第6話 ロボット

 僕は三戦全勝している。

 僕はきっと強いんだ。


 女性は強い男が好きだという。

 そう、強い僕は女性に好かれるということだ。


 僕は調子に乗っていた。


 今日もあの女の子は来ている。

 もう抑えきれない。


 この日、僕は女の子に好きだと伝えた。


 すると、女の子の顔は曇り、うつむいた。

 うつむいたまま、女の子は衝撃の事実を僕に伝えた。


 僕は……人間ではなかった。


 薄々感じてはいた。


 例えば、おじさんと僕の手が違うことを。

 例えば、戦ったトカゲと僕の足が違うことを。

 例えば、女の子の声と僕の声が違うことを。


 僕はどちらかと言えば、最初の試合で戦ったロボットに近い――いや、あのロボットそのものだ。


 そうだ、僕はロボットだ。

 でも僕は、この女の子のことが好きなんだ。どうしても好きなんだ。


 僕は女の子に伝えた。どうしても好きだということを。

 ロボットであっても好きだということを。


 すると、女の子はガタガタと震え出し、去っていった。

 呆然とするしかなかった。


 やっぱり無理だよね。ロボットと人の恋なんて。

 僕は力なく、うなだれるしかなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る