第35話クロエの訓練

 それから私たちはロビーを抜けて部屋に戻るとやっとの思いで、、

「ちょッウェイさん?」

 だけじゃない一人、また一人と部屋の入口で倒れていった。

 連戦に次ぐ長旅とも相まって輝石にも負担がかかっていたんだろうか。

 皆一言も口にせず気絶するように倒れていった。


 ここは和風というのが存在するかは知らないが、純和風な感じの部屋で大部屋になっていた。

 実はここに集まってまずは今後の話を整理してそれから就寝しようという話になっていた。

_間に合わなかったみたいだけど。

「誰も起きてこない」


ゴソッ


 近くの布団が襲ってきた!

 ひッ

 丸腰の私は情けなく手で顔を庇って、、


 ドサッ


 でもそれはすぐそばに落ちてまたすぐズルズルと動く。

 輝石は5人とも後ろにいた。

 それに布団は部屋の奥に敷かれていた。

 誰もそこまでたどり着いていない。

「じゃあこれは?」

 ますます怖いじゃないか。

 恐る恐る布団をめくると

「あ」

 すーすーと寝息を立てた角カピバラ〈?〉

 がいた。


ズズ


 襖が開く音がして、

「すまねぇな。ここにいたのかよ」

 クロエが入ってきた。

「あ、ちょっと待ってあげて今寝たみたいなの」

 私がそう頼むと、

「じゃあ少し付き合ってもらうかな?」


 私はホテルの裏にある森の奥へ連れて行かれた。

 こんなところでどうしようと、、

「何もしねぇよ。着いたぜ?」

 クロエは私の先を読んで答えてくれた。

「お前がソーマをどこまで使えるか試してやるよ」

 まずはここのソーマを使って、、

「そこの木の実、採ってみな?」

_無理だよそんなの!

 土壇場でたまたまできただけなのに。

 いきなりそんなの落とすとかありえないって。

「そうか?ヒントはあったはずだぜ?」

_うん。まぁ。

「じゃ、いけるな?」

 あぁそんなイイ笑顔で言われたらやるしかないじゃん!

 仕方なく私は辺りのソーマを探る。

_えっと。

 そもそもうろ覚えの記憶な上直感的にやっていたこと、できるワケもなく、、、


コォォォォォ


 間違えて呪紋を発動。

「まずはそこからいくか」

 仕方なさそうにクロエは首を掻きついでに背中の大剣を抜いた。


一、ニ、三、


 おかしい。

 呪紋が発動している私がクロエの太刀筋を追いきれていない。

 終えてみれば太刀筋は五閃。

_二つも見落としてた。

「全然だな」

 だから無理だって言ったでしょ?

「それじゃダメなんだよ」

 困ったようにクロエは言う。

_?

 なんで?

「神殿に行くって言ったろ?」

 神殿では腕試しも一通りされる。

 それを通過できた者が勇者として一つ目の封印を解かれ真の勇者に近づいていくという。

_何それ?

「今までのは?」

 お前な?序盤で全部終わるワケないだろ?


 あ、何か終わった気がしてた。

「しゃーない。一から説明すっか」



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