弐拾
「本当に不思議な事ってあるんだねー」
「そーだなー」
巫女さんに俺達は深く頭を下げ、神社を後にした。
神社を出た俺達は、元来た小路を辿るように歩いている。到着時はまだかろうじて陽射しが差し込んでいたが、今はすっかり夕方を通り越して、夜の様相へと様変わりしている。
木々に挟まれた小路はところどころに設置された灯篭型のライトによって足元が照らされ幻想的な雰囲気に包まれている。夜の神社となると元来薄気味悪いものと思い込んでいたが、しっかりと手入れがされ、静謐な空気に包まれているせいか、恐怖は一切感じない。
「それにしても凄かったなー。なんか良く判んなかったけど」
美衣子は二人になってからというもの、ひたすら淡々と今日の感想を話し続けている。来た時の無口さが嘘のようだ。
「んー」
それに対して、俺はずっと同じような返答を返し続けているものの、話の内容はさっぱりだった。
「ねぇ、今度ちゃんとお参りしに来たいから、付き合ってね?ほら、お礼参りって言うの?」
「あぁ」
巫女さんは、何処かぽーっとしている俺達二人を鳥居まで見送ってくれたのだが、あの猫達もしっかりその後ろをふよふよと付いて来た。
加えて、神主さんまで再び顔を出して手を振ってくれた。
「これで、本当に何にも起きないといいなー!ううん、きっと起きないはず!こういうのって、プラス思考大切だよね!!」
「おー」
気掛かりがずっと頭を離れなかった。
お祓いや護符製作を目前で見た事もあり、あの巫女さんが特別な力を有しているのはもう疑いようがない。
その上で、あの巫女さんが言った「無性に肩が凝ることってありませんか?」という言葉が頭の中をぐるぐる回っていた。
それにあの猫擬きも会話の中でもそんな事を言っていた。
もしかして、俺にも何か憑いているのだろうか……?
美衣子の悩みが無事解決したのは何よりだが……俺は余計な悩みが増えてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます