俺は今日から冒険者になります!

「ハァ、、、、」




俺は大きなため息をついた。




(異世界転生したのはいいものの、金は無いし、金が無いと冒険者登録できないし、どうすればいいんだよ。詰みゲーじゃんか。)




近づいてくる足音がしたので、ふと顔をあげるとそこにはおそらく


30~40歳くらいのガタイのいい冒険者が立っていた。




「あの、俺になんか用ですか?」




俺がそう聞くとオッサンは言った。




「兄ちゃん今1文無しかい?」




(いきなり何聞いてきてんだよ、新手のカツアゲか?)




俺は少し警戒しながら答えた。




「そうですけど、何か?」




オッサンはチラリと俺の横に置いてあったライフルを見て言った。




「兄ちゃん見た事ない武器持ってんな、神器かい?」




俺は答えた。




「雷殿の神に授かった武器です。」




オッサンは嬉しそうに笑うと話し出した。




「そうかそうか、ところで紹介がまだだったな。


俺はベルズ、シルバーランク冒険者だ!そんで俺の相棒の


片手剣のスーパーソードだ!あんたは?」




(武器名ダッサ、、まぁいいか)


「俺は岸川 威吹鬼です。さっき言った通り無一文で、この武器は、、


まだ名前は決めてません。」




俺がそう言うとベルズは俺の隣に座り腰に下げていた


袋を手に持ち俺との間に置いた。




「単刀直入だが、俺と取引をしないか?」




ベルズはニヤリと笑いながら言った。




「取引?」




「ああそうだ、この袋の中には金貨2枚に銀貨6枚、銅貨が12枚入ってある。


そこでだ、威吹鬼くん、この金を君にやろう。その代わりと言ったらなんだが、


俺はこれから少し用事があってな、代わりにクエストを受けてもらいたいんわ。」




取引内容は簡単なものだった。


用事があるベルズの代わりにベルズが受けたクエストである、


ドルト村でゴブリン退治をするというものだ。




(ゴブリン退治か、マジレジェではゴブリンは雑魚中の雑魚、


腕試しにもちょうどいいか。)




俺はベルズとの取引を受けることにした。




「わかった。その仕事、引き受けよう。」




俺が答えるとベルズは嬉しそうな顔をして礼を言って


前払いの報酬を払い地図と集合場所を伝えて去っていった。


俺は早速ドルト村に向かった。




(ドルト村は馬車で20分くらいか、確か馬車乗り場はっと、)




「すいませーん、ドルト村に行きたいんですけど、いくら位かかります?」


俺が聞くと御者の男が答えた。




「だいたい銀貨1枚くらいだね。」




(銀貨1枚か行き帰りで丁度くらいかな、)




俺は銀貨1枚を払い馬車に乗った。


俺は馬車に揺られながら現代では滅多に見る事のできない広い草原を


眺めていた。




ドルト村に着くと村長であろう老人が待っていた。




「あなたがゴブリン退治を受けてくれた冒険者様ですか?」




「はい、私がその冒険者です。」


(まだ冒険者では無いけど、、、)




俺がそう言うと老人は安心したような顔をしていた。




「この村の奥にある森にゴブリン達が住み着いたようなのです。


このままでは安心して狩りが出来ないのでどうか追い払ってもらいたいのです。」




俺は老人の説明を受け森に向かった。




(確かインベントリでスキルを確認できたはず、)




「インテレジェンスコマンド」




俺はインベントリを開きスキルを割り振ることにした。




(まずは基礎スキルの割り振りだな)




攻撃力アップや移動速度アップなどの身体強化を行うものは基礎スキルと言って


ほぼ必須スキルとなる。いざとなった時に逃げたりするためにヒールスキル


なども必須スキルと呼ばれる。




(移動速度アップはともかく、銃に攻撃力アップは効果あるのか?


というか結構見た事ないスキルが多いな。)




マジレジェにあったスキルに追加でオリジナルのスキルがあった。




(狙撃術はマジレジェにもあったが、弾丸強化ってなんだ?


攻撃力アップみたいなものなのか?それに、、面白そうなスキルだな、)




俺はある程度のスキルを割り振りクエストを開始した。




「強化コマンド、移動速度上昇。」


「まずは森の探索だな。」




俺は森の探索を開始した。


10分ほど探索してやっとゴブリンの巣窟を発見した。




(ここか、)


「アサシンコマンド、シャドウハイド」




俺はスキルで影と同化し身を隠した。




(確かこのスキルは攻撃を開始した瞬間に強制解除されるんだっけか?)




俺は少し離れた茂みに伏せてライフルを構えた。


巣窟の前には二匹のゴブリンが見張りをしていた。




(騒がれると面倒だな。)


「アタックコマンド、弾丸強化、弾丸制御」




俺は手前のゴブリンの頭に狙いを定めた。




(1発で決めてやる)




俺は肩の力を抜き引き金を引いた。


弾丸は手前のゴブリンの頭を貫き、弾丸強化により威力を落とさないまま壁に当たって弾丸制御により軌道を変えてもう1匹のゴブリンの頭を貫いた。




狙いは完璧だった。しかし一つだけ誤算があったようだ。




(サプレッサー付けんの忘れてたぁぁバカうるせぇ)




サプレッサーは、銃の発射音と閃光を軽減するために銃身の先端に取り付ける筒状の装置のことである。




「やっちまったゴブリンに気づかれた。」




ゴブリンに気づかれて厄介なのは数だ。


単体では弱くても数によってはかなりめんどくさい。


また逃げられるのも厄介だ。




「探知コマンド、エネミーデテクション。」




俺は敵の探知スキルを使った、しかし巣窟内のゴブリンの数は


予想よりもはるかに少なかった。




(助かった。それなら簡単だ。試しにあのスキルを使うか。)




「強化コマンド、ハンターズアイ」




このスキルはマジレジェには存在しなかったスキルである。


効果は暗闇の中の敵を赤く強調表記することが出来る。




「見えた!合計で6匹か、楽勝だな、」




俺はコッキングを済ませ先頭のゴブリンの頭を狙った。




「チェックメイト」




俺はそう呟き引き金を引いた。


弾丸は先頭からまっすぐ3匹の頭を貫き奥の壁に反射して


後ろから残りの3匹を貫いた。




「任務完了っと。だいたい30分くらいかな。」




俺は村に戻り村長に報告した。




「本当にありがとうございます!報酬はギルドに支払っておりますので。」




村長はそう言って村人たちと一緒に俺を見送ってくれた。




(割と簡単な仕事だったな。)




俺はエスカドに戻り約束の酒場に向かった。


酒場ではベルズは既に待っておりクエスト完了の知らせをした。




「そうか!かなりの短時間でよくやったもんだ!


今回の報酬な!」




ベルズはそう言って残りの報酬を俺に渡した。




「それと、今回の件はギルドには秘密で頼むぜ!」




俺は報酬を受け取り礼を言ってその場を後にした。


そのまま俺はギルドに向かい冒険者登録をした。




「お疲れ様でした。これにて登録は終了です。


冒険者にはランク制度がありますのでクエスト受注の際はお気を付けください。


ちなみにランクは下からブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、


ダイアモンドがありダイアモンドを超えるとマスター1、マスター2、マスター3


と数えられます。威吹鬼様は今はブロンズですので頑張って昇格を目指してくださいね!」




受付嬢はそう言って俺にブロンズメダルを渡した。




(今日から俺も冒険者かここから俺の冒険が始まる!)




「マスター3、目指してやろうじゃねーか!」

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