情をする。不思議だった。
「貴殿の行いはこれに値すると言っているのだ。貴殿も思い出してみよ。貴殿の行った行為がどんなものかを!!」
国王陛下は判決を揺るがない。私もこれは当然の裁きだと思った。
すると、罪人は何かごにょごにょとつぶやき始めた。少しずつそのつぶやきは大きくなっていく。
「魔王様、どうかご慈悲を、魔王様、どうかご慈悲を、魔王様、どうかご慈悲を、
魔王様、どうかご慈悲を、魔王様、どうかご慈悲を、魔王様、どうかご慈悲を、
魔王サタン様!!!!!!!! どうか私にご慈悲を!!!!!!!!!!!」
そして、罪人の体が真っ二つに引き裂いていく。そして、
「う、うそ…………」
罪人は黒い何かを生んでしまった。でも、私にはそれが何なのかすぐにわかった。
「あ、悪魔……」
その黒い体、その闇のオーラ。間違いなかった。
あれはどんなに神話に出てくる天使や悪魔でも襲えられた伝説の魔物、
私はすぐ、父にその事を言おうとした。だが、
『お前が……原因か……』
すでに遅かった。凶悪の猛獣は父の目の前にいた。
私は震えながら父を助けるために護身用の拳銃を手に持つ。すると、凶悪の猛獣は私の方に目を向けた。
「逃げなさい!! 私の事など考えるな!!」
父の必死の叫びだった。私は凶悪の猛獣に照準を上手く定まらなかった。
あまりにも恐怖で私は護身用の拳銃を捨て、逃げてしまった。
だが、凶悪の猛獣は追いかけてくる。
「ここはお嬢様!! 私たちなど気にせず逃げ……」
強烈な潰れる音が聞こえた。警護をしてくれた人が私を庇ってくれたのだ。
私は逃走用のシェルターに逃げこめた。
シェルターは空間転移の魔法が施されていたので、少し安心した。
そして、私はシェルターの中で一人、涙が溢れてしまった。
「そして、そのシェルターを出た後に私はある話を耳にしました」
「あることってどんなことですか?」
カリーはアイリーンを言及する。
「バルサ・クリスさんの話です。彼が悪魔を追い払ったと噂で聞いたので……」
「おいおい、そりゃ無理だろ。だって、いくら悪魔を追っ払って伝説の魔物を倒せるわけないでしょ!!」
「あなたならできます!! というよりあなたにしかできません!! だって、あなたは魔力持ちだからです!!」
「は?」
俺は少しアイリーンに苛立ちを持った。
「俺が魔力持ちだって? なんだよ? 魔力を持ってなかったら、あいつを倒せないのか!!」
俺はアイリーンの胸倉を掴む。カリーは俺の急な怒りに
「やめろ!! お前、誰にやってるかわかってんのか!!」
と怒鳴る。バルトルトは俺を止めようとした。だが、そんな俺をアイリーンは動じない。
「そうです。あなたは魔力持ちです。この世に数人としかいない稀な人なんです!! だからこそのお願いです!! どうか私の父上を救ってください!!」
俺はこんな強気な女は初めて見た。そして、その表情。やめてくれ。
そんな泣き顔で来られたら俺がどれだけ否定したくてもできないじゃないか。
俺は胸倉を放した。
「わかったよ。だから、そんな顔をするな……」
こうして、俺はアイリーンのクエストを受けた。
そして、カリーはこう言う。
「それじゃ、俺も手伝うわ。バルトルトも、お嬢様も手伝ってくれるだろ?」
「勿論です!!」
「お、おう……」
「よし、決まりだ!! 俺に考えがある!! だから、俺の指示に従ってくれ!!」
こうして、俺たちバルサ・クリス、カリー・サンジェルマン、バルトルト・ボス、アイリーン・モラタ・ロドリゲスの四人は凶悪の魔物から国王陛下を助けるため、行動を開始した。
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