第59話 少年王と魔王織田・和紗・信長との対峙とシャッコロ族・トゥクル・コシャンの父への想いっ! 8
マギアンティア世界統一暦・1555年・10月28日・午前9時23分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国家・奥州独立自治王国・北アマテラス北方三方列島地方内・北海島国州・海中央地方・シャッコロ平原・アイヌル民族集落・シャッコロ集落村にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
勇治を始めとするキリヤ公国連合国反乱軍鎮圧派遣軍と、その軍幹部達がシャッコロ平原のシャッコロ集落村に集まり、戦後処理に当たって居た。
アマテラス北方三方列島地方である唐太島国州・万年島列島地方国州・北海島国州と、それに属する島諸島地域には、キリヤ公国連合国軍の連合駐留軍基地と行政官舎がゴットタブレットにより建物が立てれらる。
今後はキリヤ公国連合国式の統治が行われて行く事に成った。
アイヌル民族解放血盟団による反乱内戦勃発により、アイヌル民族側が被った被害は、戦死者と戦災死者を併せて15万人以上にも上る。
これは100年前の争乱であるコシュマイン乱を優に超える犠牲者を出して居る。
それも今回の主な犠牲者は、アイヌル民族側の一方的な被害を被って居た。
戦後処理の一環でキリヤ公国連合国中央政府は、戦後復興保証はするが、謝罪はしないと言う立場を示して居る。
被災者であり反乱首謀勢力側でもあるアイヌル民族達は、キリヤ公国連合国中央政府に対して、あらゆる謝罪交渉を一切しないとして居た。
アイヌル民族側が交渉をしないのは、キリヤ公国連合国側が施す戦後復興保証が莫大な額と物量で在るからだった。
提示されて居る保証が莫大な物であるから、不満を漏らす理由も無く。
身内の暴走を止められなかった自責の念から、戦後復興保証に関して必要以上に争う必要も無いのであった。
アイヌル族長連合会の族長達は、シャッコロ集落村の主の居ない族長館で、自分達の宗主国王と成った勇治を出迎えた。
「この度は身内の不始末に、お手を煩わせて誠に申し訳ございません。キリーヤーズ公王陛下。」
アイヌル族長連合会の最長老であるオキナ・カムリは、誰よりも先に進んで勇治の前へと進み出て首を垂れて見せた。
「僕こそ、この度の争乱でたくさんの人達を死なせてしまい申し訳ありません。」
「いえいえ。元はと言えば、我々の不出来な習慣が招いた事。」
「これからは伝統を大事にしながらも。新しい事を積極的に取り入れて参る所存で御座いまする。」
「では、僕からの最初の提案です。」
「唐太島国州・万年島列島地方国州・北海島国州を治めて行くに当たり、中心的な土地にアイヌル民族と北方三方列島地方の伝統的な地名を公式名としたいのですが。」
「おおっ!!それは嬉しい限りですっ!!」
「新たな統治者たる陛下が自らが、そう仰って居られたと言う事は、各部族同胞達も好意的に受けて貰えましょう。」
勇治は故郷である日本の北海道の名付け親である松浦武四郎の前例に倣って、北方三方列島地方の各地域の公式地域名を、アイヌル民族の独特の発音に倣った形の地名を付ける事を政策の手始めとした。
何故、単なる名前決めが大事なのかと言うと、部族に古くから伝わる言葉や名が公式に残ると言う事は、相手を尊重して居ると喧伝が出きるからである。
これは何所の世界・国でも用いられる同化政策で、日本でも沖縄と北海道でも取られた明治期の政策でもある。
まぁ、何でも最初は形からと言う訳だ。
これによりアイヌル民族はキリヤ公国連合国の一つであり、各国とどの民族であろうとも同じような扱いを受けられるとの意味も含まれて居る。
「さて、反乱軍の首謀者達は、厳正なる裁判に由るキリヤ公国連合国法の刑罰法規に則って裁かれます。」
「「これよりキリヤ公国本国へと連行する。」」と第六近衛近習衆軍の軍団長である細川・藤夜・悠斎と、メイルシュルフラッド独立自治公国軍の総騎士団長アルペジオ・ハインラインの二人は部下達に言った。
この二人に率いられて居る武士と騎士達に由ってアイヌル民族解放血盟団の残党達である3千名が、シャッコロ鉄道と名付けられた路線のディーゼル機関車で、館箱市港へと連行されて行く。
其処から輸送船によってキリヤ公国本国のキリヤ列島地方へと連行される。
その最終的な行き先はエゾ島地方・エゾ島地方自治州区のアバシリ監獄である。
シャッコロ集落村は、後にシャッコロ市と改められ、旧村落地域はキリヤ公国指定・アイヌル民族文化保存地域とされる。
新市街と成るシャッコロ平原にゴットタブレットの力により建てられた駅舎のホームには、ディーゼル機関車が横付けされ停車して居た。
そのディーゼル機関車に乗せられたアイヌル民族解放血盟団の残党達は、シャッコロ集落村から、次々と施錠された状態で歩きながら駅舎へと向かい、其処から列車に乗せられて行った。
「父様っ!!」
「トゥクルっ!!近寄っちゃいかんっ!!」とシャッコロ集落村の同胞達は、必死に取り押さえて、キリヤ公国連合国軍の警備兵から見られない様にして居た。
トゥクルはあの戦闘の最中に栗林武美大佐に助けられ、応急手当を受けた後に、シャッコロ集落村へと後送されて居た。
怪我の具合は、打撲傷程度で済んだらしく。
直ぐにフェリス侯爵独立自治領国軍の治癒魔法官のヒール魔法を受けて怪我を直して終えて居た。
気が付いたら戦争は終わって居て、父親達が捕らえられたと聞き付けた。
助けたいとも思ったが、その時には既に遅く、収監地への輸送が決まった後であった。
「トゥクルっ!!折角、勇治陛下が穏便に済ませてくれて居るのだから、これ以上の騒ぎは全ての同胞達の迷惑に成る。」
「シャマラン殿は、命懸けで、この乱を鎮めたのだっ!!あの方の心意気を決して無にするなっ!!」
「だからって酷いっ!!あんまりよっ!!うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーんんっ!!」
トゥクルは同胞達の犠牲となった父を只々陰から見送るしか無く、悲しみに暮れるしか無かった。
アイヌル民族達は、シャッコロ族の族長シャマラン・コシャンは、名目上のアイヌル民族解放血盟団の団長と成った為に、最終的に刑罰で処刑されると口々に噂した。
トゥクルは絶望に暮れてしまい。
シャッコロ集落村から、シャマランのやり方に同意した形で反乱軍に参加した父親を持った15名の幼馴染みの友達共に出て行った。
マギアンティア世界統一暦・1555年・10月29日・午前9時30分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国家・奥州独立自治王国・北アマテラス北方三方列島地方内・北海島国州・海南地方・館箱市・館箱港にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして・・・・・・・・・・・・・館箱市・館箱港で新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区へと戻る船に乗り込む為に、勇治が現れた時の事である。
「桐谷勇治っ!!その身柄っ!貰ったあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」
「えっ!?」
「賊だと!?」
「近衛衆警備隊っ!!陛下をお守りしろっ!!」
勇治直属の近習護衛官である上泉・伊澄と柳生・冬香が叫ぶ。
「ちいっ、アイヌル民族解放血盟団の残党か?」と細川・藤夜がアイヌル民族が使用する独特な鉈の様な剣。
アマテラス皇国から流れて来た刀に短弓式の弓矢。
それと種谷島式火縄銃に銃剣を付けられように改造された武装を用いて居るのを見て、襲って来たのが何所の誰かを言い当てたらしい。
「藤夜さんっ!!伊澄っ!!冬香っ!!絶対に殺すなっ!!」
「しかしっ!!」
「これ以上殺せばっ!!アイヌルの人達は僕らを許せなくなるっ!!」
「だから軽傷以上の手傷は負わせるなっ!!」
「承知っ!!」と冬香は、逸早く刀を逆刃に持ち替えて相手を気絶させて行く。
勇治の周りは防弾盾を用いた近衛衆で固められ、アイヌル民族解放血盟団の残党と思わしき集団は次第に数を減らしながら勇治へと肉薄して行った。
「トゥクルっ!!」
「今だっ!!」
「しまったっ!!」と、伊澄は乱戦の隙を突かれてしまったと悟る。
勇治は護身用の刀を抜いて構えた。
「やれやれ、俺の夫殿に手を出すとは良い度胸だ」
「和紗姉ぇっ!?」
「帰り際の見送りに来てみれば、トンだ乱闘騒ぎっ!しかも俺の男を殺しに掛かるかぁ?」
「あん?てめぇは、死ぬ覚悟は出来てんだろうな?」
「ぐううっ・・・・・・・」
「あれは?」
「この派手な出で立ちの服装と人相の悪そうな年増はっ!!噂の第六天魔王・織田・和紗・信長っ!!くっ!!こんな所で・・・・・・・」
トゥクルの友人達は最後の最後で、邪魔が入った事に地団駄を踏んで居た。
織田家の護衛兵は勇治を守ろうとトゥクル達を取り囲んだ。
最後は明智・十華と丹羽・米実の二人に取り押さえられてしまう。
「報告しますっ!!賊徒側は死者無し、軽傷は20名です。その他は無傷、又はかすり傷程度で、捕縛しましたっ!」
「ご苦労様。」と勇治は、上泉・伊澄と柳生・冬香の二人を労った。
「それと、和紗姉ぇ。そろそろ刀を収めてよぉ・・・・・・」
「くっくっくっ、勇治っ!!貴様がどう言おうと、お前を殺そうとした輩をこのままにすると言うのは、俺の気が済まんのだっ!!」
勇治を殺そうとした敵に対して、容赦の無い悪相染みた鬼の形相と成った和紗。
「いい加減にしないと、和紗姉ぇとの婚約の話は・・・・・・」
それに対して勇治は、和紗に取って一番の弱みを突いて見せた。
「うん、分かった。」とあっさりと刀をしまった。
この人は・・・・・・・多分、男でポンコツに成るタイプのヤンデレさんなんだろうな。
勇治に一睨みされただけの彼女が簡単に引き下がるのは、よっぽど勇治と結婚したいんだろうな。
まぁ、立場が立場たがら、正妃の身分は和紗自ら辞するだろうし、キリヤ公国連合国中央政府とキリヤ公国宰相内閣府も、和紗の身分と織田家の国力からして正妃の身分を認める事は、出来ないと思われる。
まぁ、将軍王と言う立場に成ると思われるから上から2番目の王室妃身分の側姫妃とするのが妥当な所だろう。
側姫妃とは、正室より一ランク下の王侯貴族を含めた地位より嫁いだ場合の地位で、側室妃だと外交的に身分が・・・・とか、正妃だと地位か高すぎると見られる場合に付けられる奥室地位の事だ。
他所の王室で言えば、身分の高い子作りの相手と言った感じだろう。
「先ずは話を聞こうか・・・・・・」
勇治は首謀者と思われる10代前半の女の子に近付いた。
「私はトゥクルだっ!!トゥクル・コシャンだっ!!」
「トゥクル・コシャン?はて、何所かで聞いたような苗字だった様な・・・・・・」
「勇治っ!!呆けるのも早いぞっ!!」
「大方そやつは、シャッコロ族の族長シャマラン・コシャンの娘なのだろう。」とトゥクルの名を聞いた和紗は、粗方の察しが付いたらしく、勇治にその事を指摘する。
「ああ、それでか。」
「それで・・・・何でまた僕を襲ったの?まぁ、察しが付くけどね。」
「父様が処刑されると聞いて、収監される前に奪還して反乱の詳細を世間に・・・・・・・・・」
「ああ、その事ね。それなら僕も知って居よ。」
「えっ?!」
「これでも僕は、仮にもキリヤ公国連合国の宗主国王だよ。最低限のに必要な情報は知らされて居るし、必要な裁決もして居る。」
「君のお父さんのシャマラン・コシャンの事も聞いて居る。」
「まぁ、あの人なら処刑される事は無いよ。」
「本当?」
「本当だよ。だけど、反乱に加担した部分も有るからね。」
「そのけじめを付ける意味も在るから、暫くは監獄に収監されて刑期を終えるまでは外には出られないと思うけど・・・・・・・・・・」
「そうな・・のね。」とトゥクルは地べたへとへたり込んだ。
「陛下、この者達の処分は?」と藤夜に言われて見渡すと、襲って来たのはどれも女性ばかりだった。
「藤夜さん。できればあの子達は、監獄への収監無しの軽い刑でお願い。」
「承知しました。」と藤夜は軽く目を失せながら答えた。
「桐谷勇治・・・済まなかった。ありがとう。」
トゥクルははそう告げると、仲間達と共に連行されて行った。
後の取り調べで分かった事は、勇治を襲った一団はアイヌル民族解放血盟団の生き残りの親族や遺族関係者だったらしく。
捕らえられた者達の奪還と言うよりは、反乱での事の真相を広く公表する事であり、勇治を人質にして刑罰の減刑を狙った襲撃で有る事が分かった。
キリヤ公国連合国国防大臣の足柄・一輝とキリヤ公国連合国宰相のリィーゼ・メイルシュルフラッドの二人は、襲ったアイヌル民族の女性達を減刑処分とする事にした。
その為にキリヤ城内の宮中公王居公邸の女性従者として召し抱え、20年間の間、キリヤ公国に奉仕して仕える事を釈放の条件とした。
この条件としたのは、襲ったアイヌル民族の女性達の武術の技量の高さからのスカウトであった。
後にトゥクル・コシャンは最低位の王室妃身分である伽役妃としてキリヤ公国の公王室入りを果たす事に成る。
そして、マギアンティア世界の歴史上でも 王の命を狙う様な真似をした人物が王室入りをすると言う前代未聞の出来事として、後の世界史の歴史書に小さく刻まれる事に成ったのだった。
更はアイヌル民族は、王室入りを果たしたトゥクルを民族の誇りとして、二度とこのような凄惨な内乱が起こさないと誓い、桐谷勇治公王は同胞であり、アイヌル民族の偉大なる宗主国王で在るとしたのだった。
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