第9話才能とは、、、
「レベル6で勝てるワケなかったんだ!
相手は龍だよ?ラスボスじゃなくてもJCの敵う相手じゃないって!」
一人叫びながら走り抜ける傍ら魔物を倒してレベルアップの音を聞く。
「ほらすぐ上がる!こんな低いのにボス前いって生きてるなんて不自然だし!」
たしかに一人で全部もらってるのもあるけどさ。
何?魔法使える?火の魔法?
やったね。とりあえず調理ができる。
丸焼きだけど、食えそうなヤツは焼いていくか。
たしか、1.5倍ほど入るんだっけ?
倒した分とは別に。
さっき色々手に入れた道具で何かできないかな?
塩コショウ?
まぁそれは調味料として、ハンマー。
使える。
ロングソード鍛え直そう。
何だったら焼けたまま魔物斬ってもいいし。
追加ダメージも入っていい感じじゃない?
_ってそれは無理か。
ヤバい。筋肉ついてきた。
殴ってもいいのかな?
えぃ。
ゴキッ
_あ、何かごめん。
シュワシュワ言いながら消えていく雑魚キャラさん。
空いた方の手で魔物を殴り、もう片方でロングソードを振る。
二体同時撃破。
経験値が二体分入ってそれを焼いて食べた。
_美味しくはない。
気づけば呪紋なしで30レベル近かった。
_経験値的には美味しいしいいか。
さっき覚えたばかりの魔法も2ランク上になってるし。
この世界では新しい魔法じゃなくて、使えば使うほど魔法が成長していくんだね。
可愛い精霊みたくなったものが後ろをチョコマカついてくる。
_触っても大丈夫なんだろうか?
勇気を出して触ってみる。
_熱くない。
私の指にも火傷はなかった。
そろそろ戻ろう。
戻り始めてみると意外に遠かった。
_結構夢中で進んでたんだ。
可愛い精霊を見て入口のクリューを思い出した。私は急いで黒龍討伐に戻ることにした。
道中いくらかまたレベルアップして、火の精霊が霊鳥にまで進化。
新しく属性の違う魔法を私は覚えた。
風の魔法を覚えていた。
_意外と補助系は覚えないな。
扉の前まできて私は呪紋を試してみた。
_中に入ってまた失敗とかだとカッコつかないし。
成功した。
また途切れない内に私は扉を開いた。
バンッ
「早かったですね。その姿、成功したようですね」
私の髪は真っ白に染まり、その中程に黄色い髪が混じっていた。
「クロエは?」
辺りを見渡すと倒れていたはずのクロエの姿がなかった。
私は黄色い視線で射ぬくように黒龍を見上げ、
ここは大人しく戦って聞くものだと思い直した私はすぐに首を振って、
「ルール違反だよね?」
現在の私のレベルは呪紋を含めて42。
相手は20、クロエは呪紋入れて26。
_ちょっと上げすぎたかな?
因みにあの時私が呪紋を成功させていても16だった。
そう思うと出直しできて良かったのかもしれない。
まずは火の精霊。
もう不死鳥といっても差し支えない姿になったヤツが黒龍の出鼻を挫く。
怯んだ先に虎に近い姿になった風の精霊をけしかけて、
私はその勢いを借りて鍛え上げたロングソードの柄尻に手を添え、突きの構えで突進する。
「できるようになりましたね?」
黒龍は捌くのに手一杯になりながらもそう溢す。
「やはり才能はあったのかもしれませんね」
_!
「違うよッ!才能は最初からあるもんじゃない!自分で作り上げていくもんなんだ!」
爪、足、ブレスを避けて踊るようなステップを踏み、地上でトリプルアクセルを刻むような動きで黒龍の頭上まで跳び上がった。
風の精霊の力で滞空時間が長くなる。
_黒龍の口が青く光ってる。
こちらを凍らせて無力化するつもりらしい。
一刹、不死鳥が私を庇いに入った。
_嫌な予感しかしない。
ブリザードブレスが不死鳥の炎の体を鎮火していく。
_うぁぁぁぁぁぁぁ!!!
その彼が遺した水蒸気に紛れて龍の逆鱗を突き刺した。
「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
別に魔法だから死んだとかじゃないんだけど、やっぱ気分はよくないよね?
自分になついてくれてた生き物が自分を庇って傷つくのを見るのはさ。
_だから。
ついカッとなってやっちゃった。
「白目むいてる」
即死ですかそうですか。
呪紋も消えて落ち着いたところで龍のところまでいくと彼女は既に死んでいた。
「やったじゃねぇか?」
肩まで叩いて嬉しそうに私の元にやってきたのはクロエ。
少しの間反応できずにいると、
「大丈夫か?」「ッあ、クロエ!」
「今気づいたのかよ」と半ばげんなりしつつ、輝石は手に入ったぜ?と言ってくれる。
「ソイツが呑んでたみたいだな?」
うわッ強いはずだよ!
20だと思っていたのは呑む前だったらしく、輝石を呑んでいた彼女は推定35レベルだった。
_呪紋込みの私と大差ないじゃん。
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