第31話異種族交流
「それよりカナちゃん早く入ろうよ!」
ティとルゥが競うように私を招く。
_珍しくハモってんな。
ちょっと待ってね。今かけ湯するから。
あと体洗ってからね?
私は龍や狼の人も気になったが、とりあえず洗い場を探した。
洗い場で一人体を洗い始めると両隣には肌の色が違う人や肌の質が違う人が座り自分の体を洗い始める。
_まぁそうなるわな。
質が違う人に至っては人間の肌とは違うのでタオルとか優しいものは使わない人もいるようだった。
_人のことはいいんだよ。
私は自分の体をクリューが出してくれたスポンジに〈人間用〉と書かれたボディソープを含ませて洗い、それから少し伸びた髪の毛に苦心しながら洗い進め、、
「カナさん?」
「ご親友の方、残念でしたね」
ここまで我慢していた意識はなかった。
ただ、優しい言葉に誘われて、、
感情による涙はソーマを辺りに散布する。
そのため視えてしまったのかもしれない。
_恥ずかしいな。
まだ泡だらけの頭を上に向けて、何か言おうとするも掠れた喉は声を枯らしてしまって、
ツー
何か違うものが違うところから流れた。
_血何で?
あぁウェイさん。
なんでスタイルいいんですか!?
鼻血出ちゃったし。
折角大事な話してたのに!
台無しじゃん私!
血の匂いに誘われて異種族の方々がギラギラした目でこちらに寄ってきた。
「どうした?こんなところで流血たぁ」
い、いえこれはその。
祭とばかりに騒ぎ立てる方々。
「まぁ大変その方、勇者様ではありませんか?」「勇者だって!?」
誰だ勇者に膝つかせたヤツぁよ!?と大騒ぎになった。
「カナちゃん!お姉ちゃん何したの!?」
クリュー違うの!
これは殴られたとかじゃなくて!
私はそう言いたくても言えなかった。
意外によく出る血に困っていると、
「仕方ありません。少しいいですか?」
と最初に勇者と気づいた人〈?〉耳尖ってるしたぶん違うんだろうけど。
が私の鼻に手を翳して治してくれた。
コォォォォォォ
何かキラキラしたものが目の前を掠める。
「ここは
あぁそうですか。
_だから詠唱もしないで。
「それとはちょっと違うんですけどね」
急に目を逸らしだす耳の人は今にも地面を舐めそうになっていた狼さんを「はしたないですよ?」と掴んで戻し、
「あとは温泉に浸かって治して下さいね?折角来たんですから。
ここの温泉は最高ですよ?」
「はい。ありがとうございます」
私は呆けた顔のまま、
私は備え付けのシャワーで固まった血を流したあと、もう一度体を洗い温泉に浸かってみることにした。
入る前、足下を確認すると底の方にキラキラと輝く色とりどりの石が転がっているのが見えた。
気にせず入ると、肩から脊髄を伝って全身の疲れが抜けていくのを感じた。
ビビビッ
_ふぅ。
一瞬全身に電気のような感覚が走って瞬く間に疲れが去っていくのを感じた。
そのあとまるでエンディングみたいな走馬灯が私の脳裏を
涙。この涙を隠すつもりはなかった。
_やっぱり。
私にはゆうちゃんが何をしたかったのかわからなかった。
ゆうちゃんとは家族ぐるみの付き合いもさせてもらっていたし、それだけにゆうちゃんがどんな人かもよく知っていた。
「うぅん。知ったつもりになってたんだ私」
水面に映った自分に向かって私は私を否定した。
魔王の味方をしてまでゆうちゃんが私に伝えたかったこと。
チャプッ
「絶対見つけるから」
ザバァ
ん?何かな?何々?
ちょっとティ!?
温泉くらい静かに入りなさい!
あとコソッとまさぐらないで!
クリュー助けて!
もじもじしないでこっち向いてよぉ!
キミのお姉さん私の胸揉んでくるよ?
ほっといていいの?
ガシッ
「ぅぐッ!」
_あ、離れた。
「また貴女は人様の胸を!」
ッドボン
「イタイなぁ!何すんのさラ姉さん」
ギラッ
「誰がイタイって」
あ、いやそういう意味じゃなくて、、、
周囲の
コォォォォ
_スゴい。ココじゃこんなことができるんだ。
さっきの治療とは違って大量の
「お姉ちゃんダメ!」
しかし、末っ子の一言でラの手から光が消えた。
「言ったでしょ?もう正気は失わない。長女としてしっかりするって」
それを約束してくれたから私も今までのこと水に流したんだよ?
何だえらくケロッとしてるなと思ったらそういうことだったのか。
それにティ姉もまだ治らないの?その手癖の悪さ。
「えへへ」と怒られてるクセに何だか嬉しそう。
_案外懐かしいことなのかもな。
妹にこうして怒られるのも。
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