第五章『暁』

――階段の下から祖母の声が聞こえた


今晩の夕食はたらこパスタだった

ボクの大好物

なんだかご機嫌がいいのか完食した


食べ終わったら食器を片付け

スマホをいじり色んな音楽を聞く

この瞬間がとてつもなく好き


ピコンっ(謎の通知音)


月雫のTikTokが更新された

気になり見にいく

またもやコスプレの動画だった


(可愛いなぁ...)


気がつけばハートを押している

ボクは月雫が好きだ


明日の事を思い楽しみだが

未だに後悔があり半々

拓海に嘘をついてしまったのだから


(明日は早い...もう寝よ)


準備は整っている

リュックの中にはモバイルバッテリー

お財布 海パン 予備の服 日焼け止めクリーム

普通だ


夜は静かだ

余計に心が押し潰される

フラッシュバックしそうだ


そんなこと思っているうちに

寝息を立て眠りについていた


〜数時間後〜


――挫折するんだから夢を持つな


(うっ...)


――障害者のくせに


(な、なんだ。吐きそうだ...気持ち悪い...)


胃に入っていた物が全てゴミ箱へと誘われた

ボクは壊れている


よく見ると

血痰が出ている

きっとストレスが原因なんだろう


ボクが産まれていなければ

ボクが生きていなければ

周りに迷惑かけず 自分まで苦しめなかった


(はぁ..はぁ...死にたい...)


だけど死ねやしない

拓海 月雫が待っているんだ


窓を見ると夜明けだ

AM:6時18分

起きる予定の時間より3時間早い


体がだるい

でも今日は皆が楽しみにしている


ボクはどうでもいい

瞳をゆっくり閉じて二度寝する


最高の明日に誘われていく...

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