第六章『変心』

――おはよう


この一言とスズメの囀りから

今日の夏が始まった


朝食は軽く

おにぎり一つにお味噌汁

お腹いっぱいで歩きたくないからだ


タピオカの柄が付いた白シャツに

紺色の短パンを着飾って

リュックを背負う


なんだろうこの気持ちは

久しぶりだ

外に出るのが


祖母から貰った健康祈願のお守り

リュックのポケットにずっと入っている

幼き日から

何十年と離さぬように


晴天の下を歩き

待ち合わせ場所のバス停を目指す

周りは田んぼ 草っ原は揺れてゆく


ご近所さんの方から

風鈴の音が響き渡る

涼風のせいだろう


自然に浸りながら歩いていると

待ち合わせ場所のバス停が見えて

皆がボクに気づいたようだ

手を振り返す


ボク:みなさんおはようございます


月雫:どうしたの〜?(笑) 改まって!


ボク:なんか久しぶりな感じだからかな


拓海:俺とは二日ぶりだけどな(笑)


月雫:まぁみんな集まった事ですし?楽しも!


拓海:そうだな!蒼はゆっくりでいいからな


ボクらはバスが来るのを待っている中

昔話で盛り上がっていた


幼馴染みの月雫は

小学生の頃

可愛がって育ててたアサガオが

枯れてしまったとき大泣きをした

ちょっと可哀想だけど可愛い一面がある


友達の拓海は

とにかく面倒見のいい四兄弟の長男

ボクが貝塚にいじめられてると発覚した際

すぐ先生に報告して助けてくれた

ただただ良い奴だ


話し合ってる内にバスが来たようだ

ドアが開き海へ向かう


今の時刻はAM:11時15分

着くのは12時5分

やや一時間ぐらいだ


みんなまだ眠かったらしい

隣で寝ている

ボクも寝ようとしよう着くまで


――○○町〜着きましたよ


アナウンスが響き渡り

ボクらは目を覚ます

バスを降り喉が乾いていた為


海辺の近くにある駄菓子屋で

ラムネを買うことにした


拓海はお腹を空かしてるのか

アイスを買っている

ボクも食べたくなった

買おう


この爽快感が良い

夏を感じさせてくれる


二人も美味しそうに飲んでいる

アイスを食べ終えラムネも飲み終わった


幸せそうな顔で

ボクらは海に足を踏み入れる


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈第六章『変心』end

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