第60話 少年王と島津家と竜珠王国 1

マギアンティア世界統一暦・1555年・10月20日・午前9時05分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・ローレライ大海洋海域・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・九州島地方・肥前国・龍造寺大名王家・佐賀盆地地方・佐賀市・佐賀城・佐賀城館にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 アイヌル・シャッコロ・北地の反乱と名付けられたアイヌルの大反乱は、鎮圧された様として居た直前の事である。


 アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・九州島地方では九州3国列強時代を迎えつつ有り、アマテラス神皇国第4次戦国時代の終焉にも近付きつつ有った。


 伊達・上杉・毛利と言った列強大名王達が挙ってキリヤ公国連合国の傘下に収まり、中央で居残って居る列強大名王家は織田家・徳川の連合派閥勢力。


 その傘下に長宗我部家・松永家・筒井家・山名家・河野家・三好家・十河家と四国・畿内の大名王家を順調に傘下に治めて居た


 関東甲信地方には武田家・北条家の連合勢力が、今だ健在だが、織田家を攻め切れて居ないのが現状であった。


 それに北条家の黒女狐とも言われる北条・九江・早雲は、北条家さえ残れば、中央政府政権が、どんな政権であろうとも構わないと考えて居る。



 だがしかし、姪っ子である武田・春夜・信玄を簡単に見捨て居るのは、世間体が悪いと言わざるを得ないので、武田家の旗色が悪く成るまでは後ろ盾を続ける積りで居た。



 さて、アマテラス神皇国の西に目を戻すと、豊後国の大分市を中心とした勢力である大友・須江・奏麟は、南部の薩摩国を中心とした勢力である島津・久実・義久と九州島地方での生き残りを掛けて激しく争って居た。



 最早、アマテラス神皇国の天下統一は織田家一択で決まって居る様な状況下で見られて居た。


 大友家側は、キリヤ公国連合国がアマテラスへの介入以前より織田家の傘下に収まる事を決めており、相良家・伊東家・阿蘇家らは島津家と戦の真っ最中では在るが、島津家から生き残る為にも、一刻も早いキリヤ公国連合国からの保護領と成る為に動いて居た。


 その為の方策として、織田家への臣従を決めた大友家の与力大名王家としての交渉を既に終えて居る。


 大友家と九州地方の小大名王家の領主らは、織田家がキリヤ公国連合国への加盟を決めたとの報せを受けて居るので、後は島津家の侵攻を止める事さえ出来れば、アマテラス神皇国第4次戦国時代の内乱から抜け出せる事に成る。


 しかしながら、事はそう上手くいかない状態が迫って居ると言う危険性を孕んで居るのだが、それはこれから語る物語でのお話なので、暫しお待ち頂きたい。


 残るは龍造寺家の事である。


 龍造寺家とは?


 九州島地方・肥後国の北東部に位置する国土を有し、佐賀城を本拠とする大名王家の事である。


 その龍造寺家の当主なのが龍造寺・信美・信隆である。


 その容姿とは?身長が180センチもの巨漢を持った大女で、その姿から周辺諸国では彼女の剛腕の武勇を皮肉った言い方をして、筑後の大熊女と言われて居る。


 そんな龍造寺・信美は、頑として大名王家としての独立維持を貫こうと少しでも国土を広げようと試みる。


 だがしかし、従姉妹で家臣の鍋島・尚美・茂直に、「そろそろアマテラスの天下も定まる。余計な事をせずに、アマテラス神皇国の天下が定まるまでは中立を」との進言を受けて、他国との戦を控えて居たが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「何だとっ!!有馬家が島津に寝返りをしただとっ!?」


 龍造寺家の居城たる佐賀城内に響き渡る大声。



 その人物は180センチもの背桁で、その姿は丸でクマの様な巨漢を持った大女である龍造寺・信美・隆信は、大声で怒鳴り散らす様にして叫ぶ。


 彼女は臣下から報せで知った、とある報せに怒って居たからだ。


 与力大名王家と成って居た島原半島と天久佐諸島地方の領主である有馬豊氏と言う大名王の男が、龍造寺家を裏切ったと言う情報を受けて激高する。


「信美っ!!落ち着けっ!!これは島津・利美・歳久の奸計だろう。」


「あの性悪ガキめの悪巧みに、何時も上手く乗せられるは、お前の悪い癖だぞっ!!」


「だがなっ!!」


 ここ数年、島津・利美が元服して戦場へと出て来る度に、相対した龍造寺・信美・信隆との大戦成績は悪く、信美の方が何時も負けて居たりする。


 その事を従姉妹である尚美は注意するが、毎回、あの冷血毒舌娘の挑発に乗せられてしまって居た。


 其処へ更なる情報が持たされた。


「申し上げますっ!!有馬家の居城である島原城に、島津軍が入城したとの事です。」


「むっ!!それは誠かっ!?」龍造寺家宰相である鍋島・尚美は、島津軍の余りの急展開に驚き、驚愕してしまった。


「信美、不味いぞっ!!これは、これは・・・・・・・」


 鍋島・尚美は動揺しながらも、その鋭い頭脳明晰な才覚で、島津・利美の戦略目的を悟った様だった。


「どう言う事だ?」


「島津の奴らめ、織田・和紗・信長殿が、北海島国州へと遠征に出て居る隙を狙って、この九州島地方全土を掠め取る気だ。」


「何だとっ!!」


「大友は武勇に優れた武将は、それなりに居る。」


「国力こそは高いが、大陸かぶれで、ここ数十年は大きな戦を経験して居ない。」


「対して我らは大友に劣るが、信美さえ討ち取れば、国がバラバラなると見て居るのだろう。」


「くそっ!!このアタイの事を舐めおって・・・・・・・・・・」


 確かに龍造寺家で一番に武勇で強く、龍造寺家の頭たる信美を討てば、九州島地方の北西部を制覇するのは簡単と成るだろう。


 更には、分捕った領地の地の利を活かせば、西と南から大友を挟み撃ち。


 これ程までに楽な戦は、無いと考えるのは必定と言えた。


 九州島地方を島津家で牛耳れば、四国島口からやって来る織田家ですら、討てると考えて居るのかも知れない。


「こうなったら戦だ。アタイ自ら出陣してっ!!島津奴らを蹴散らしてくれるっ!!文句は無いない尚美っ!!」


「分かったが、暴走はするなよ・・・・・」



 龍造寺家は、島津家と戦うべく、その軍勢を信美自らが率いて、島原半島へと向かった。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・10月22日・午前10時08分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・ローレライ大海洋海域・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・九州島地方・肥前国・島原半島地方・有馬大名王家・島原市・島原平原及び沖田畷海岸地域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



一方の島津軍は、肥後国の西に浮かぶ天久佐諸島の南東端である長島と言う島から北西へと前進して居た。


 有馬家の領土と相良家の領土を奪いつつ、今だ何所の勢力下でも無い龍造寺家の勢力圏へと迫って居た。



 島津家には天下を取れるほどの才在る四姉妹が在りと言われて居た。


 その四姉妹には当主にして、その美貌は西南国随一にして、誠の大将の器と謳われる長女の島津・久実・義久。


 武勇名高き鬼島津と言われし、島津・弘美・義広。


 その才智は天下に轟くと期待されて居る冷血なる毒舌家軍師、島津・利美・歳久。


 そして、島津家内の将兵に最も人気を誇るみんなの妹と言われている島津・衣恵与・家久。



 この四姉妹は九州島地方の覇権、上手く行けば天下を狙えるじゃんっ!!的な感じで、近隣諸国を併吞して居た。


「良い二人とも、大友家の本領と毛利家飛び地には、絶対に手を出さな様にね。」


「分かってるわよ。」


「うんうん、キリヤ公国連合国の近い関係者を持って居る大名王家を攻めたりしたら、一発で討伐対象だって言うんでしょ。」


「そうよ、あの第六天魔王・織田・和紗・信長が九州島地方へと乗り込んでくる前に、我が島津家が、この地を牛耳れば、アマテラスの天下への大手は分からなくなる。」


「それにこの度のキリヤ公国連合国のアマテラス北方征伐で、織田家は完全にキリヤ公国連合国の同盟国に成った可能性は高いとの噂も有る。」


「そうなると、我が島津家が勢力圏を拡大する為には、邪魔な龍造寺家と大友家の二強を討ち倒すしか無く成る。」


「キリヤ公国連合国の介入が始まる前にね。」


 島津家の軍師である島津・利美は、姉である島津・弘美と妹である島津・衣恵与の二人に、今回の島津家の軍事行動に付いての説明して居る。


 島津家としては、簡単に強者に尻尾を振る行為は、武士の風上に置けない行為であるとして居る。


 強者に対して独立維持をするにしても、従うにしても、何れかの選択肢を選んでも、自家が有利に成る様にしなくては成らなかった。



 其処で先に攻め易い大友と競って居たが、大友家の二強看板である立花・雪花・道雪と高橋・紹子・運紹。


 それに加え立花・雪花の妹であり、近頃は剛勇鎮西一と言われる立花・薫・宗茂等の猛者達が、島津家の北侵を防いで居た。


 戦は一進一退で、織田軍の援兵も入りつつあるとの情報も得て居た彼女達は、攻め易くも国土が広い侵攻作戦目標である大友家から一旦手を退いた。


 その代わりに攻め難くとも頭が討ち取り易い龍造寺家へと変更し、大将首である龍造寺・信美・信隆を討てば、一発で瓦解すると見られて居る龍造寺家の攻略に乗り出して居た。


 何せ、龍造寺家は織田家・毛利家・そしてキリヤ公国連合国から見れば。未だに中立国である。


 その龍造寺家は何で何もしなくなったのかと言うと、攻め入る土地が無くった事と、今更ながら天下取りをしても意味が無いと龍造寺家宰相であり、軍師でも在る鍋島・尚美が見て居たからである。


 しかしながら、強者にさっさと媚び諂うのも武士のメンツに関わるとの矜持も有って、織田家の中央政権樹立が定まるまでは、自分達に従う者達の面倒を見るだけに精一杯な状態であったのである。


「久しぶりに強敵と戦えるっ!!待ってなさい龍造寺家四天王っ!!」


「ねえ、利姉ちゃん。前から思ってたんだけど、龍造寺家四天王って、成松・江里口・百武・円城寺・木下って居るけど、どう見ても聞いて、絶対に四天王じゃないよね?」


「それは分かってても、知ってても、言わないのがお約束。と言うか、その手の頭数の事にツッコミを入れたら、負けなの。」


「だから言わない。」



 龍造寺家四天王、五人居るのに四天王。


 それは何所の世界でも在るような謎のお約束であった。


 島津家の苛烈なる侵攻は、まだ始まったばかりである。



 龍造寺軍2万5千人と島津軍の1万5千人もの軍勢との衝突は、島原半島の東に位置して居る島原平原で衝突する。


 

 後の世に言う、冲田畷の戦いである。



 島原半島の東岸地帯に陣取った島津軍は、奇妙な行動に出た。


 その行動とは、西の普賢岳の麓に在る眉山から、東の冲田畷と言われる海岸まで馬防柵と堀で巡らせた陣地を東西四キロに渡って築いて構えたのである。


 其処へ4千丁もの鉄砲隊と300門もの大砲隊を配置させ、数で勝る龍造寺軍を迎え討とう言うものであった。



 島津軍の軍師である島津・利美は、次代の戦は鉄砲による戦いだと言う事を逸早く見抜いて居た。


 織田家・キリヤ公国等の台頭で、それが証明された事で、自身の持論の裏付けがされて居た事に、その自信を確実な物としていた。


 数年前から進めていた鉄砲・大砲の軍隊化計画は、姉の島津・久実の九州島地方制覇計画も重なって現実の物と成り、本格的な運用が始まり出して居た。

 

 利美は地球世界の幕末日本の薩摩藩よりも、凶悪な近代化軍をこの世界で築き上げつつあった。


「何だこの陣は?」


「西から延々と柵と堀が続いて居る。」



 龍造寺・信美と鍋島・尚美の二人は、このアマテラス列島内で戦を続けて居る織田家以外では、まだ、やって居ない近代戦術の一旦である銃歩兵野戦陣地を目の当たりにして驚く。



 その野戦陣地内の要所と思わしき所には、砦が築かれて居た。


「不味いぞ信美。これは噂に聞く大陸戦術の銃歩兵式・野戦陣地だ。」


「銃歩兵式・野戦陣地?」


「要するに種谷島を交代連射させたり、新式連射種谷島を撃つためだけに編み出された新戦術だ。」


「・・・・と成ると、どうなるんだ?」


「不味いぞこれはっ!!詰んだのこっちだ。」


「何だって!?」


「こちらの種谷島は1500丁。向こうはその倍の数が在ると見るべきだ。」


「恐らく島津家の軍師、島津・利美・歳久は、近年起きて居る大陸の公帝戦争や織田・徳川連合と武田・北条連合の戦いである三度ヶ原の戦いを参考して居るに違いない。」


「何れのどの戦いも、激しい銃撃戦と共に、大砲が数多使われたと聞く。」


「しかし、だからと言って、此処で引き下がる様な真似は、出来ない無いぞ。」


「だから詰んだと、さっき言ったのだっ!」


「島津は本気で、この九州島地方を我が物とする気で居るのだろう。」


「有馬の奴が裏切ったのも、それが理由か・・・・・・・・・・」


「此処は撤退するべきだっ!奴らの掌で踊ってやる必要は無いっ!負けは目に見えて居るっ!」


「尚美っ!!それはダメだっ!!アタイの事を頼りにして居る連中にも、従って居る奴らにも示しが付かないっ!」


「死人が大量に出てしまうぞっ!」


「それでも・・・退けない。退けば龍造寺家が終る。終わってしまうんだっ!くそっ!!」


 与力大名王家である有馬家が島津家へと寝返りをした理由が、この地に来てようやく合点が言った信美。


 実はこれには裏話が有った。


 この戦い1月半前、島津・利美は一計を案じて、有馬家の当主に龍造寺家を打ち倒す事を持ち掛け、その有馬家の後継ぎを人質として差し出す形で同盟国と成る事に成功して居た。


 まんまと有馬家との交渉に成功した利美は、有馬家と共に龍造寺家へと攻めて来て居たのである。


 そして、両軍が相対してから30分が経過すると、面子を潰された龍造寺軍側は、負け戦が確定して居るのにも関わらず、島津軍陣地へと攻撃を仕掛けていた。


 それは面子の為である。


 面子を丸潰れにされた龍造寺家は、戦わずして撤退する事は、御家の・・・国人衆と従属大名王家から見放される事にも成り兼ねず、組織が瓦解する事にも成り兼ねないからだった。


「放てええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」


 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!


 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!


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 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!


 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!


「「「「ぐああああぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」」」」と次々と討ち取られて行く龍造寺兵達。


ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!


ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!


ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!


ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!


ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!


ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!


ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!


ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!


 ヒユユユユュュュュュュュュュュュュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーー・・・・・・・・・


ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!


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ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!


ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!


「「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」


「「「「「ひいいいぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」


「くそっ!!此処までかっ!!」と、龍造寺・信美は悔しがる。


「なんて種谷島の数なの?4千丁以上は在ると見るべきね。」と鍋島・尚美は、敵の数から鉄砲が多く配備されて居る事には、気が付いて居たようだが、まさか4千丁も仕入て居るとは想定外であった。


「くそっ!!何だって、あんなにも種谷島の数が多い?」


「分からないわ。それに連射出来る筈の無い種谷島を工夫して、何発も連射して来て居る。これは織田家で用いられて居る戦術を参考にして居るのだろう。」


「それならば、島津家は相当数の鉄砲を保有して居ると見るべきよ。」


「くうっ、あんなものが無ければ、俺様の力を存分に見せつけてやれるにっ!!」


「・・・・・・・(もう、そんな時代は終わりつつあるのね。)」


(あのキリヤ公国連合国のせいで・・・・・・・・・・・・)



 龍造寺・信美と鍋島・尚美の龍造寺家のコンビは、早々に軍勢を引き上げた。


 しかしながら、島津軍の追撃と奇襲攻撃は激しく。


 鍋島勢は本拠地である佐賀城へと上手く引き上げかられたが、龍造寺・信美の軍勢は、島津・利美の奸計で、龍造寺家・第二の居城として居る唐津城へと押し込まれてしまう。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・10月29日・午前10時25分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・ローレライ大海洋海域・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・九州島地方・肥前国・龍造寺大名王家・唐津平野地方・唐津市・唐津城・唐津城天守閣及び北門唐門櫓にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 そして、龍造寺・信美が率いる龍造寺軍は、海辺に近く建てられた唐津城へと追い込まれ、唐津城での攻防戦へと至ってしまう。


 追い込まれた信美は、自領地で二番目に大きい唐津城に立て籠もり、北城門で奮戦して居たが、一発の砲弾が北門唐門櫓へと降って来た。


「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーっ!!」と信美の居た北門唐門櫓、島津軍の大砲に由って吹き飛ばされてしまった。


「龍造寺・信隆さまがやられたっ!!」


「もう、敵わねぇだっ!!」


「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーっ!!」


 唐津城内からは、続々と下級武士と足軽兵達らが、逃散してしまう龍造寺軍。


「それえええぇぇぇぇーーっ!!一気に龍造寺家を打ち倒せえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーー!!」島津四姉妹の次女である島津・弘美・義広が叫んだ。



 この日を境に龍造寺家は没落して行く事に成るが、少弐家・秋月家・菊池家・大村家・松浦家等の龍造寺家与力大名王家の面々は、面倒見が良かった姉御肌の信美に大恩が在るとして、従姉妹の鍋島・尚美を中心に頑強に抵抗を続けて行く事に成る。


 負け戦と知りながら最後の最後まで島津家と戦い抜いた信美の事を心底、惚れ直させる事に成ったのが、裏切りを防いだ最大の要因と成ったのは皮肉な事となってしまう。


そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ううっ、ううう・・・・・・・・・・」


「如何したのこの人?」と勇治は新トウキョウへと向かう途中で、アマテラス列島の九州島地方沖を通り掛かって居た際に、その彼が乗って居た客船が大やけど追って居た大柄の女性を拾ったとの報せを聞いて、駆け付けて居た。


 その女性は大きな木の板に乗って居た為に、漂流する事で如何にか助かったらしいとの事であった。


「分かりません。ですが海上で木の板に乗って、漂流して居たのを見付けたので、拾い上げました。」と船員が説明する。


「見た目やこの辺りに漂流してた事からして、恐らくはアマテラス人で、武系の一族では無いかと思われます。」


「ふぅん。取り敢えずさ、折角生き残ったんだから、手当はしっかりして上げて、此処でダメならどんな手を使ってでも良いから助けて上げてよ。」


「治療費なら、どんなに掛かっても構わないし、お金なら僕が出すからさ。」


「承知いたしました。万が一の場合はキリヤ公国本土の大病院か、新トウキョウの大病院に移送させます。」と、勇治に言われた船医は、怪我の手当てをして行った。


 こうして、偶然にも勇治に拾われた龍造寺・信美は、後にこの時に、命を助けられた事を感謝して、勇治を生涯ただ一人の主君と認め、彼の直臣の家臣と成り、キリヤ公国の武士団として活躍する事に成る。

 

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