UAS
@Diekfleet
第1話「きっかけ/第二次フランス奪還作戦」
『地球が誕生してどれくらいの時間がたったのだろうか。そして、この地球に生命と呼べるものが生まれてどれくらいたったか。』
と書き出してみた私の卒業論文だが、この後が全く思い付かない。やはり入りが壮大過ぎるのかも、私は小さくなった消しゴムを手に取り文章を消していく。作文用紙はもうグシャグシャ、ただただ時間と消しゴムが無くなっていく。
「そもそも、『生命』てなんなのよ……」
卒業論文を書く上で指定されたテーマ『生命』。意外に簡単かと思っていたが、書くに連れて生命とはなにかを考えさせられて結果ゲシュタルト崩壊。もう何も思い付かない。
「はぁぁぁ、どうしよっかなぁぁぁ……」
思考の迷宮に入ってしまった私に、救いの手が現れる。
ピンポーン、となったインターホン。そういえば、今日は弟が遊びに来る日だった。小さなテーブルから抜け出し、玄関を開けるとやはり弟がそこに立っていた。しかし、今日は少し様子がおかしかった。右手に、黒曜石か何かで作ったと思われるナイフを持っていた。しかも一定間隔で刃、というより内側が緑色に点滅していて気味が悪い。
「アンタどうしたん?様子がおかしいよ?」
話しかけると、弟はゆっくりと顔を上げた。まるで糸で操られてるような不気味さで。そしてついに口を開いた。
「もし、世界が終わるとしたら?」
2046年9月3日
とんでもない嵐の中、俺達を乗せた輸送船は徐々に目的地に向かっていた。あの襲来以降、俺達人間が生存する事が許された土地がどんどん小さくなっていく。今回の作戦は、その失った土地を取り戻すための戦いだ。
フランスはノルマンディー、旧大戦では連合軍がフランス奪還の為に上陸した場所に、もう一度上陸する事になるとは誰も思わなかっただろう。しかも、今度の敵は同じ人間ではなく何も解らないバケモンときた。規模が比べ物にならない。
「第一次作戦では、UASからの攻撃で約3000という数の英雄達が上陸前に海に沈んでいった!しかし、彼らは決して無駄死にではない!彼らが残してくれた道を辿って、今度は我々が道を作るのだ!なんとしてでも上陸し、フランス奪還の足掛かりにするのだ!」
船のあちこちから雄叫びが聞こえる。それだけ俺達の士気が高いのか、それとももう後が無いからか。その答え合わせをするのはただの時間の無駄だろう。もう間も無く、3000人が眠る海へ到達する。
いきなりの爆音と共に、無数の殺意が襲いかかる。
海岸にいるバケモン達からの攻撃に、既に数人の死者が出ている。だがそれでも耐えている。やはり先駆者は無駄死にでは無かった。彼らのお陰である程度の対策が出来たのだ。
浜辺まで後数キロ、輸送船は口を開け、俺達は上陸の準備をする。
「全軍突撃ぃぃぃぃぃぃ!!!」
司令官からの合図で一斉に飛び込む。ここからは泳ぎで上陸する。海中でも関係無く奴らからの殺意を浴びせられる。
上陸に成功した時には、もう1/3が海の藻屑となった。さて、ここからが正念場ばかりだ。
「第1、第4部隊は左、第3、第5部隊は右から行く。残りは正面から奴らを潰せ、デカブツは特戦機に任せて先に砲台を叩く。良いな?」
この場にいる全員が了承する。
「よし、行くぞっ!」
遅れていた特戦機が上陸し、攻撃を開始する。何体かUASは倒れていくが、やはり砲台型からの攻撃で数機が破壊された。
海岸を右から進行し、やっと攻撃が薄い場所を見つけ、俺達は崖を登る。その途中で沸いた小型UASを蹴散らし、砲台型の近くまで来た。正に灯台もと暗し、砲台型は足元が見えていない。その隙を突き、パンツァーファウストで砲台型を破壊した。そして開いた穴を特戦機がこじ開ける。
残りのUASを特戦機と協力して掃討し、上陸作戦は成功した。人類が勝ち取った数少ない勝利だ。増援が到着次第、フランス首都パリへ進行し、フランスを解放する。それまでは少しの休憩とさせて貰おう。
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