第三章『乗車』
家に帰ってきた
――ただいま
ボクは寝るフリして部屋に閉じ籠った
カッターを片手に...
もう良い顔なんて出来やしない
リスカをして
憂さを晴らすか 存在を証すか
死にたくなってしまった
(死ねたらいいな...)
ボクの部屋の隣にはバルコニーがある
そこから飛び降りたっていい
人生の終電を迎えるように
(飛び降りれば直ぐに死ねる...そうしよう)
日差しがキツく
ウッドパネルが暑く歩きづらい
だけど生きていたくもない
「夢を持つな」と言うならば
死ぬ事の希望を持つよ
キミの言うとおりに神さまの言うとおりに
指示に従うしか出来ないよ
カッターで腕を切って
その痛みをすぐ終わらせてしまおう
冷や汗かきながら足元を見つつ
ボクはビクビクとしている
今回こそ死ぬ
そう思ってないとまた死ねなくなる
ボクは貝塚のいる世界が嫌いだ
生きてたくもない だから 死にたくもない
ボクは優柔不断
泣いても解決する訳もないが
どうしても自然と涙が出てきてしまう
本当は死にたくないのだろうと自己解決
今日またボクは挫折をした
理由はくだらないんだ
死ぬ勇気など無かったのだから
涙を拭いて部屋に戻る
エアコンのスイッチを押し
クーラーにあたった
近くにあった漫画を一冊読み始めた
疲れたのか気付かぬうちに寝てしまい
外はもう夜
階段の下から
祖母の声が聞こえてくる
「晩ご飯だよ〜冷めないうちに食べなさ〜い」
ボクはご飯を食べながら後悔していた
死ねなかった事と友達に嘘をついた事
もうボクは死ぬ事をやめる
どうせ出来やしないから
そんな中、祖母から
「蒼、今日なんかあった?傷が...」
ボクは包帯を付け忘れていた
慌ててこう口走った
「いや〜ちょっと帰ってくる時、猫が捨てられてて触ったら爪で...(苦笑)」
祖母は心配そうな顔をして
ボクの顔を見ていた
明日になるのが怖くなっていく
部活に行きたくないんだ
貝塚に会いたくない
ボクは祖母に
「ねぇ明日ちょっと部活休みたいんだけど」
と聞いてみた
そしたら祖母は
「いいわよ。明日の朝、顧問の方に連絡しとくわ」
そして夜更かしする事にした
ごめんなさい...
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈第三章『乗車』end
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