そして次の段階

統一暦499年12月1日午後3時

 止血が間に合ったおかげで、紅音は一命をとりとめた。しかし、紅音はまだ起きない。恵吏とアカリはずっと紅音につきっきりだった。

 ただ、恵吏は紅音以外にも気にかけなくてはいけない人がいた。

「聡兎さん、大丈夫なのかな。」

 聡兎はずっと帰ってきていない。アカリの言うことには「無事です」らしいが、心配である。

 恵吏は急に味方二人がダウンしたことで心細かった。いや、最初はずっと一人だったし。そう思って自分を奮い立たせようとするが、味方が居るという環境に慣れすぎたようだ。恵吏は孤独だった。


統一暦499年12月1日午後1時

 ニューヨーク、統一政府ビル、大統領執務室。この星で最も偉い地位に君臨する12歳の少女、エルネスタ・アインシュタイン。相対性理論で有名なあのアインシュタインの子孫である。

 ピンク色の子供向けキャラクターがデザインされた携帯端末で電話を受けている。「機関」100代目総統の小鳥遊栖佳羅からとある報告を受けたところだった。

「……なるほど。もうそんな段階なんですね。」

 電話を切る。

 エルネスタは横に立っている秘書、ジェシカに向かって言う。

「日本に向かいます。彼女たちとまた会えるのが楽しみですね。」

 エルネスタは少女らしくかわいらしい笑顔を浮かべる。

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