第21話魔皇妃ロッドノエル

 マズいアレはガチや!

 あんなんウチに勝てるワケないやんか!

「どうした勇者、なんだろ?」

_勇者である前にJCだよ!


 そして何その見下した感たっぷりの表情。

 すんげームカつくんですけど?


 あぁアレか罠ね?

 ウチを挑発してかかってこさせようっていう。


 それにノッたら勇者じゃなくね?

_いや、あえてノッてみるか?


 できるかどうかは問題じゃない。

 大事なのは、

「やるかやらないかだ!」


 可奈ちゃんに合流した時、役に立たないんじゃ意味ないしね。


 今街中に魔物がうろうろしてるのはきっとコイツのせいでもあるだろうし、ついでに倒したのは正解だった。


_いや、何これ!

 今でも街の人達の悲鳴が、


_可奈ちゃん助けて!

 勇者カナじゃなくてごめん。


_死にたくないよ!

 こびりついて離れない。


 でも、おかげでレベルはそこそこ上がった。

 友達は助けたし、中堅クラスも何人か倒しておいたからとりあえずはこれで何とか、、、ダメかな?


 魔皇妃も四魔将もまだいるしな。

_やっぱ本拠地を叩かないとな。

_剣道部ナメんなよ?

 真剣握ったのは初めてだけど、基本は変わらないはず。

 竹刀より重、、、くない?何で?


 基本は鉄、、だと思う。でできている剣なのに重さを感じなかった。

 それを面、胴、小手の位置を狙って打っていく。

 太刀筋は少し変えた。

 それでも、

_スラスラ避けよってからにムカつくなぁ。

 姿は沙耶ちゃんだ。

_違う沙耶ちゃんはこんなヤな顔しない。


 根拠はないがそう思いたかった。


 スピードなどではなく、単純にレベル、技術が関係しているんだと思いたかった。


 たぶんコイツはラスボスクラスなんで、ここで倒すことはできないはず。


ザンッザッザシュッ


 そのわりにちょくちょく大きいのもらってるよね?

 ロッドノエルだっけ?

 大丈夫だよね?

 沙耶ちゃんごと死んだりしないよね?

 死なないと思いたい。

_イベント戦だもんね?

 言っちゃった。


「なかなかやるな。生まれたてとはいえ勇者だけのことはある」

 赤紫のほのおに少しばかりの揺らぎが生じた。

_大丈夫大丈夫。

_イベントイベント。

 言い聞かせながら最後の一閃。


キランッ


 何今の!?

 何か光った!

 あぁあぁザックリいっちゃった。

 クロムウェルさん、沙耶ちゃんごめんね?


_私勇者にはなれなかったよ。


ニィ


「だが、これで道は拓かれた!」

 目から口許からどす黒い血を流して虚ろな目で上空を仰ぐロッドノエル。

 空には巨大な円環状の立体魔法陣が展開されていた。

 魔法陣は地上から上空へと円錐に伸び中心部は闇に呑まれ見えなくなっている。

 その魔法陣をロッドノエルの背中から立ち上った濃密な瘴気がより強固なものにしていく。

「何してんのソレ!?」


 勝った。勇者サキが見たのはそんな表情だった。

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