第66話 少年王と織田・和紗の野望・大公立志伝とアマテラス神皇国九州平定戦役への出陣っ!! 2

マギアンティア世界統一暦・1555年・11月3日・午後14時06分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ユーラシアン大陸 ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ・ベルリナ帝城宮殿・皇帝執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ・ベルリナ帝城宮殿では、何時もの如くヒットラン・アドルフラー皇帝とロンデル・エルバン大元帥の二人が、益々勢力圏の拡大と国力の肥大化が進むキリヤ公国連合国。

  

 その対キリヤ公国連合国への対策に追われて居た。


 勇治がガリアナ王国のジンバル・ユリテリア・ガリアナ国王の命を救い、その国王の娘であるセレジアにひとめぼれされ、婚約者と成った。   


 その結果、セレジアとの婚約するに当たって庶民であった勇治の身分を格上げするべく、誰からも文句を言われない身分。


 ガリアナ王国から分離独立した国家の公爵王位に付いた王様に成り、勇治はキリヤ公国を建国をした。


 更にキリヤ公国には受難が続く事と成った。


 それは異世界から神災害で次元転移してしまった地方地域であるナデシコ地方自治州区を準独立自治国権限を持たせた形で、キリヤ公国へと合併編入する事で、キリヤ公国は、キリヤ公国連合国へと国名を連合体制国家を敷いた国として勢力を拡大させた。


 これによりゲルニアン帝国は、転移災害が原因では在るが、一部の国土をキリヤ公国とナデシコ地方自治州区とが、自領を浸食した事に難癖を付ける事で、ユーラシアン大陸南部統一戦争を仕掛ける。


 だが、このゲルニアン帝国の陰謀戦争を勇治は、ゴットタブレットの力とナデシコ地方自治州区の力を用いたお陰で、ゲルニアン帝国を退けさせる事に成功する。


 この公帝戦争に措いて、キリヤ公国連合国とその同盟諸国らは、北へと領土広げる事になる。



 更にはゲルニアン帝国から小さな国土を守り切る為に、メイルシュルフラッド公国の女公王であるリィーゼ・メイルシュルフラッドは、キリヤ公国連合国へと飛躍した彼の国から支援を得る為に、勇治と婚約してキリヤ公国連合国への連合加盟を表明する。




 それに続いて更にキリヤ公国連合国へと加盟を表明する者達が現れる。


 それはアマテラス神皇国内から分離独立をする決断をした伊達家の奥州独立自治王国。


 若き伊達家の当主である伊達・藤枝・政実は、14歳で当主と成ると、米沢と近隣地域だった領地は一気に陸前国・岩代国・磐城国へと広がり、南奥州を平定を果たした事で、3カ国半を治める大大名へと一代で国土を一気に成長させる。


 キリヤ公国海軍艦隊が仙台湾へと現れ、彼の国の目的や要望の要請を聞かされると、協力する所かキリヤ公国に自ら進んで取り入る事を決めた。


 そして、キリヤ公国の連合傘下へと入り、伊達領国の全てを独立自治国として認めさせ、保護下へと入り、何所の国からもチョッカイが出せないようにする狡猾さを見せ付けた。


  後に政実が勇治への公式な臣従を表明をする為に、キリヤ公国連合国の首都たる公王都キリヤ市へと上洛する日、最上義光が起こした奥州動乱戦争が勃発すると、これらを鎮めると決意した政実。


 そんな彼女事を応援する伝える為に、勇治は奥州王号を送る事を伝える。


 政実は奥州王の地位を勇治から授けられ、連合加盟する際に登録した国名たる仙台陸前独立自治藩王国から奥州独立自治王国と国名を改名し、侯爵王家扱いでは在るが、盟主である勇治に準ずる地位をと定められた地位を賜られる名誉を得た。


 時を同じくして、毛利家もキリヤ公国連合国との小さな諍いを起こした結果、その無礼を詫びる意味も在ってか、毛利基就は長女の毛利・輝実・隆宗へと譲り、キリヤ公国連合国へと加盟。


 毛利独立自治安芸藩王国を建国をしてアマテラス神皇国内から分離独立をしてしまう。


 続いてアマテラスの各所から、キリヤ公国連合国が仕官公募と移民公募政策により、移民と仕官者達が殺到。


 キリヤ公国連合国の労働力と兵力の確保の為にアマテラス列島で溢れている難民や無職の武士達にキリヤ公国連合国で働かないかと呼び掛けると相当な数の応募者が集まる事と成った。


 今現在でも移民希望者が多く、今は本土より殆んど無人であるキリヤ列島の開拓民へと入る者達が多い。


 その中にはアマテラスの猛将・知将・某将・賢将と言った物たちも集まり、その中でも上杉家の軍神と謳われて居る姫武将、上杉・剣信・輝清とベテラン側近者たちも在った。


 これが原因で、上杉家は先代当主であった上杉・剣信の後を追う形で、新当主であり、上杉・剣信の甥御である上杉影勝は、勇治に臣従を誓いつつ、上杉独立自治北陸藩王国を建国して、アマテラス神皇国内から分離独立をする事に成る。


 

 これらの勢力の加盟により、キリヤ公国連合国は、より一層の勢力圏の拡大に繋がっ居り、ゲルニアン帝国との大戦争である公帝戦争に勝利にも繋がった。



 また、移民者達の中には、唐太島国・万年島列島地方国・北海島国の3州の島々から外の世界を嫌って居たり、戒律的な慣習から毛嫌いをしていたアイヌル民族達の中にも、渡海する者達も現われて居る。


 その姿は勇治の故郷である地球世界のアメリカ合衆国に近い姿をして居ると言えた。


その後もキリヤ公国連合国は拡大を続ける。


 お次はビクトリナ独立自治共和国の転移災害によって引き起こされたビクトリナ南洋大戦。


 これにより第一列強国のゲルニアン帝国。第二列強国のマギウス・ギアース王国。第四列強国のドラリュウス帝国から成る3大列強国との一大戦争へと発展してしまう。


 これ等を撃退した事で、キリヤ公国連合国は世界から新たな列強国として見られる様に成って行く事に成る。


 その事を忌々しく思って居るのは、キリヤ公国連合国を列強国へと押し上げる切っ掛けを作ってしまった張本人であるゲルニアン帝国のヒットラン・アドルフラー皇帝とロンデル・エルバン大元帥の二人。


この二人がある報告を聞いて大慌てと成って居た。


「何じゃとっ!!キリヤの小僧がシャッコロ族の反乱鎮圧をしたのに続いて、島津家の征伐を決めたじゃと!?」


「はっ!!如何やらその様な発表が、新たにキリヤ公国連合国へと編入された新トウキョウ地方自治州区と言う地にて、世界中に向けて大々的に発表したらしいのです。」


「それで・・・・・・・その派遣軍は、どれくらいの規模に成るのだ?」


「漏れ聞こえる話を分析しましたが、恐らくは・・・・・総兵力50万人程度かと・・・・・・・・・・」


「50万人、帝公戦争の(ゲルニアン帝国側の公帝戦争の呼び方で、源平合戦の様な名前の付け方)時と同等の規模か・・・・・・・・・・・」


「あの狭きアマテラス列島・九州地方の島に、それだけの規模の兵力が集中する成ると、島津の小娘共は詰んだのも当然であろうな。」


「我が帝国の1方面軍程度の派兵規模に御座りますれば、それらの軍勢に島津家が制圧されば、これ以上のアマテラス列島地方への介入は不可能に成ってしまいました。」


「ちっ!島津やアイヌル民族解放血盟団に対して、ちと肩入れが過ぎたか・・・・・・・・・」


「今後は第三文明圏への交易航路は、我が国の西回りに行い、第五文明圏への交易航路と併用しての代用航路貿易をして行くしか在りませぬ。」


「東へは第二文明圏の列強国であるマギウス・ギアース王国の連絡船を中心とした自由商業交易に任せるしか、手は無くなりました。」


 自由商業交易とは、敵対国に制海権を奪われた場合の非常手段で、敵対国と接して居る海の港を寂れさせない為の苦肉の策である。


 少なくとも商人に対して、敵対国との貿易を禁止にするより、貿易を奨励して、次の戦いで制海権を取り戻すと決意を新たに・・・・と言うか放置するしか無いと諦めた放任政策である。


 特に戦って勝てない相手の場合のみに適用される事の多い手立てなので、この世界の国々に取っては、形振り構わずの場合の時のみに制度が施行されて居る。


 ハッキリと言えば、国家が自国の商人達に対して、敵対国の制海権での貿易に関して、国家はワザと法の抜け穴を作って、見て見ぬふりをしての貿易を奨励して居る事に成る。


「ぐっ、我が帝国にもキリヤ公国連合国の様な力が在れば・・・・・・・・・・・・・・」


 ヒットラン・アドルフラー皇帝とロンデル・エルバン大元帥の二人は、歯がゆい思いで、ユーラシアン大陸の東側に在る大海、ローレライ大海洋の制海権を奪った キリヤ公国連合国が、我が物顔で次から次へと版図を拡大させて行く事を黙って見て居るしか無かった。


 しかしながら、これは彼らのしでかしてしまった事が原因の自業自得なのだが、それでもキリヤ公国連合国を怨まずには居られないが、反対に勇治とキリヤ公国連合国は、勝手に版図が広がるだけであるので、怨まれるのは迷惑なことこの上ないのであった。


 だが、そんな彼らに間も無く、思わぬ拾い物をする事に成る。

  

 マギアンティア世界統一暦・1555年・11月7日・午後13時06分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国家・毛利独立自治安芸藩王国・九州島地方・北九州地方・筑前国州・小倉市・小倉城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 島津家への去就を明らかにしろとの最終通告を宣言してから5日後。


 新生織田家として出発した、アマテラス織田自治神皇国とキリヤ公国連合国との連合を組んだ形での九州地方への九州統一平定征伐連合国軍。


 そのアマテラス九州平定征伐連合国軍の先鋒軍たる第一連合国軍司令官に任じられた羽柴・陽菜・秀良は、先鋒軍として小倉城へと到着して居た。


 また、博多港へは羽柴軍の別働隊が機内より進発した安宅船艦隊により到着して、続々と上陸を果たして居た。


 此方は羽柴・陽菜の子飼い軍が中心軍勢で、小倉城へのルートは、下関から新たに橋を架けて渡る事に成った


 毛利領の港が使える様に成った事は、アマテラス織田自治神皇国軍に取っては、本州島経由での補給路の確保に成功した事で、より一層的に戦がし易く成った事を意味して居た。


 そして・・・・・・・今回は勇治のゴットタブレットで、下関市と小倉市との間を繋ぐ天照関門海峡大橋こと、天門大橋と略された巨大な鉄筋制の吊り橋が架けられる事と成った。


 その橋を第一連合国軍司令官に任じられた羽柴・陽菜・秀良を先頭にして、連合国軍勢は、続々と橋を渡って行く姿が見受けられて居た。


此処で登場する羽柴・陽菜・秀良付いて改めて説明して置く。


猿の様にキャッキャ、キャッキャ飛び回るが如く騒がしい性格で、背格好が小柄で可愛らしい容姿をして居る羽柴・陽菜・秀良は、元は尾張国州の農村である中村の生まれで、木下・陽菜と言う農民の家の長女。


 実家には、母と7人くらいの兄妹達が居る家族の多い貧困層生まれの女の子だった。


 ある日、美濃国との戦に足軽兵として消臭され参加した父である弥右衛門が、敵から受けた手傷が元で、破傷風に掛かって病死。


 一家の大黒柱を失った木下家は、只でさえ貧乏農家であるのに、収入源の柱が無く成った事でド貧乏の底へと転落。


 そん中で、母親である仲を狙って居た中村の村長の次男坊である竹太と言う男は、戦で留守の木下家へと強引に入る込み、仲と寝屋を強引に強要させて居た。


 弥右衛門が亡くなると、今度は再婚相手だと言って、家に居座る様に成る。


 そんな生活に嫌気がさして居た陽菜だったが、ある時義父である竹太から、デカい娘は小利口過ぎて邪魔だと、近くのブッタ教寺院に小僧として追い出されてしまう。


 頭に来た陽菜は、中村寺院を飛び出し、義父である竹太をボコボコに殴り捲ってから、村を飛び出す。


 其処から当てもない旅へと出たが、日雇いの仕事をしながら東へ東へと流れて、遠江国の国衆で在り今川家臣でもある松下・佳代・之綱に、物乞いをしていた所を拾われる。


 半年間の間に武芸・学問・兵法・経済等の学問を教え、大変に可愛がられたが、献身的に働いてる事が、古くから仕える家臣達に農民の癖にと酷く馬鹿にされて居た。


 これ以上は迷惑を掛けられないと悟った陽菜は、ある日の深夜に黙って松下屋敷を去ろうとした所を呼び止められ、餞別だと言って金子・小刀・槍・鎧と鎧櫃等の姫武士道具一式を受け取って、お礼を一言を言うと、その場を立ち去る。


 そして、数年ぶり尾張国へと帰ると、松下・佳代から貰った金子を元手に、尾張国各所から搔き集めたりした産物を扱った行商を開業する。


 その時に従業員として雇った幼馴染みの蜂須賀・頃代・正勝と前野・恵那・長康共に清州市へと出稼ぎに出るが、其処で若き日の織田・和紗・信長と出会い、その出で立ちにただならぬ気配を感じて家来に成って一旗を揚げたいと決意する。


 その後陽菜は足軽身分で、和紗の付き人として、草履取り仕事からスタートし、清州城の修繕をたった二週間で仕上げたり、岡ヶ狭間の戦いで今川義本の動きを探ったり、墨俣城を一夜で作り上げ、美濃で有名な軍師を調略して見せた。


 また、越前金ヶ崎の戦いでは、朝倉軍と浅井軍の連合から味方を守るべく殿を引き受けたり、反旗を翻した元同盟国である浅井家の居城である小谷城攻略の総大将を務めたりと目覚ましい活躍を見せた。


 農民だったにも関わらず数々の活躍を見せたりして居た彼女は、何時しかアマテラス地方でも一躍有名な最底辺から出世を成し遂げた武将の一人と成って居た。 


 現在は北近江5万石と播磨国州50万石と摂津国州20万石あわせた75万を有して居る。


 家臣団には故郷の幼馴染みや親戚、身分の低い者や浪人者等が多く採用され、異色の家臣団と成って居る。


 後に豊臣独立自治大公国を勇治の持ってる直轄領地を分け与えられ、大公豊臣・陽菜・秀良と呼ばれ人物と成るのだが、それはチョッと先のお話。



 さて、少々逸れた話を元に戻そう。


 派遣されたアマテラス九州平定征伐連合国軍は、毛利安芸藩王独立自治国領・北九州地方・筑前国州・小倉市・小倉城を前線基地とし、博多市と博多港を海上補給路の要所地として居た。


「予定していた時期よりも、思ったよりも早く九州平定の戦が始められるとは、思わぬ誤算でしたね、陽菜殿。」


「全くだよね。島津の先走ったやり口が我が織田家、そして勇治陛下とキリヤ公国連合国の介入を早める事に成るとは、流石の島津四姉妹達も先が読めて居なかったと言う事なのが彼女達に取っては、思わぬ誤算なんだろうね。」


 羽柴家の軍師にして、播磨国州の秀才と謳われし黒田・雫・隆孝は、小倉城に到着すると、雑談交じりに先々戦略を練り始めた。


 黒頭巾を被った小柄なおかっぱ頭の風貌で、機内地方の平定戦での戦いに措いて、彼女は荒木城の城主である荒木村重へと降伏の使者へと赴く事が在った。


 その時に村重の罠に掛かり、彼の手によって1年間の投獄生活を強要されて居た事も在るせいか、少々右足を悪くしてしまって居る。


 羽柴軍の2枚参謀看板の一人で、美濃国州の天才と謳われし竹中・半那・治重と共に、雫半軍師(しずはんぐんし)と略され並び呼ばれる名参謀としてアマテラス神皇国内では知られて居た。


 この二人が居れば、アマテラス神皇国の天下が取れると言われて居るが、党の本人達は、その気は無いらしい。


 竹中が軍略・謀略に長け、黒田が戦略・戦術に長けて居る為か、この二人が立てる策略は、実に見事な手並みにて相手を翻弄し、簡単に決着が着くとされて居る。


「敵は掻き集めた将兵が30万人強と言った所。」


「対する我らはキリヤ公国連合国の軍勢を併せて、50万人を号する大軍勢。」


「やり方さえ間違わなければ、これほどの楽な戦は無いですね。」


「申し上げますっ!!」と伝令官が入って来た。


「如何したの?」と陽菜が驚いた表情で聞く。


「只今入りました情報に由りますると、島津家4女・島津・家久が、大友・奏麟様の本拠地である大分城を包囲した模様っ!!」


「報告ーーっ!!」と再び、新たな伝令官が、次なる報告を伝える為にやって来た。


「申し上げますっ!!先程立花家から参りました伝令官に由りますれば、大友家の高橋・運紹様が守りし岩屋城。」


「立花・道雪様が守りし宝満城を島津家の次女、島津・義広の軍勢が取り囲みましたっ!!」 


「なお、立花山城の城主である立花・宗茂様から、窮地に陥った姉達を救う為にも、一刻も早い援軍を求めて来て居られまする。」


「ほう・・・・・・島津4姉妹は、講和でも休戦でも無く。」


「有利な情勢を得るべく、抗う為に先手を取って戦を仕掛ける事を決断しましたか?」


「大方、島津家の者達の目論見は、抗えるだけ抗い。戦後講和交渉で出来るだけ優位に立ちたい腹積もりなのでしょうが・・・・・・・・・・・・」


「雫っ!!」


「分かって居りますとも、アマテラス九州平定征伐連合国軍・先鋒軍司令官付参謀総長として命じます。」


「直ちに第三連合国軍の吉川・春美・隆春殿、第十連合国軍の上杉・剣信・輝清殿と前田・慶南・益利殿。」


「第六連合国軍の佐竹・秋江・重義と上杉軍の直江・愛華・兼継殿及び大国・七恵・実頼殿と下野国州軍。」


「第五連合国軍に徳川・千代・家康殿の旗下である本多・八重・忠勝殿らの軍勢を合わせた5万人を立花山城を方面隊として編成派遣し、島津・義広軍勢を立花家の領地から叩き出しなさいっ!!!」


「ははっ!!」と言って命令を受けた伝令官は、直ぐに立花家への救援部隊と決まった軍勢の下へ命令を伝える為に、通信室へと向かう。


 立花家への救援派遣軍の武将達は、何れもアマテラス地方内でも指折りの武辺者として、知られて居る猛将揃いの強者達で編成されて居た。


 勇将にして猛将の鬼島津の異名持った島津家の武勇名が高き次女としても知られた島津・弘美でも、苦戦どころか尻尾巻いて逃げるしか無いかも知れない。

 

「ねぇねぇ雫、今の編成って・・・・・・・」


「少々、大人げないやり口である事は、重々承知して居ります。」


「ですが陽菜殿、相手は鬼島津の異名を持って知られる島津・義広。」


「例えそれが子猫だったとしても、全力で狩らねば、此方も要らぬ被害を被ります。」


「此方もアマテラスの猛将達をかの鬼島津へとぶつける事で、義広本人を押さえ付けつつ、その旗下の軍勢の戦意を削ぐ意味も在りますので、これくらいが丁度良いかと。」


「まぁ、良いんだけどね。所で大友様の所へは、誰が向かったの?」


「それに付いては既に手を打って在ります。」


「どんな手?」


「それは大分城にての戦が、始まってからのお楽しみです。」とニヤリと笑う雫であった。


 ギリギリまで手の内を明かさない。


 それは軍師道を極めし者に相応しい姿と言えた。


 マギアンティア世界統一暦・1555年・11月8日・午後10時36分頃マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国家・アマテラス織田自治神皇国・大友家領・北九州地方・豊後国州・大分城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 さてさて、策士、策に溺れる島津家4姉妹によるアマテラス九州地方制覇の野望は、織田家とキリヤ公国連合国の介入により風前の灯火。


 窮地へと追い詰められた島津家4姉妹は、限られた戦力と無い知恵を振り絞って、敵の援軍が到着する前に、敵側の要所、要所を攻め取ると言う大胆不敵な攻勢に打って出てたのであった。


 溺れる者は藁をも掴むと言った感じに、少しでも優位な戦況と膠着状態を作り上げる形で、大国との間に停戦協定へと持ち込み、戦後交渉で有利な内容の講和を捥ぎ取ろうと、力で抗う事を決断する。


 島津軍は、九州地方豊後国方面に措いて、北九州地方東部方面侵攻部隊を率いて居た島津・衣恵与・家久は7万5千人程度の軍勢で、大分城と大分市に攻め入る。



 この戦いが始まる切っ掛けと成った戦いが在った。


 それは九州統一の前哨戦として島津軍と戦った肥後国の人吉城の相良・晴陽・義陽と日向国の伊東義祐を討ち破り、島津軍は勢いに乗って破竹の勢いで北侵を続けて居る。


 だがしかし、キリヤ公国連合国と織田家の早期参戦が決まり、その軍勢の電光石火の攻めと駆け引きで戦局逆転が決定的と成る。


 九州地方の戦いの潮目が変わり、自国に優位と見た大友家。


 其処でキリヤ公国連合国軍の援軍が来る前に、島津軍に一撃を加え様とした大友・須江・奏麟と大友軍は、大分市の東南に在る戸次川にて激突するも、島津・衣恵与の露骨な策略と武勇に翻弄されて撤退。


 本拠地である大分城へと出戻って来て居た。


「ぐっ、勝ち戦と見て勇み足であった事が悔やまれる。」


「我が方の援軍が到着するまで、この大分城で絶対に待つ様にとお伝えした筈です。」


「申し訳なかった竹中殿。」


 なんとっ!!この大分城には、既に美濃国州の天才と謳われし竹中・半那・治重が入って居たらしい。



 しかし、如何やって?と言うと、キリヤ公国連合国のヘリコプター部隊で3000人の部隊と供に、本隊に先んじて大分城へと乗り込んで居たのであった。


 新トウキョウ地方自治州区国防自衛軍・ビクトリナ共和独立自治国統合軍・キリヤ公国軍の三つからヘリコプター大隊が編成され、大友・須江が出払って居る最中に必要な物質を届けさせて居た。


 竹中・半那の旗下には、ナデシコ自治統合陸軍・新トウキョウ地方自治州区国防自衛陸軍・ビクトリナ共和独立自治国統合陸軍・キリヤ公国陸軍から成る先遣籠城軍が到着していた。


「まぁ、一先ずその一件に付いては戦後に、キリヤ公国連合国としての軍律違反としての色々な面で、処分の対象としますが、今は目の前に居座る敵軍を如何にかする事が先決です。」


 島津・衣恵与軍は、大分市を取り囲みつつ、じわりじわりと大分城を攻め立てて居る。


「幸いな事に敵である島津・衣恵与軍は、大友殿を打ち破って軍勢が逃散し、その数が減って居ると思い込んで居る筈でしょう。」


「それならば勿怪の幸い。この私が島津軍が最も得意な戦法である釣り野伏の計で、見事に粉砕してみせようではありませんかっ!!」


 白頭巾を被った小柄なショートロングヘアーの風貌をして居る女の子が、大友家当主とその家臣達前にして、采配を振るった小芝居をしつつ、敵の最も得意とする戦術で追い払うと言うのである。


 これには大友家の家臣達も口々に、流石はあの天才軍師竹中・半那たど、褒め称えて居たのであった。

 


 一方の城下町の島津・衣恵与は、島津家内の将兵に最も人気を誇って居り、みんなの妹とも言われて居る四女で、元気っ子タイプの女の子である。


 そんな彼女は武勇と統率力に長けた能力を有して居るが、島津家内では訳ありの親族として知られて居た。


 実は彼女だけが側室の子で、家内では昔から特別扱いをされて居た為に、疎外感を感じて過ごしてたが、その姉妹仲はとても良い。


 ツインテールの髪型とツルペタで小柄な体型が、一部の人達には大人気らしい。


 身内での通称は、衣恵ちゃん又は衣恵と呼ばれて居た。


 その衣恵与は、桃色を基調とした鎧武者姿で、多数の抱き杏葉の紋所の旗が、はためく大分城を睨んで居た。


「そろそろ頃合いだねっ!!」


「先の私達との戦いで負けて、三日も籠城して居る大友・奏麟達は疲労困憊の筈。今なら簡単に城を攻め落とせるっ!!」


「みんなーーーっ!!今から大分城に総攻撃だよおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」


「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」


 島津・衣恵与軍は、頃合いを見計らって大分城へと総攻撃を仕掛けた。


 衣恵与の旗下の軍勢達は、各々が受け持つ筈の攻め入る各所の城門へと殺到する。


 所が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「今だっ!!全連合国軍部隊っ!!一斉射撃を開始せよっ!!」


 竹中・半那の号令で、大友軍の火縄銃部隊とキリヤ公国連合国と織田軍の小銃歩兵隊による一斉射撃が開始される。


 一斉に城壁の鉄砲狭間から銃筒が、ぬうっと顔を露わにすると、敵将兵に向けて容赦の無い銃砲火を浴びせて行く。

 



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!


 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!


 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!


 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!


 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!


 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!


 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!


 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



「ええええぇぇぇぇーっ!!何でっ何でっ!!何でなのよっ!!」


「大友の奴らは、何で今頃に成って敵が待ち伏せなのっ!?」と突然の伏兵の登場にビックリする衣恵与。


「家久さまっ!!天守閣をっ!!」


「何っ?」


  島津・衣恵与は護衛の足軽が指さす方向へと目をやる。


 その天守閣には、足軽兵の手によって大友家の御旗とは別の旗が掲げられて居た。

 

「赤に丸の白地に鎌と鉄鎚と鳩と桐の花って・・・・・・・・・」


「キリヤ公国連合国の本国、キリヤ公国旗じゃないっ!!もう此処に来ていたのっ!!」


「うわわわわわっ!!これじゃ勝ってこ無いわよっ!!」


「家久さま、もしや大友軍は、我らを釣り上げる為に、わざと戸次川で負けたのでは・・・・・・・・・・」と重臣の一人が言うが、これは深読みし過ぎた勘違いであった。


「誰よ誰よっ!!こんな嫌らしい手口を使うのは、これじゃ利姉ぇと良い勝負だよっ!!」


 一つ上の姉と同じくらいに手口の嫌らしさに、舌を巻く衣恵与。


 其処へと更なる軍勢で追い打ち掛ける竹中・半那。


「今だよっ!!みんなっ!!それえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーっ!!」


 其処に攻め込んで来たのは、第九連合国軍たる伊達軍を率いる伊達・成美・実重が、突如として大分市の東側の林から指揮下の軍勢と共に現れて島津軍へと駆け迫る。


「竹に伊達雀の紋所?!伊達の紋所の旗印でもある奥州独立自治王国旗っ?!家久さまっ!!伊達軍ですっ!!伊達軍が現れましたっ!!」


 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!


 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!


 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!


「今度は何処?」


「西にはキリヤ公国旗です。八咫烏と洲浜の紋所。少年王の直臣軍の将である雑賀孫一と小田・冶氏から成る連合軍ですっ!!」


 キリヤ公国陸軍に所属する雑賀孫一と小田・冶氏の二人は、銃歩兵大隊と96式装輪装甲車及び16式機動戦闘車と共に居並び、機関銃と小銃を撃ち掛け来ていた。


「更に敵勢に増援っ!!指揮官旗印と思われる旗指物には・・・・・南部・最上・安東の物と思われ、国軍旗には・・・・・・・竹に雀の紋所の旗印っ!奥州独立自治王国旗ですっ!!」


「追加で現れたのは、南部直信・最上義康・安東季愛等から成る奥州独立自治王国軍ですっ!!」


「これ等は伊達軍の本隊と見られまするっ!!」


 南部・最上・安東らの指揮官旗印を靡かせた奥州独立自治王国軍は、北部・愛・親信・戸沢安盛・小野寺道義・六郷乗政・寒河江基隆・仁賀保氏・矢島氏・本堂氏等と言った各地方を治めている者らを指揮官とした、各州国軍も参戦して、西回りに軍を展開して迫って来て居た。


「更に増援っ!!フェリス侯爵独立自治領国軍とメイルシュルフラッド独立自治公国軍から成る騎兵軍が現れましたっ!!両軍併せて五千の軍勢ですっ!!」


「現れた総軍勢は、凡そ5万人と見られまするっ!!」


「更に海から巨大戦艦隊が出現っ!!織田木瓜の旗を掲げて居り、噂に聞くキリヤ公国連合国から織田へと譲渡された巨大戦艦だとの思われますっ!!」


「くううっっ!!こうなったら仕方がないっ!!此処はとっと逃げるよっ!!」


「ははっ!!撤退ーーーーっ!!撤退ーーーーっ!!」


「退けっ!!退けえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」


 島津・衣恵与とその旗下の島津軍の北九州地方東部方面侵攻部隊たる7万人は、撤兵を即断する。



「逃がすなっ!!」


「徹底的に叩けっ!!」


 ライチェル・フェリスが率いるフェリス侯爵独立自治領国軍とアルペジオ・ハインラインが率いるメイルシュルフラッド独立自治公国軍の連合騎兵軍は、西洋甲冑式騎兵軍を用いて、島津軍を容赦無い追撃を仕掛けた。


 大分城での戦いに措ける島津軍は、この様な形で、軍勢が瓦解をしてしまったのである。



「島津の小娘めは退いたか?」


「はっ!!」と九鬼隆嘉が側で島津・衣恵与とその旗下の島津軍の7万人が逃げて行く姿を和紗と共に双眼鏡を使って見て居た。


「我が艦隊も追撃を致しますか?」


「いや、これで島津姉妹は、もうお仕舞いなんて冗談が言えるが、殺すまでも無い。」


「奴らは、これで力の差を思い知っただろうよ。」


「この戦艦安土を使うのは、奴らめの本拠地たる薩摩国と鹿児嶋よ。」


「これより大分港へと入港する。キリヤ公国連合国軍の第二陣の上陸を急げっ!!」


「ははっ!!」


 アマテラス織田自治神皇国海軍とキリヤ公国連合国軍の東方海軍艦隊は、大分港へと入港する。


 その北側の陸路からは、増援の連合国軍が小倉城と豊前国州の港町経由で、続々と現れやって来て居たのだった。


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