第8話 女性
もう僕は、何もする気が起きない。
何もする気が起きないけど、目の前の人の動きは真似し続けられる。
当然だ、ロボットだもの。
全くやる気が出ないまま、数日が過ぎた。
この日、女性がおじさんと話しをしている。
この女性は、あの女の子のお母さんと思われる人だ。
おじさんと話しをしながら、チラッチラッと僕を見ている。
うっすらと目に涙が浮かんでいるようだ。
僕が女の子に告白したことに、抗議しに来たのだろう。
女の子はあんなに怯えていたんだ。当たり前だ。
しばらくすると、女性はツカツカと僕に向かって歩いてきた。
目の前まで来ると、ガシッと僕の両肩を鷲掴みにする。
女性は目を赤くして、僕を見つめた。
「あなた! しっかりしてよ!」
……あ!
僕はこの女性を知っている。
そうだ、この女性は……僕の……妻だ。
僕は直ぐにおじさんを見る。
おじさんは…………おじさんだ。
全く記憶にない。おじさんは単におじさんだった。
――!?
僕は女の子も知っている。
僕の妻は、あの女の子のお母さんのようだった。
それはそうだ、お母さんなのだから。
あの女の子は、女性の子供なんだ。
女性は僕の妻なんだ。
つまり……あの女の子は……僕の……
僕は意識を失った。
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