第24話ソーマ炎焼
それが体にぶつかるような感覚があった。
それは段々と鋭くなってきて、熱い感覚まで戻ってくると声が遠く聞こえてきた。
「クワァァァァ！！！」「ゴァァァァ！！！」
ずっと一緒に戦ってきた不死鳥と
それぞれいつ死んでもおかしくないほどダメージを受けながら、それしかない二人は繰り返し体当たりをしていた。
不死鳥のレベルはカンストしている。
だが、
_避けて！
瘴気が不死鳥を蒸発させる。
彼は風鈴虎を庇ったのだ。
しかしそれを後ろから支えるように風鈴虎の風が吹いて不死鳥の焔を活性化させる。
精霊と精霊の併せ技でも、今のカナを止めることはできなかった。
_ダメだよ。可奈。しっかりして。
_！
ゆうちゃん。
「カナちゃん！」
聞き覚えのある、しかしいるはずのないクリューの声が聞こえて動揺したカナは、
「何で！」
発声できたのはやはり旋基を帯びた声。
それでもカナは言わずにいられない。
「来ちゃダメ！？」
「カナちゃんはそんなことで堕ちる人じゃない！
私のカナちゃんはそんな意気地なしなんかじゃないもん！勇者カナしっかりしろ！」
！？
最後の言葉は姉たちを罵った時の声で聞こえた。
「誤解してたよ。勇者カナのこと。
大した力もないクセにたまたま異世界勇者に選ばれただけで私達ファーリアを代表する人になり、あまつさえ私達からルゥを奪った人ということばかり目について、、」
面目ないな。と片目を瞑るラ
「ずっとカナの話しかしないんだよ？
ま、私達とは暫く離れてたから仕方ないんだけどね」
拗ねたようにティ、
「......」
無口なロー。
「ちゃんと試練は乗り越えてきましたよ」
結果を報告するウェイ、
「いくよカナちゃん！」
そしてルゥ。
え？何が？何されるの？
それぞれの輝石が応えるように輝き出す。
目を閉じたままのルゥが儀式に入る。
5つ、その全てがルゥに集まり、恐らく古代ファーリア文字と思われるものがルゥの小さな額に刻まれていく。
「 」
何言かをルゥの唇が呟き、額の文字をばら撒くようにして両手を広げた。
するといつかのタブレットのように地面にその文字が並び魔法陣が形成されていく。
私はそれによって身動きが取れなくなり、
「長くは保たない。カナちゃんを早く！」
「私達が手伝います」
残る四人の姉たちがルゥの魔法陣を輝石を使ってさらに強化する。
「まさか、この程度で何とかなるなんて思ってませんよ！それなら精霊達で十分でしょう！？」
そう言って彼女らはそれぞれの武器を手に攻撃を仕掛けてきた！
ちょッ！こういうのは闘って弱らせてからって言うけど！
4VS1ですか！？
それもう勇者じゃねーよ！
いくら私が暴走してるからってやりすぎ！
何その無駄にカッコいいフォーメーション！
「それほど本気でやる必要はなさそうだね。
けど、興味がある！アンタに芽生えたその力にな！」
わ、ラさんスイッチ入っちゃってる！
「残念だけど、時間ぎれ。ちょっとだけボコらせてね？」
ハートでも出てきそうな色気づいた声でティさん。
_闘えと？
誰かに横から肩を叩かれた。
正気か！今の私に触れるなんて！
_一体誰！？
クリュー、、もぅ！
どうなっても知らないかんな！
「漸く闘う気になってくれたようですね？」
「いっちゃうよ？」
_楽しそうだなおぃ。
技で後ろに回り込まれた私はウェイとローに取り押さえられてしまう。
_！？
あっという間に捕まった私はこのまま倒されるのかと思えば、、、
「やめた。正気に戻ってるアンタに乱暴すると、私がルゥに何をされるかわからんからな」
_え？でも本人やる気だったよ？
残りの二人もサッと手を離した。
ほどなくしてクリューが
「カナちゃぁん」
大泣きしながら抱きついてきた。
その頃には私の体も戻っていて、
「クリュー」
声も普通に出せるようになっていた。
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